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  1. 宮城県議会 2020-11-01
    12月04日-04号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    令和 2年 11月 定例会(第376回)          第三百七十六回宮城県議会(定例会)会議録                              (第四号)令和二年十二月四日(金曜日)  午前十時開議  午後三時八分散会      議長                     石川光次郎君      副議長                    齋藤正美君出席議員(五十四名)      第一番                    金田もとる君      第二番                    小畑きみ子君      第三番                    三浦ななみ君      第四番                    石田一也君      第六番                    福井崇正君      第七番                    渡邉重益君      第八番                    わたなべ 拓君      第九番                    伊藤吉浩君      第十番                    大内真理君     第十一番                    福島かずえ君     第十二番                    枡 和也君     第十三番                    佐藤仁一君     第十四番                    遠藤伸幸君     第十五番                    八島利美君     第十六番                    瀬戸健治郎君     第十七番                    櫻井正人君     第十八番                    村上久仁君     第十九番                    高橋宗也君     第二十番                    庄田圭佑君    第二十二番                    遠藤隼人君    第二十三番                    天下みゆき君    第二十四番                    三浦一敏君    第二十五番                    渡辺忠悦君    第二十六番                    佐々木功悦君    第二十七番                    境 恒春君    第二十八番                    太田稔郎君    第二十九番                    高橋 啓君     第三十番                    横山のぼる君    第三十二番                    横山隆光君    第三十三番                    佐々木賢司君    第三十四番                    守屋守武君    第三十五番                    外崎浩子君    第三十七番                    村上智行君    第三十八番                    高橋伸二君    第三十九番                    熊谷義彦君     第四十番                    岸田清実君    第四十一番                    菅間 進君    第四十二番                    坂下 賢君    第四十三番                    ゆさみゆき君    第四十五番                    吉川寛康君    第四十六番                    伊藤和博君    第四十七番                    庄子賢一君    第四十八番                    菊地恵一君    第四十九番                    佐々木喜藏君     第五十番                    石川光次郎君    第五十一番                    中島源陽君    第五十二番                    本木忠一君    第五十三番                    中山耕一君    第五十四番                    齋藤正美君    第五十五番                    安藤俊威君    第五十六番                    畠山和純君    第五十七番                    仁田和廣君    第五十八番                    藤倉知格君    第五十九番                    中沢幸男君欠席議員(三名)    第五番                      柏 佑賢君    第三十一番                    渡辺勝幸君    第三十六番                    佐々木幸士君欠員(二名)    第二十一番    第四十四番-----------------------------------説明のため出席した者      知事                     村井嘉浩君      副知事                    佐野好昭君      副知事                    遠藤信哉君      公営企業管理者                櫻井雅之君      総務部長                   大森克之君      震災復興・企画部長              佐藤達哉君      環境生活部長                 鈴木秀人君      保健福祉部長                 伊藤哲也君      経済商工観光部長               千葉隆政君      農政部長                   佐藤夏人君      水産林政部長                 小林徳光君      土木部長                   佐藤達也君      会計管理者兼出納局長             宮川耕一君      総務部参事兼秘書課長             藤田信治君      総務部参事兼財政課長             小野寺邦貢君    教育委員会      教育長                    伊東昭代君      理事兼教育次長                小林一裕君    選挙管理委員会      事務局長                   鈴木雄貴君    人事委員会      委員長                    千葉裕一君      事務局長                   山本雅伸君    公安委員会      委員長                    佐藤勘三郎君      警察本部長                  千野啓太郎君      総務部長                   内海裕之君    労働委員会      事務局長                   蜂谷 洋君    監査委員      委員                     成田由加里君      事務局長                   斉藤敬一君-----------------------------------    議会事務局      局長                     小野和宏君      次長兼総務課長                小野寺 明君      参事兼議事課長                菅原 正君      参事兼政務調査課長              二瓶克之君      総務課副参事兼課長補佐            砂金義徳君      議事課長補佐                 二上秀幸君      政務調査課長補佐               長谷川共子君      議事課長補佐(班長)             田村和江君      議事課主幹                  渡辺祐司君-----------------------------------    議事日程 第四号                令和二年十二月四日(金) 午前十時開議第一 会議録署名議員の指名第二 議第百六十四号議案ないし議第二百四十一号議案、議第二百四十三号議案、議第二百四十四号議案、議第二百五十一号議案及び報告第八十七号ないし報告第百三号第三 一般質問   〔枡和也君、外崎浩子君、菅間進君、わたなべ拓君〕-----------------------------------    会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二 議第百六十四号議案ないし議第二百四十一号議案、議第二百四十三号議案、議第二百四十四号議案、議第二百五十一号議案及び報告第八十七号ないし報告第百三号三 日程第三 一般質問       〔枡和也君、外崎浩子君、菅間進君、わたなべ拓君〕----------------------------------- △開議(午前十時) ○議長(石川光次郎君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。-----------------------------------会議録署名議員の指名 ○議長(石川光次郎君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に、三十二番横山隆光君、三十三番佐々木賢司君を指名いたします。----------------------------------- △議第百六十四号議案ないし議第二百四十一号議案 △議第二百四十三号議案・議第二百四十四号議案・議第二百五十一号議案 △報告第八十七号ないし報告第百三号・一般質問 ○議長(石川光次郎君) 日程第二、議第百六十四号議案ないし議第二百四十一号議案、議第二百四十三号議案、議第二百四十四号議案、議第二百五十一号議案及び報告第八十七号ないし報告第百三号を議題とし、これらについての質疑と日程第三、一般質問とを併せて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。十二番枡和也君。    〔十二番 枡 和也君登壇〕 ◆十二番(枡和也君) おはようございます。みやぎ県民の声の枡和也でございます。議長のお許しが出ましたので通告に従い一般質問いたします。質問に入る前に、初登庁以来ちょうど一年を迎えて感慨深いものがありますが、初心を忘れず県民の皆様のためにやることがあると気を引き締めて臨む思いでありますので、よろしくお願い申し上げます。また、ここにきて全国的に新型コロナウイルス感染症が拡大し、最前線で働いている医療従事者及び関係者の方々に衷心より敬意と感謝を表します。また、感染症でお亡くなりになられた方々に心より御冥福をお祈りしますとともに、罹患されている方々にお見舞いを申し上げます。 さて、先月初め、改修工事が終わり二〇一九年三月二十一日にリニューアルオープンした福岡市美術館の視察に行ってまいりました。大濠公園の水と緑に恵まれた中にあり、美術館周りの環境、雰囲気がとてもよく、美術館のれんが色と周りの緑がマッチングしていて、調和が取れているという印象が強く残っております。また平日にもかかわらず、多くの方が池の周りを散歩やテラスでお茶を楽しんだりしている光景を見て、癒された気持ちになりました。公園の周遊路からいざ美術館に近づくと、重厚感漂う雰囲気、赤茶色の磁器質タイルの外壁、重みのあるはつり壁など、建築当時の日本近代建築の巨匠前川さんの建築意匠を残し、館内で使用しているソファー、テーブルなどの雰囲気がよく、かっこいい家具は前川デザインそして東北が誇る家具メーカー天童木工製作でもあり、布地を張り替えデザインはそのまま使われていました。福岡市美術館総館長中川氏の説明の中で最も印象に残ったコメントは、美術品を入れておく建築物も大切な作品の一つであるので、作品を捨てたりはしない。つまり、価値のある建物を壊したり、新築はしないという言葉です。もともと前川さんの作品は堅牢な造りなので、リニューアル改修をしなるべく長もちさせ百年はもたせたいと言っていました。まさに我が宮城県美術館もそうありたいものだ、そうしなければならないと思いました。また一方で、展示室などは時代の要請もあり、デザインより機能を重視ということで大きく変え今のニーズに合ったものにし、ユニバーサルデザインの対応もなるべく元の意匠を変えないようにしたまま、また大濠公園からの入り口やカフェを設け、誰でも気軽に入ることができる造りになっていて、視察当日も利用客が多く会話を楽しんでいました。 さて、大綱一点目は、宮城県美術館現地存続と県民会館などの移転集約についてであります。昨日の大内議員ともかぶる部分もありますが、通告のとおり質問いたします。 宮城県美術館の移転ですが、昨今では様々なメディアを通じて移転反対の県民の皆様の御意見を見る機会がとても増えていると感じておりました。宮城県美術館の現地存続を求める県民ネットワーク--通称県美ネットが主宰したアンケートによると、かなりの割合の県民が移転せず現地存続を望んでいました。また、この団体による活動として出前講座と称し県内十七地域に出向いて、一千名ほどの地域の方々が参加し、移転をめぐる問題を解説する県民向けの講座を開設していることを考えても、今まさに仙台近郊だけではなく、県全体そして県外の県美術館愛好者など広い範囲での問題となっていることを実感しておりました。また、県美ネットの会員も二千名を超える方が入会したとのことで、この問題に対する関心の高さを伺うことができます。そういったことなども踏まえ、今回移転を断念し現地存続させる方針を決めたことは、県民の皆様の声を聴いての判断だと思い、大変評価されることだと思います。現地存続を決めるまでの経緯、そして今後の建物の改修、運営方法などについて、以下質問いたします。 一点目でありますが、これまで仙台医療センター跡地における県有施設の再編に向けた基本構想支援業務を発注し、一、現地での増改築、二、県民会館と宮城県美術館そしてNPOプラザの三つの施設を集約移転、三、施設を増築せず改修する、この三案で検討し、早い時期に方向性を決めると以前県より発表されていました。二〇一五年五月から宮城県美術館リニューアル基本構想策定に係る懇話会を開催、二〇一六年四月宮城県公共施設等総合管理方針を策定し会議を重ね、二〇一八年三月に宮城県美術館リニューアル基本方針がまとめられたにもかかわらず、昨年十一月に突然とも思える移転計画案の発表は、これまでの関係者の熟慮と検討のために費やした時間と労力、更にその予算二千百四十万円、そして今回の県有施設再編に向けた基本構想支援業務に費やした費用三千六百万円などが、全てとは言いませんが無駄になっている部分があると思いますが、知事の見解を伺います。 二点目は、今回さきに述べた三案を検討した結果、知事の考えを現地存続に傾けた大きな要因は何でしょうか。 SDGsにも文化遺産の保護、保全の努力の強化が挙げられ、歴史的建造物を保護する機運も高まっている昨今、現施設を改修、更新し、歴史的価値の継承のみならず機能的価値も高めた上で、継続的に使用すること以外に方法はないように多くの県民も考えていたはずですが、なぜ迷走とも思えるほど何度も方針を変えられたこの状況を、知事はどう考えているのか、また併せて今回現地存続の方針で発表がありましたが、昨年の十一月に突然の移転計画発表から本年十一月十六日までの一年間、現地存続を決めるまでのプロセスをこの間にもう少し県民に対し説明すべきだと思ったのですが、知事の所見を伺います。 三点目は、十月下旬に首相所信表明がございました。周知のとおりでございますが、環境問題に対して言及されていて、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。前政権での温室効果ガスの排出目標は二〇五〇年までに八〇%であったので、目標前倒しの計画です。CO2削減に至っては小さいことから取組が必要であると感じています。二〇五〇年までにゼロを目標とした場合には、二〇三〇年削減目標は前政権の二六%減ではとても達成できないと多くの意見があるようです。美術館については現地存続の方向が発表されましたが、県民会館とみやぎNPOプラザは当初の計画どおり移転集約する考えが示されました。そこで環境への配慮を考えると少なからず地球環境への影響があると考えています。既存建物が解体となった場合、既存建物の解体時点で、CO2排出は大きな影響を与えることはもちろんのこと、複合化時点での建設に伴うCO2排出による大きな影響も十分に配慮しなければなりません。現在、国土交通省が推進しているCASBEE--建築環境総合性能評価システムでも建設から解体に至るその建物の生涯全体にわたるCO2排出抑制が求められていますが、今後の検討において、CASBEEを取り入れた建築計画にするのか、知事の所見を伺います。 次に四点目は、今後の美術館改修計画における進め方についてです。 今回の発表では、美術館を現地存続させることで増築は伴わない方針でした。現時点で望まれている展示室と収蔵庫の面積増以外でも求められる諸室の確保は、美術館にとって重要なこととなるはずです。増築をせずその計画が可能であるのかきちんと検討しているのでしょうか、見解を伺います。 コストを極力抑えること自体必須であることは県民の皆様も十分に理解されていることと思いますが、求められる機能が充実しなくてはよりよく美術館が活用されなくなりそれは本末転倒と言えるでしょう。今後はより県民の皆様の意見を尊重できるような参加型の仕組みづくりも大切になってくるはずです。例えば基本構想、改修計画などから県美ネットの会員の方々や多くの県民が関わることが、オープン後の運営に大きなよりよい利用者との関係構築ができるはずです。今後の基本構想、改修計画などに伴う県民の方々の意見を取り入れる仕組みづくりについて、知事の見解を伺います。 改修へ向けては収蔵庫だけでなく子供が楽しめる工夫やバリアフリー化への計画も、より積極的に取り組まなければなりません。 次に五点目は、今後の美術館の改修計画についてであります。 集客、運営経費の持ち出しについて不安をお持ちであれば、改修とその後の運営を含めた計画において、民間の活力と自治体との連携をもっと具体的に検討してはいかがでしょうか。PFIの方策にも更に詳細な手法が付与されて様々な取組例が公表されております。宮城県PPP・PFI活用ガイドラインでも発表されておりますが、民間活力の導入の可能性を更に詳細に検証し、導入できるかを検討することも必要かと思われます。PFIのメリットを機能させるためにも、公共側の方針をきちんと明確に打ち出す必要があると考えます。先日福岡市美術館を視察し、総館長の中山氏と事業管理課長の金子氏に詳細にヒアリングを行いました。とても有効に民間との連携を図って運営されている実態を知りました。特にPFI(RO方式、サービス購入型)は、改修工事自体地元優良企業がグループをつくり競争入札することで予算を削減でき、かつその落札したグループが運営を行うことで、企画アイデアと連携した計画が実際に実現できることがとても有効であると実感しました。また、美術館の根幹となる美術品の収集、保存、展覧会の企画、開催、教育普及などの業務については、学芸員を含む市職員と協力して実施することで公共性を担保しています。そのような運営方法についてどのように考えておられるか、知事の見解を伺います。 コストを抑えながらも、最大限効果が出るような取組も、今後はより多角的な検討が必要だと考えています。 次に六点目は、今後の美術館と地域との関わり方についてです。 美術館のニーズは多様化し、文化、芸術に対する意識は高まり、美術館が地域に果たす役割はますます大きなものとなっています。今後の運営と取組によってその活用は大きく変わっていくと考えています。現在でも宮城県美術館キャンパスメンバーズ制度や宮城県美術館協力会ボランティアを募っての取組はホームページでも公表されてはいますが、更にもっと積極的に連携を図ることも考えてはいかがでしょうか。美術館の魅力をいろいろな関わりを持ってボランティアシビックプライドを持ち、利用者に伝える役割を担ってもらい、県民の皆様と一緒に盛り上げることができるはずです。キャンパスメンバーズ制度は、現在、大学と専門学校だけの枠にとどまっているようですが、幼稚園、保育園や小中高等学校、また県外の芸術系の大学とも協力して、課題発表などをこの美術館とコラボレートすることを試みることもできるのではないかと考えています。県の財政負担を減らしながらも文化施設として、創作室などもっと積極的に活用して時には学生のアイデアを取り入れながら関係者をも巻き込んで、有効利用をしてほしいと願います。東京都美術館では、アート・コミュニケータ、とびラーと名づけて、一般的な広報補助を超えて、人と美術館、人と人をつなげる活動の域を広げているようです。地域社会とともに手を取り合っていくことで、公共性を担保したいものです。現地で美術館を存続させるためにも、まさに県民の代表である知事が広告塔となり、積極的に美術館に関わり足を運んでいただければ、よりその魅力を県内外に広めることで美術館活用の機会が増えて、それが地域創造にとって効果的なアピールになるはずです。地域の関わり方について、知事の見解を伺います。 次に七点目は、存続する美術館の今後の運営についてです。 現在、仙台市には市が所有する美術館がない状況ですので効果的に事業を実施するためには、現在の宮城県美術館は県有施設といえども、市に立地している観光資源及び文化交流施設であることに違いはないので運営を共同で行うことはよいと思いますが、いかがでしょうか、知事の見解を伺います。 また、今回の会見でも仙台市長も美術館周辺文化芸術拠点としてより高みを目指せるように考えなければならないと発表されています。もちろん行政だけでなく民間との連携も不可欠だと考えていますが、限られた財源を有効に活用するためにも必要なことではないかと思います。いずれにしても民間とも連携をして専門性を有する人材を確保し、企画能力と実行力を高めるとともに事業の効果を広めていただく工夫が求められています。例えば、ミュージアムショップ一つ取ってもまだ改善の余地はあるかと考えております。視察した福岡市立美術館ではオープン後まだ初年度ではありますが、年間約四千万円の売上げ効果の実績があると伺っております。今後はきちんと効果的に売上げを捻出し、美術館運営経費を削減するためにもミュージアムショップやレストランの売上げがとても貴重なものとなるはずです。さきのPFIを導入した場合には、売上げ連動型賃貸契約などが考えられると思います。また、地元優良企業との協賛体制はどのように現在はお考えでしょうか。 地域の優良企業へは積極的に社会貢献であるメセナ活動として関わってもらうことで、かなり運営面にメリットが出ると予想されます。昨今では、日本経済団体連合会が企画している企業の慈善活動の一環として一%クラブが紹介されています。企業の経常利益の一%を寄附する運動です。ここにも地元と地域と美術館を結ぶ仕組みがあると感じていますが、知事の見解を伺います。 最後に、現在の美術館の文化を守る重要性についてです。 日本建築学会東北支部長石川善美先生より提出された意見書のことが二月の定例議会で藤倉議員の一般質問にもありましたが、県美術館は宮城県民の芸術文化の足跡と評されています。更に昨今近代建築の価値は世界的に文化活動として認められています(DOCOMOMO保存活動など)。特に前川國男設計の建築は日本においてとても価値のあるもので、この財産をより活用することで、もっとよりよい有益な観光資源となるはずです。宮城県美ネット制作の宮城県美術館と移転問題を知る冊子でも紹介されていますが、前川國男氏の建築物を文化交流拠点として利活用している九自治体による近代建築ツーリズムネットワークが設立され、国内の近代建築の資源化の促進、需要の創造を目的として活動していることが紹介されています。宮城県は未加入となっております。文化財をより活用することは多くの県民の声、専門家による意見からも必須で公共的な立場だからこそ、積極的に取り組まなければならないと強く考えていますが、知事の見解を伺います。 これはこれまでの状況を察し個人的な見解ですが、もしかすると今回の移転の可能性があるとの考えがあって加入参加の打診があっても応じなかったのでしょうか、見解を伺います。 大綱二点目は、障害者福祉政策についてです。 みやぎ障害者プランにもありますように、障害のある人が地域社会の一員として充実した生活を送るためには経済的な自立が不可欠であり、特に働く意欲、能力を有する障害のある人の雇用、就労を引き続き促進することが重要です。県内の一般企業における障害のある人の雇用率は直近三か年で見てみますと、平成二十九年六月一・九四%、平成三十年六月二・〇五%、令和元年六月で二・一一%となっており、年々雇用率は着実に進展しておりますが、まだ依然として法定雇用率二・二%を下回っております。また、法定雇用率達成企業の割合を見てみましても、直近三か年でそれぞれ五三・二%、四九・二%、直近の令和元年では五〇・四%で全国四十一位と低い水準となっております。更に令和三年三月一日から御存じのとおり〇・一%引き上げられ二・三%になり、対象となる事業主の範囲が四十五・五人以上から四十三・五人以上に広がりますが、このままでいくと更に法定雇用率の達成が厳しくなると思われます。そのほかにも福祉的就労の場で働く障害のある人の工賃水準も、県が目標としている二万三千円とはいまだ大きな乖離があります。そこで以下伺います。 一点目は、障害者就労の機会の確保であります。 地域の障害者就労継続支援事業者と、また事業者の共同受注活動を行っているNPO法人の方からお話を聞く機会がありました。皆さんから言われるのが、コロナ禍で仕事の受注も大変であり、県内でも法定雇用率を達成している民間企業はいまだ半数、まして法定雇用率が引き上げになれば、ますます法定雇用率達成が厳しくなる。例えば、企業が業務を障害者の就労を支援する福祉サービス事業所や在宅の障害者に発注した額の一定割合を法定雇用率に換算して算入するみなし雇用制度が導入されれば、企業も人事管理の難しさもなくなり障害者も受注の機会が増え、工賃の水準も上がり障害者も企業もメリットがあるので、ぜひ県からも強く国へ働きかけを行うべきと思うが、知事の所見を伺います。 また、県でできると思うことは、例えば県の競争入札参加資格など(建設関連業務、建設工事)に関する規定の中で、障害者の雇用状況で加点の基準がありますが、雇用義務のない事業者の場合、雇用人数での加点上限の見直しをしたり、また入札時の総合評価での社会性の労働福祉、障害者雇用状況の雇用人数での加点の見直しなどをすることによって、更なる雇用の創出を図ってはどうか、伺います。 二点目は、障害者手帳についてであります。 令和元年度宮城県の障害児者の手帳所持者は約十二万人と、その総数は年々増加している状況にあります。障害者の様々な社会参画を促進していく環境をつくっていくことが望まれます。バリアフリーなまちづくりはもちろんのこと、障害者が外出しやすくなるような取組も大切だと思います。公共交通機関や美術館など公共施設、官民を問わず様々な施設で障害者向けの割引、優待サービスなどを実施していますが、こういった場合には障害者手帳の提示が求められます。手帳は紙製で破れやすく劣化しやすい、また外出先で取り出すのに手間取ると、不便さを感じる人が一定数いるということで厚生労働省は二〇一九年四月にカード型の障害者手帳の交付を認めました。個々の自治体において導入を検討することができ、当事者自身も本人や家族が希望すれば紙製の手帳もこれまでどおり使用することもできます。県はカード化をまだ検討の段階であれば、カード型手帳の発行に伴うシステム改修費は大きな費用になるとも言われていますので、例えば先進事例で先日視察に行きました株式会社ミライロという企業では、スマートフォンに障害者手帳の情報を取り込んで画面上に表示するミライロIDというものを開発して、無料で提供しています。スマートフォンに表示されたミライロIDの画面を窓口で提示することで、障害者手帳の実物を見せなくても優待サービスを受けることができます。現在導入している自治体は大阪府、東村山市があり、西部鉄道をはじめJAL、ANAなど公共交通機関、駅やレジャー施設約六千か所、バスやタクシーなど約五万台でミライロIDが利用でき、これからも増えていくと予想されます。デジタルファースト宣言をしている県として、例えば前述のような障害者手帳のデジタル化に取り組んでいくべきと思うが、知事の見解を伺います。 大綱三点目は、新型コロナウイルス感染症対策についてです。 国内では十一月十八日二千二百三人、十九日には二千三百八十五人、連日の二千人超えの感染で全国的に感染拡大に歯止めがかからない状況となっております。県内においても九月以降に広い範囲で様々な施設などでクラスター--感染者集団が発生し、十九日は県南の角田市の高齢者施設でもクラスターが発生、県内でのクラスター発生は計二十八件となりました。その後も発生している状況です。また感染者数は十九日現在、八十六日連続で一千六十一名となり、感染者が急増し病床が逼迫しているとして県医師会は四月以来二度目の医療危機的状況宣言を発表しました。そういった状況を踏まえ、以下伺います。 一点目は、十一月十九日時点で入院患者が七十四人、病床占有率が七七%となり、この十月末からこれまでの状況を見ますと、感染者が増え病床数が不足することが予想されます。 これまでの確保病床数は九十一床であったが七十床を増やし百六十床程度とすることを、常任委員会で明らかにしました。現在七十床増やせるめどが立っているのか、また何か所の病院での対応になるのか、伺います。 二点目は、感染拡大が止まらず、患者が増加していった場合の県内医療機関及び社会福祉施設へのマスク、医療用マスク、フェイスシールド、ガウン、検査用手袋などの衛生物資の供給支援体制は整っているのか。在庫が十分であっても連絡体制が整備されていないと、物資が行き届かなく、九月末に視察に行った仙台オープン病院でも、県に在庫があるのに医療用マスクを袋に保管しながら数回使用していたということもあったので、伺います。 三点目は、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症と見分けがつかず、医療機関での受入れを心配する声がありますが、その場合どういった対応を取ることを考え、また医療体制はどう整えるのか、伺います。 終わりに、新型コロナウイルス感染症の第三波が全国的に広がっています。県民の皆様の不安が少しでもなくなるように努力することをお約束し、壇上からの質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 枡和也議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 大綱一点目、宮城県美術館現地存続と県民会館などの移転集約についての御質問にお答えいたします。 初めに、関係者の労力や時間、委託業務に関する費用などが無駄になった側面があるのではないかとのお尋ねにお答えいたします。 今後、少子・高齢化の進展による人口減少に伴い、財政規模の縮小が見込まれる一方、多くの県有施設において更新等が必要になってまいります。こうした状況を踏まえ、施設の老朽化への対応については個別の検討に加え、集約・複合化を含めた所管部局を横断した検討が必要であることから、昨年度再編等の検討を行ったものであります。その中で美術館の移転・集約については、多くの反対または慎重な対応を求める意見を頂きましたことから、更に時間をかけて検討することが必要と判断し、客観的、専門的な観点から、美術館の現地改修と移転新築のメリット、デメリットを整理、分析いたしました。こうした一連の検討の結果として、増築をしない現地改修による美術館リニューアル基本方針を尊重しながら、文化的視点と行政経営的な視点の両立が図られると判断したものであります。 次に、現地存続の方針決定に至った要因はどうか。また、度重なる方針転換は迷走とも思えるがどうかとの御質問にお答えいたします。 美術館を集約・複合化する場合、機能の大幅な向上や文化芸術振興の新たな可能性が期待できる上、コスト面においても優位性が見込まれますが、現美術館の建物の取扱いに課題が残ります。美術館を増築し、現地改修を行う場合は、建物や立地の価値を維持・継承できますがコスト面などに課題が残ることになります。増築を伴わない現地改修の場合は建物や立地環境の価値を維持・継承した上で現美術館が抱える主な課題を解消でき、現状よりも機能が向上するほか一定のコスト削減も図られることが明らかとなったことから県の方針案としたところであります。このように、メリットとデメリットが交錯し、難しい判断が必要となることから、時間をかけて様々な観点から慎重に検討を深めてきたところであります。 次に、展示室や収蔵庫以外の必要な諸室の検討状況についての御質問にお答えいたします。 美術館を増築せず現地改修する方針案は、メリット、デメリット分析を踏まえ、美術館や県民会館の機能充実を通じた文化芸術の振興という点も評価した上でお示ししているものであります。この案においても、収蔵庫の狭隘化へ対応するほかキッズスタジオ、県民ギャラリー等の必要な諸室については、一部の諸室を多目的利用が可能な空間として整備していくことや、県民ギャラリーについては新しい県民会館にも設置予定のギャラリー機能の有効活用により機能確保を目指すなど、有識者から御意見を頂きながら策定した美術館リニューアル基本方針を尊重して検討しております。 次に、今後の検討に当たって県民参加の仕組みを構築すべきとの御質問にお答えいたします。 今後の検討に当たっては、県民会館整備基本構想や美術館リニューアル基本方針の策定に携わっていただいた有識者をはじめとする関係者の皆様や、NPO活動に関する有識者の方々、そして県議会にも適宜御報告し、御意見を伺いながら検討を進めてまいります。 次に、今後の美術館と地域との関わり方についての御質問にお答えいたします。 美術館リニューアル基本方針ではコンセプトに人々が憩い、くつろぎ、集い、つながる美術館を掲げ、美術館をハブとした連携体制の整備、芸術文化の魅力発信、観光振興や地域活性化等への貢献を図ることとしています。今後、現地改修の方針を決めた場合には、観光振興、地域活性化等に寄与できるよう、私といたしましてもその魅力の発信に努めてまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(石川光次郎君) 震災復興・企画部長佐藤達哉君。    〔震災復興・企画部長 佐藤達哉君登壇〕 ◎震災復興・企画部長(佐藤達哉君) 大綱一点目、宮城県美術館現地存続と県民会館などの移転集約についての御質問のうち、県美術館の移転計画案の発表から現地存続の方針決定に至るまでの検討過程について、県民に説明すべきと思うがどうかとのお尋ねにお答えいたします。 検討に当たっては、今年度早々、県有施設等の再編に関する基本方針の考え方などについて、県民の皆様に説明する機会を設けたいと考えておりましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を勘案し説明会は見送ることといたしました。そこで、昨年度要望を頂いた団体の皆様を個別に訪問するなど、可能な限り説明や意見聴取に努めてまいりました。また、メリット、デメリットの整理結果に基づく施設整備の方針案につきましても、先週土曜日に開催いたしました県民説明会において、これまでの検討経緯とともに、県民の皆様に直接説明いたしました。会場の皆様からは、多くの御質問あるいは御意見を頂戴し、有意義な機会になったものと考えております。 私からは、以上でございます。 ○議長(石川光次郎君) 環境生活部長鈴木秀人君。    〔環境生活部長 鈴木秀人君登壇〕 ◎環境生活部長(鈴木秀人君) 大綱一点目、宮城県美術館現地存続と県民会館などの移転集約についての御質問のうち、CASBEEによる評価についてのお尋ねにお答えいたします。 宮城県民会館とみやぎNPOプラザの集約・複合化については、今年度末までに基本構想を策定し、来年度以降に具体的な建築の設計などを行いたいと考えております。その際には、建築環境総合性能評価システムいわゆるCASBEEの考え方も参考にしながら、環境に配慮した事業の推進に努めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(石川光次郎君) 保健福祉部長伊藤哲也君。    〔保健福祉部長 伊藤哲也君登壇〕 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 大綱二点目、障害者福祉政策についての御質問のうち、障害者手帳のデジタル化についてのお尋ねにお答えいたします。 障害者手帳保有者が利用できる割引制度は公共交通機関のほか、様々な施設、店舗などで広まっていますが、その利用に当たっては手帳の提示を求められるため紙製で折り畳み形式の現在の手帳には耐久性、携行性に課題があるものと認識しております。昨年四月の省令等の整備により手帳のカード化が可能となったことから、県ではカード化についての検討を進めておりますが、掲載できる情報量に制約があるためカードに表示、追記する項目の整理が課題となっております。御紹介のありましたミライロIDは民間事業者が開発したアプリで、手帳の画像情報をスマートフォンで提示するものですが、現在では公共交通機関、各種施設のほか自治体も加わり、導入事業者が五百者を超えるまでに拡大しております。県としましては、障害者の利便性向上のため手帳のデジタル化について、先行自治体の運用状況や導入効果などの情報収集を行いながら検討してまいります。 次に大綱三点目、新型コロナウイルス感染症対策についての御質問のうち、入院病床についてのお尋ねにお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症患者の入院を受け入れている二十病院と今後の病床確保について協議するため先月十七日に主要病院長会議を開催し、それまでの九十床前後から今月中旬までに百六十五床まで増やすことを申し合わせたところです。なお、本日現在百四十八床を確保しております。 次に、医療機関等への衛生物資の供給支援体制についての御質問にお答えいたします。 県では、日頃から国のシステムの活用や県医師会、医療機関等との情報共有を定期的に行うことで、衛生物資の在庫状況を確認しており、医療用マスクは当面の需要に応えられるだけの在庫が確保されております。一方、県ではサージカルマスク一千万枚など衛生物資の備蓄を進めており、医療機関において不足が生じた場合には、県内の医療機関及び社会福祉施設に直ちに衛生物資を配付する体制を構築しております。今後ともできる限りの物資支援により県民の安心・安全の前提となる医療・社会福祉サービスの安定供給に努めてまいります。 次に、発熱患者等の医療機関での受入れと医療体制の整備についての御質問にお答えいたします。 例年、インフルエンザの流行期には多数の発熱患者が発生しておりますが、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症を臨床的に鑑別することは困難であることから、医療機関は両方の可能性を考え、患者等を受け入れることとなります。このため県では、県医師会等と連携しながら、県内約四百五十の医療機関を診療・検査医療機関として指定し、適切に相談、診療、検査を提供する体制の構築を進めております。更には地域の実情に応じて、外来・検査機能の強化のために、地域外来・検査センターの設置を後押しするなどしており、今後も引き続き医療体制の強化に努めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(石川光次郎君) 経済商工観光部長千葉隆政君。    〔経済商工観光部長 千葉隆政君登壇〕 ◎経済商工観光部長(千葉隆政君) 大綱二点目、障害者福祉政策についての御質問のうち、みなし雇用制度についてのお尋ねにお答えいたします。 県内の民間企業における障害者雇用率は、昨年六月現在で二・一一%と全国平均と同水準となり、八年連続で過去最高を記録したものの、依然として法定雇用率は達成されていないことから、障害者雇用の促進に向けた取組を強化していくことが必要と認識しております。業務発注額の一定割合を法定雇用率に換算して算入するみなし雇用については、障害者就労支援施設の受注機会の拡大に一定の効果が想定されますが、国会においていわゆる福祉的就業から一般的な雇用への移行が進まなくなる等の問題が指摘されるなど、企業における障害者雇用の取組を弱めてしまう可能性があることから、慎重な検討が必要と考えております。県といたしましては引き続き直接雇用を基本として、企業における障害者雇用を促進するとともに、障害者就労支援施設の受注機会の拡大にも鋭意取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。
    ○議長(石川光次郎君) 会計管理者兼出納局長宮川耕一君。    〔会計管理者兼出納局長 宮川耕一君登壇〕 ◎会計管理者兼出納局長(宮川耕一君) 大綱二点目、障害者福祉政策についての御質問のうち、建設工事等の入札参加資格登録や総合評価落札方式の見直しによる障害者の更なる雇用の創出についてのお尋ねにお答えいたします。 県の入札参加資格登録制度と建設工事等の総合評価落札方式は、県発注工事等の契約の履行を確保するために必要な資力、信用、能力及び技術等を有し、地域に貢献する優良な事業者から品質が優れたものを適切な価格で調達することを目的に実施しております。障害者雇用に係る加点は障害者雇用に関する企業の経営姿勢、社会への貢献度をその一環として評価しているものです。現行の入札参加資格登録においても、法律に基づく雇用義務のない事業者が障害者を雇用した場合の加点を雇用義務のある事業者より大きく評価しており、その結果雇用義務の有無にかかわらず障害者の雇用を促し、障害者の就労の機会の確保につながっているものと認識しております。今後も引き続き、障害者の雇用の確保にも配慮しながら、よりよい公共調達ができるよう事業者の技術力、経営状況、環境配慮、女性の活躍などの評価項目全体について、関係団体の御意見も伺いながら改善に努めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(石川光次郎君) 教育委員会教育長伊東昭代君。    〔教育委員会教育長 伊東昭代君登壇〕 ◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 大綱一点目、宮城県美術館現地存続と県民会館などの移転集約についての御質問のうち、PFIによる民間活力の導入についてのお尋ねにお答えいたします。 今後、現地改修の方針が決定された場合には、県としての必要な手続としてPPP・PFI手法の優先的検討と導入に関する実施要綱に基づき、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行うPFI手法導入の適否を検討することになっております。他自治体の取組事例も参考にしながら、美術館リニューアル基本方針やこれまでの管理運営状況を踏まえ、適切な整備、運営手法の検討を進めてまいります。 次に、美術館について仙台市との共同運営を検討してはどうかとの御質問にお答えいたします。 美術館の近隣には、仙台市が設置・運営する仙台市博物館や仙台国際センターが立地しております。地域の観光資源、文化交流施設としての機能も踏まえ、多くの人々が訪れる魅力ある美術館運営を実現するために、仙台市所有の各施設としっかり連携し、効果を発揮できるよう取り組むことが重要になると考えております。 次に、地元企業等による美術館運営への関わりについての御質問にお答えいたします。 これまで美術館の特別展の開催に当たっては、地元企業等から広報活動をはじめ様々な御協力を頂いてまいりました。今後も地元の企業をはじめ、芸術家や地域の教育機関等からの応援を様々な形で頂きながら、魅力ある美術館の運営に取り組んでまいります。 次に、美術館を文化財として積極的に活用すべきとの御質問にお答えいたします。 今回のメリット、デメリット分析では他自治体における前川建築の活用事例も踏まえて検討しており、県として近代建築の巨匠であるル・コルビュジエに師事した前川國男氏が設計した現美術館の建物や立地の価値を県民の財産として維持・継承していくこととされております。今後この方針が決定された場合には、現美術館の文化的価値を生かしながら、建築物としての魅力を更に発信できるよう、美術館リニューアル基本方針において示している、国内外の人々が魅了される美術館の実現に向けて検討してまいります。 次に、近代建築ツーリズムネットワークへの参画についての御質問にお答えいたします。 近代建築ツーリズムネットワークは前川國男氏の建築物を文化交流拠点として利活用している九つの自治体が連携し、近代建築の価値を発信して観光資源化の促進を図っているものと承知しております。近代建築ツーリズムネットワークの設立当時に参加を見合わせた経緯等については確認するに至っていないところでありますが、平成二十八年度にはル・コルビュジエと前川國男と題した美術館講座を実施するなど近代建築についての情報発信をしているところです。 以上でございます。 ○議長(石川光次郎君) 十二番枡和也君。 ◆十二番(枡和也君) 答弁ありがとうございました。この一年、議員になって宿泊税やら県民会館やら上下水道の民営化、コロナ対策、そして原発、今度は病院の統合ということでめじろ押しで、ついていくのもなかなか大変な状況でした。美術館も私が初めて県議になった頃からぽっと出たような問題で、最初の頃はそれほどだったのですが、住民運動が大きくなるにつれて大変なことなのだなあと思いながらも、今回一般質問をさせていただいた次第であります。 それで、この住民参加なのですけれども、先ほど部長から御説明がございましたが、やはり皆さん見ているのですね。県民との対話の場の設定ということで、タウンミーティングやワークショップなどの開催の場を業者が設けるというようなことが、基本構想策定支援業務の設計書の中に入っているのですが、先ほど、いろいろな各種団体に説明して歩いたということだったのですけれども、まだ三月まで時間があると思うのですが、今後はもうこのようなワークショップやタウンミーティングは開かれないという認識でいいのか。ぜひとも開けるならば開いて、もう少し皆さんの話を聴いてほしいという思いがあるのですが、いかがでしょうか。 ○議長(石川光次郎君) 震災復興・企画部長佐藤達哉君。 ◎震災復興・企画部長(佐藤達哉君) タウンミーティングでありますとかそういった県民と直接対話をする場ということですが、現在もそうでございますけど、これを想定していた時期には新型コロナウイルスが本当に猛威を振るって、説明会と違って対面で、近くで話をするしつらえになるものですから、なかなかできないということで、そのときは見送りましたし、現状もなかなか難しいと考えております。タウンミーティング等で考えておりましたのは、在り方検討を我々が実施した背景でありますとか、我々の考え方をしっかり説明すると。それから県民の皆様から、県民会館それから美術館等についてお話を頂く場ということでの設営でございますので、現段階ではその時期を少し過ぎていると考えておりまして、今後の開催は考えていないということでございます。 ○議長(石川光次郎君) 十二番枡和也君。 ◆十二番(枡和也君) 今後の開催は考えていないということなのですが、やはり今後美術館の検討が進んでいって、基本構想や設計に入ってくると思うのですが、その前段階で、やはりもう少し皆さんの意見を聴く機会があったほうがいいのかなと。先ほどコロナということだったのですが、私もまだ五、六回ぐらいしか経験がないのですが、Zoom会議などがあるので、ぜひそういったことも取り入れながら、県民の皆さんに説明する機会を設けることが大切だと思うのですが、いかがでしょうか。 ○議長(石川光次郎君) 震災復興・企画部長佐藤達哉君。 ◎震災復興・企画部長(佐藤達哉君) 私どもの在り方検討の経緯でありますとか、それから今回のメリット、デメリットの御報告、御説明といった機会としてはそういった県民への説明というのは今後も考えてございません。 ○議長(石川光次郎君) 十二番枡和也君。 ◆十二番(枡和也君) 今後いろいろな事業もあるでしょうけれども、なるべく説明する場をできればそういった方向で考えていただければと思います。 それから、先ほど仙台市と共同運営という話を出させていただきました。私などは、知事と郡市長の関係などは報道機関の新聞で見るぐらいでしかないので、実際その場にいないのでどういう雰囲気か分からないのですけれども、報道を見る限りではそれほど仲はよくないのではないのかなと感じている一人です。仙台市所有の施設もあるということなのですが、中途半端な改修ではなくて、もう少しお金をかけてきちっとしたものをつくるには、やはり少し仙台市さんからも資金などを捻出してもらうような交渉も必要ではないのかなと思うのですが、知事の御所見をお聞かせください。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 誤解があってはいけませんのではっきり申し上げますが、私と仙台市長は非常にいい関係で、よく電話のやりとりもしていますし、メールのやりとりもしています。私はよく市役所に行きますし、郡さんも私のところにふらっといらっしゃっていろいろ意見交換をさせていただいておりますので、そこは間違いなくいい関係であるということでございます。コロナの前は一緒にお酒を飲みながらもありましたし、一緒に食事しながらもございましたので御安心いただきたいと思います。県内の全ての首長と仲良くさせていただいております。 美術館含めて仙台市内にある県立の施設について、仙台市といろいろ協力しながらやっていくことは非常に重要だと思ってございます。美術館につきましてもここに至るまで、仙台市さん、一緒に何かやりませんかと、あるいは仙台市さん、受け取る気はありませんかと、いろいろなことを相談させていただいたのは事実です。その結果、仙台市さんとしては宮城県美術館に仙台市が今関与するつもりはありませんということでありましたので、このような形になったということでございます。今後、美術館に限らずいろいろな県立の施設については仙台市さんとなるべく歩調を合わせるように、よく意思疎通を図ってまいりたいと思います。 ○議長(石川光次郎君) 十二番枡和也君。 ◆十二番(枡和也君) ぜひそうしていただきたいと思います。 それから、ミライロIDの件について検討するということなのですが、高齢者にとってデジタル化は使い勝手がどうかと思うのですけれども、どうしてもデジタル化が進んでいるものですから。先ほど検討ということだったのですが、その検討は前向きに検討なのか、普通の検討なのか、その辺だけ確認させてください。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 今、議員が御指摘されたように、私は非常にいいと思うのです。検討したいと思うのですが、先ほどおっしゃっていたように、障害者手帳情報をスマホで読み取ってという形で、便利なツールではあるのですが……。私の母も九十歳で障害者手帳を持っているのですが、スマホは扱えない、携帯電話もちゃんとは扱えないという状況ですので、紙の手帳も必要であるということです。したがって、他県の例などもよく調べて、本当に障害を持った方あるいは高齢者の方が使えるようなツールなのかどうかということ、ほかの県がちゃんと使えているのかどうかということを調べたいと思います。それから、マイナンバーカードが今後免許証と一緒になるということがありまして、恐らく健康保険証、あるいはその他もいろいろ変わってくると思いますので、そういった状況なども見ながら、一番いいものを選択してまいりたいと思っております。 ○議長(石川光次郎君) 暫時休憩いたします。    午前十時五十七分休憩-----------------------------------    午前十一時九分再開 ○議長(石川光次郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。三十五番外崎浩子君。    〔三十五番 外崎浩子君登壇〕 ◆三十五番(外崎浩子君) 外崎浩子です。議長のお許しを得ましたので、ここに一般質問を行わせていただきます。 大綱第一点目、宮城県美術館の今後についてです。 村井知事の四期目も終盤に差しかかりました。私も二〇〇五年に県議会初挑戦のとき、村井知事と同日選挙、これまで十五年間途中四年は外側からではありますが、村井知事のかじ取りを間近で拝見してまいりました。村井知事はこれまで産業経済に力を入れ、トヨタ自動車の誘致にはじまり、昨今の攻めの福祉政策としてのアンドロイドを使った認知症対策、更にはケアマネジャーの規制緩和に向けた法改正など数々の成果を成し遂げてきたと感じております。しかしながら、昨年の宿泊税では関係各所から突拍子もない、説明不足、四苦八苦税などとやゆされるほど、御自身の思惑どおりに進まなかった局面だったのではないでしょうか。そして、東日本大震災からの復興事業だけでも引き続き困難を極める状況である中、昨年秋には丸森町、角田市、そして黒川郡、大崎市を襲った台風十九号による大雨被害、追い打ちをかける新型コロナウイルスによる世の中の大変貌。これまで経験したことのない試練であります。これまで幾度となく大きな波を乗り越えてきた村井県政にあっても、経済政策へのアクセルと医療現場でのブレーキという難題が降りかかってきております。休校措置の取られる教育現場について、村井知事は全国知事会で大学生の九月入学を提案し大いに話題となり、折しも新型コロナウイルス対策で暗中模索の教育界において、これをきっかけとして全国的に議論が沸騰したことも思い返されます。 さきの九月定例会においては原発稼働問題、更には病院統合問題など怒涛のように押し寄せて出てきた諸課題は、更に村井県政に対する県民の不安を駆り立てたように感じました。しかし、一方において私は今般の県立美術館移転現状維持の決断は、まさに村井知事の英断だったと考えます。村井知事は、御本人も自分は芸術に疎いと率直におっしゃっておられました。これまでの県政においての経済政策、他の自治体へのリーダーシップの発揮などから見れば、確かに今回の芸術文化の分野は、ともすれば村井知事の一番苦手とする分野だったかもしれません。しかし、御自身の初期の過ちともいえる価値の看過をしっかり認めた上で、美術館の移転案を取り下げたこと、そして新たな一歩を歩み始めたこのことは、これまで不安の中で様々な意見を投げかけていた県民の心に真摯に響いたものと私は確信をしております。私は決して県政の与党議員だからといって、このようなことを言っているのではありません。この見解に至る理由の一つには、知事がお書きになり一時はアマゾンでベストセラーになった「自分に自信がない人を卒業する四十四のヒント、東日本大震災復興のリーダーが語る」を読むと知事の決断の端緒がかいま見えるのであります。その一説にはダーウィンの進化論を引用した箇所があり、そこには強い者が生き残るわけではないし、賢いものが生き残るわけでもない。常に環境に適応して変化し続ける者が生き残る、環境が変化したのにこのやり方で間違いないと、それまでの自分の考え方や行動パターンに固執していると絶滅の道を歩んでしまう。自分はいこじになっていないか、環境に適応できる柔軟な体制を取っているか、時々振り返ってみることが肝腎と書かれております。今回この言葉が私の頭をよぎり、このことをまさに実践し行動に移された結果が、知事の一貫した政治姿勢に表れているのだと確信をいたしました。そのような状況から、知事にお尋ねをいたします。 まず、今回の移転撤回について、結論については納得をすることといたしました。しかしながら、知事が県民に対して県有施設等の再編成を言及した平成元年十一月、その十一月議会の複数の議員に対する一般質問の答弁では、少子化の問題や施設の老朽化、現在の美術館のバリアフリー化への急務、そして今回仮に大規模修繕しても十年、十五年後にはどこかに移さなければならないなどの移転理由の具体的な厳しい言及が見られます。今回の結論に至ったきっかけは、コンサルタント会社に費用を投じ調査研究をしメリット、デメリットを推しはかった上での結論であるとしんしゃくいたしますが、少子化についても昨年の状況とはもちろん大きく変わっているわけでもありませんし、これまでの知事のお考えになっていた移転の必要性についての持論と、今回知事が移転撤回を決断した結果についてはそごが生じないのか。この結論への経緯について知事の言葉で県民に説明すべきと思いますが、いかがでしょうか。 知事は、同時期の答弁においては、建築家前川國男氏の設計については高く評価されていると既に認識しておられることから、ただ単に芸術的価値の改めての認識がきっかけであるとは考えづらいと思います。その際、美術館運営に関してのイニシャルコストの認識、あるいはこれからのランニングコストの負担増については議論を別の機会に譲ることといたしましても、それまでの検討の途上において民間への譲渡なども選択肢の一つとして検討していたとのこと。あくまでも今後については、知事がお示しになったC案を実行しても、実際には経済的負担も増すことは目に見えております。実際の運営を民間委託にするなどの運営方針自体の検討がなされているのかを確認いたします。 また、この美術館が三十八年前に開館したときの初期の目的に帰依すれば、宮城県の造形教育の礎をこの美術館が担っていたと申し上げても過言ではないと思います。当時、特にこの美術館の担っていた小・中学生に対しての造形教育への貢献は、全国各地から視察者が後を絶たない活況を示しておりました。それがいつしかかなりの制約で利用が制限され、子供たちの声が消え、ある意味孤高の美術館となってしまったことは我々県民としても残念なことだったと思います。全ての県民に開かれた美術館、そして更には現在も創作を重ねていらっしゃる宮城の芸術家を醸成する場としてもこの場が大いに活用されますよう、いま一度の利用状況、利用規約などの見直しを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。 今回のことは、宮城県政史上まれに見る県民運動の盛り上がりが政策決定に影響を及ぼした事例として、長く語り継がれることと思います。それは、大きな政治的なベクトルが働いた事象ではなく、純粋に宮城県民の熱意が活動へとつながったことであると感じています。そうしたことから、この二十八日には県民の皆さんへの説明会が開かれ、今後はこうした方々とともによりよい県有施設、特に美術館運営に邁進されていくと存じます。もちろん、設計や修繕そのものについては専門家の方々がしっかりと推進されていくべきと思いますが、こうして出来上がった民間団体の美術館応援団の皆さんとの連携強化、あるいは更に美術館をよりよいものとする懇話会の継続的な開催について、その可能性についてお聞かせください。 大綱二点目です。 宮城の女性と子供たちの課題についてです。 昨年の十月まで四年間のインターバルを挟み、改めて選挙に挑戦し取り組みたかった課題の一つが、宮城で生きる女性たちそして子供たちについての問題でした。宮城県議会はこの五月に坂下やすこさんという大事な仲間を失ったことにより、宮城県議会の中で女性議員の割合が全国平均の一一・四%を少し上回る程度の一二・二八%。男性優位の議会ではありますが、努めて女性や子供たちに目を向け、課題として認識を深め、議員一丸となって、改めてバランスの取れた政策立案を目指すものと考えるものです。 まず宮城県の少子化対策についてです。 女性の晩婚化、子供は欲しいけれど仕事が優先、個人個人で課題が違うと思います。国でもやっと議論が真剣に行われ始まったのが、少子化解決に向けての不妊治療への助成についてです。宮城県は現在特定不妊治療に要した費用に対して、一回の治療につき十五万円あるいは治療によって七・五万円まで助成をしております。国においても、不妊治療の保険適用など弾力的な政策を現在検討中であります。しかし、実際に治療を受けられている方々にとっては、引き続き厳しい状況にあることは間違いありません。治療と仕事との両立、年齢制限の限界、所得による制限などもその足かせとなっていることが挙げられます。そうした中この二月に長野県におきましては、県職員の不妊治療休暇の導入がニュースで取り上げられました。申告すれば治療のため、一年間の休暇を取得することができるというニュース。現在宮城県においては、こうした先進的事例に対してどのようにお考えか、まずお聞かせください。 結婚についてもお伺いします。 この九月、知事のもとに南三陸町議会からの意見書が届けられました。地域全体として人口減少が著しくその流れに歯止めがかからない、今後議会として特に結婚活動支援事業を展開したいとの要望でした。既に愛媛県においては結婚支援センターを開設し、年間二百回を超える結婚支援イベントの開催、また賛同する企業が主体となって、県が認定した仲人的なボランティア推進員が活躍するなど効果を生んでいるそうです。秋田県においてもAIによるマッチング事業など、結婚支援センターが取り持つ件数が上がってきている現状があり、ぜひ宮城県においても積極的な取組を望みますが、いかがでしょうか。 そして更に子供たちに改めて目を転じます。 議会を離れておりました四年間のうち、私は泉区の小学校において二年間、一年生のサポーターとして通っておりました。子供たちは皆元気で明るく伸び伸びと生活をしており、学力や体力で四十七都道府県中四十台をさまよっている暗いイメージはありませんでした。逆に大人がそのことに一喜一憂してしまい、萎縮しデータでがんじがらめになっている、そのこと自体に課題を感じています。先生方の多忙、少人数学級への検討など様々な課題が浮かぶ学校現場ですが、今後ますます進むであろう少子化に向けて、学校が、親が、そして地域全体が子供たちをどう支えていくかを考える時期に差しかかっているのだろうと実感をいたしました。その点において、今進められている地域学校協働活動、コミュニティー・スクールについては、県内いずれの市町村においても地域と学校がパートナーとなり、子供たちとともに大人も学び合い、つながりを深めていく姿が更に求められているといえましょう。宮城県においてのこの活動の現状を伺うものです。 子供たちをめぐる環境は以前とは大きく変わってきております。道で大人に会ったら挨拶をするであったことが、知らない人に声をかけられても返事はしない、何かあったら子ども一一〇番に逃げ込む、そうした状況の中で、子供たちの安心、安全は引き続きしっかり守っていかなくてはなりません。十月の初旬には泉区など仙台市内の小中学校にメールで爆破予告がなされるといった事例があったことは記憶に新しいと思います。仙台市、多賀城市、角田市、岩沼市、名取市などに攻撃予告が入り、急遽学校側は下校時刻を繰り上げたり、保護者に子供たちの引渡しを行ったりなどの措置が取られました。このような事例から見る子供たちの安全確保について、県警本部にこの事案のその後の調査結果や今後の取組状況をお伺いするものです。 さて、先月十一月は児童虐待防止推進月間だったということで、関連の質問を行わせていただきます。 自由民主党女性局においては、平成二十二年から全国組織を挙げてこの問題に取り組んでおり、今年は十年目の節目となりました。しかし、現状においては皆様御案内のとおり、全国的にも件数は増加傾向にあり、令和元年度の十九万三千件、宮城県でも今朝ほど速報値で発表されておりましたが県内で相談件数二千三百四十件、過去最高というデータで深刻な状況が引き続いております。平成三十年三月に東京都目黒区において、平成三十一年一月には千葉県野田市において、更に同じ一月仙台市において双子の児童が虐待を受け、一名が死亡、一名に脱水症状などを負わせるという痛ましい事件が発生、同三月には、七歳の児童が父親に首を絞められて死亡するなどの事件が起きています。国においても、児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策や児童虐待防止対策体制総合強化プランなど打ち出されておりますが、水面下で進行しつつある事例については後を絶たない状況であると認識しております。 そのような深刻な現状を受け、宮城県の対応について伺います。 まず前回九月定例会において、国への意見書の提出を行った児童相談所の体制強化につきましては、児童福祉司を迅速に配置すべきと考えます。国の地方交付税措置においては人口百七十万人の標準団体において六十三人となっており、宮城県においても急務と思われますが進捗状況、人材確保への取組をお聞かせください。 また、虐待された子供と虐待した親に対するカウンセリングや治療プログラムなどの実施など、国では対象経費二分の一を補助する制度がありますが、実施状況、成果を伺います。 また、親元で育つことが困難な子供に対して、パーマネンシーといわれる永続的な養育環境を保障するために、平成二十八年に児童福祉法が改正され、児童相談所の業務として養子縁組に関する相談、支援が明確化されていますが、その後の取組状況はいかがでしょう、お伺いします。 このように諸課題について述べてまいりましたが、現在、新型コロナウイルス対策という状況に鑑み、更に質問を重ねます。 まず、女性の課題につきましては新型コロナウイルス流行下における妊産婦対策が課題となると思われます。 現在、妊娠をしているお母さん方にとって一番の懸念は、御本人が感染してしまうのではないだろうか、あるいは感染したのではないだろうかとの精神的、心理的ストレスが大きくなっている現状です。ふだんであっても、妊娠出産は大きな出来事であり、その上更にこのような現状、宮城県としてこうした中でのまさに文字どおり寄り添う支援を望むものですが、いかがでしょうか。 罹患してしまった妊婦さんが出産の場合は、いきむことによる他者への感染、そして何よりも新生児はお母さんがいきむことを避けるために帝王切開となる率が高く、生後二週間の母子分離なども予測されます。国においても二次補正で百六十三億円という予算づけがなされた分野でありますが、宮城県における不安を抱える妊婦に対する分娩前のウイルス検査の実施状況を伺います。 また、国が二分の一負担によって予算づけをしているオンラインによる妊婦さんへの保健指導、更には里帰り出産が困難な妊産婦に対しての育児等支援サービスの宮城県内における提供状況についてお示しください。 更に、妊娠中及び出産後の女性労働者の対応についてお伺いします。 国においては、男女雇用機会均等法第十三条を改正し、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置を整備しています。このことにより、妊娠中・出産後一年以内の女性労働者が母子保健法の保健指導を健康診断の際に、医師や助産師から指導を受けてそれを事業主に申し出た場合には、その指導事項を守ることができるように必要な措置を講じることが事業主に義務づけられました。こうした事業の周知徹底が宮城県においてはどの程度図られているか、そしてこのツールとしての母性健康管理指導事項連絡カードの活用促進について、お伺いします。 また、村井知事には更なるこうした国での措置をぜひとも宮城県内の経済界に対して強く周知徹底を呼びかけていただきたいと存じます。いかがでしょうか。 妊娠出産は人生の一大事です。母と子という二つの命を守るという観点から、妊娠中の女性労働者が安心して妊娠を継続し、子供を産み育てられるような環境の整備を強く要望いたします。 更には、学校現場についてです。 このコロナ禍において現場においては、地域のボランティアの方々が活躍していることも指摘をしておかなければいけません。生徒が下校した後の消毒作業につきましては、宮城県内の最低賃金ほどの謝礼で週二回から三回行っている学校が多いと伺っています。しかしながら、学校の中にはその消毒を受け持っていた御父兄やボランティアの中から罹患者を生んでしまう可能性もあり、看過できない状況にあります。このような点から、学校の消毒作業についての今後についてお伺いします。 更に、学校においては新年度の学校休業措置という大きな局面もあったことから、校内での罹患については先生方も心を砕いていらっしゃることと存じますが、文部科学省初等中等教育局において検討が重ねられている学校等欠席者・感染症情報システムと統合型校務支援システムについてお伺いします。 学校等欠席者・感染症情報システムについては、十一月末日までで一旦終了し再延長をしているようですが、今後改めて新規導入し連携することとなっている統合型校務支援システムについての参加はどのように進んでいるのか、お聞かせください。 そして、このような事業展開を活用することによって、公衆衛生学的に学校に介入することによって、保健福祉部、保健所、学校医、学校薬剤師などとの面的な専門家の連携が図られることを望むものですが、いかがでしょうか。 以上、この項目の質問をいたしましたが、これで閉じさせていただきます。 大綱三点目、世界に貢献、地元に還元の国際経済戦略です。 伊達政宗公は一六一一年慶長三陸地震の二年後である一六一三年にサン・ファン・バウティスタ号を出航させ、海外貿易で復興を図ろうといたしました。令和の宮城、村井県政を翻ってみますと、震災からの十年がたとうとしている今、そのような歴史的経緯も踏まえ、みやぎ国際戦略プランでは、県内企業の海外展開促進や海外販路拡大、積極的な外資系企業誘致、外国人観光客の獲得、多文化共生などがこれまで培ってきた経験を基に高らかにうたわれておりました。エアラインの定期便化、アジア、欧米からのインバウンドの増加など期待が持たれた分野でした。ただし、現状においてはこのコロナ禍の中、世界への渡航はままならない状況にあり、宮城県がこれまで行ってきた国際戦略プランがこれまでにないほどの打撃を受け、頓挫していることも事実であります。 ただこの状況は宮城県だけではなく、他のどの地域にあっても状況は同じです。この状況は世界中に蔓延しており、誰もが逃れることのできない状況であります。こうした状況にあってあの東日本大震災を経験した我々だからこそ、英知を生かし、コロナ禍に打ち勝つ道を見つけることができるはずであると確信をしています。海外への通商手段が途絶えていると思われている昨今ではありますが、航空貨物運送協会の取りまとめによると、十月の日本発航空貨物の輸出取扱い実績は二十三か月ぶりプラスへ転じつつあり、アジア向けが増加、更には自動車関連の出荷増により東南アジアが復調しつつあるとの報告がされており、貨物事業は今後も伸びが見込まれると思われます。そして、この十一月大きな話題となったアメリカ大統領選挙でありますが、あの東日本大震災のとき当時の副大統領だったバイデン氏がこの地を訪れ、トモダチ作戦で仙台空港を見事に復活させた米軍を応援しに来県した際の姿は、記憶に新しいものであります。そのバイデン氏の本拠地でもあり、宮城県との姉妹州である米国デラウェア州のドーバー空軍基地には昨年まで宮城県が二年連続で、東日本大震災の際のトモダチ作戦のお礼として、本県の日本酒を売り込むため総司令官を表敬し、宮城県をセールスしてきたことなど、改めて海外をマーケットにした大きなチャンスを生かすべきと考えています。 宮城県の取組の中、経済商工関連の施策については、小規模事業者の方々や県内での企業支援、あるいはこの年末も厳しい状況を迎えるであろう飲食業関連の方々に向けての支援充実をこれまで以上に徹底してきめ細やかに行っていくことは、何よりも重要であります。一方において、これまで述べてきたとおり宮城県が着実に積み重ねてきた海外との連携については、こうした世の中の厳しい状況の中にあっても歩みを一歩たりとも止めず、産学官連携を強化するなどして東北大学などと連携した世界的研究シーズを海外に売り込むチャンスと捉えたいのです。阪神大震災以降、関西圏では外資系誘致を積極的に展開した結果、GDPを八%に押し上げ経済はV字回復を成し遂げています。このコロナ禍も震災復興も国内のみを見て判断するのではなく、国際的な視野を持って、経済回復のきっかけを大いに探るべきと考えるものです。 先ほども述べましたとおり、宮城県は震災以前より経済州米国デラウェア州やイタリアやドイツ等を対象に外資誘致、海外発信を行い、県内企業と海外企業とのマッチングにより、成功事例をこれまで数多くつくってきました。二〇一九年一月には、村井知事はEUとナノテク分野では日本で初めて覚書を締結し、EUから二十企業が来県、昨年二〇一九年もEU企業十四社が来県し地元企業とのマッチングをし、それぞれ商談につながる実績を収めています。放射光施設でますます東北大学の世界的シーズが今まで以上に海外の企業の注目を集めています。知事が十年前に掲げた富県宮城GDP十兆円ですが、当時誰もがその耳を疑ったでありましょう。しかし今や既に九・四兆円に達し、その目標達成のゴールも現実味を帯びてきたと思います。国際企画課を中心として、フィリップス社を宮城県に誘致し、二〇一八年同社にとって日本初のR&Dが開発されましたが、この結果は少なくとも年三億円相当になると思われます。現在、経済産業省は対日投資を英米並みの比率に上げるべく、東京、大阪以外の地方に期待しており、宮城県は兵庫県、神奈川県などの先進県と肩を並べるばかりか、これまでの海外への取組状況によって頭一つぬきんでているとの評価もあります。東北大学の研究シーズを欧米を中心とする海外に紹介し、海外企業との本県企業をマッチングさせ、誘致につなげるという宮城県の手法が経済産業省の目に留まり、この六月には東北大学にジェトロのイノベーションデスクが開設されたことで、更に宮城県から海外への門戸が広がったといえましょう。 宮城県が過去二年間に、東北大学の四名の研究者をプロモートしてまいりましたが、そのうち世界一兆円市場を持つ准教授は、今年十月のBIO Digital Tour二〇二〇という欧州企業との商談会で、世界ランキングベスト二十に入っている十一社から商談オファーがあり、現在その半数と継続交渉をしております。これらの企業の販売額は数百億円であるとも推察をされています。大学へのロイヤルティーのみならず、本県のGDPにも貢献するこのような足元で起こっている宮城県の取組を将来に生かすべきであると考えますが、東北大学との現在進行形の取組状況についてお聞かせください。 他県や海外からの注目を得ているにもかかわらず、そのまま立ち止まってしまうのは誠に残念です。もっと宮城から発信する国際経済分野への取組を強化することによって、釣堀のような国内競争ではなく、まさに政宗公が海外通商により慶長三陸地震の復興を目指したように、宮城県らしい海外戦略を進めるべきだと思います。現状においては、様々動きが制限される国際経済に向けた分野でありますが、このような状況であるからこそ移動時間をかけずにオンラインなどでやりとりをし、プロモーションの新しい様式を確立しながら、世界各地を市場とし、認識できる最良のチャンスであると認識をいたしております。よくパリ(都会)で認められるものは、マルセイユ(つまり田舎)では認められない、などと言われておりますが、東北のキャピタル宮城は、いつまでも震災をネガティブな要素で受け身で待つのではなく、臆することなく、震災十年を経て海外からも貪欲に経済回復の芽を取り込むことが、他の東北の県を鼓舞しこれまでこうした分野で取り組んでこられた県民の皆さん、県職員の皆さんにも大きなエールとなると思われます。村井知事の今後の意気込みを御自身のお言葉でお聞きし、壇上からの質問とさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 外崎浩子議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 まず大綱一点目、宮城県美術館の今後についての御質問にお答えいたします。 初めに、美術館移転から一転して現地存続を決断したことにそごは生じないのかとのお尋ねにお答えいたします。 今年三月に策定した県有施設等の再編に関する基本方針は、県有施設の規模の適正化と施設機能の強化の実現などを基本的な考え方としており、今後急激に進行する人口減少や少子高齢化に対応するため、重要な視点であると考えております。その上で、今年度行ったメリット、デメリットの分析において、美術館については現地で増築を伴わない改修を行うことにより、現状よりも機能が向上し長寿命化による施設の老朽化への対応など主な課題が解消できること、更にはライフサイクルコストにも一定の優位性があることが明らかとなりました。今回、増築を伴わない現地改修の方針案としたことは、建物を維持、承継することによる歴史的価値のほか、財政負担を含めた様々な観点から検討を重ねてきた結果であり、文化的な視点と行政経営的な視点の両立を図ることができるものと考えております。 次に、現地存続の決定に至った経緯について、自らの言葉で県民に対し説明すべきとの御質問にお答えいたします。 今回の施設整備の在り方については、県民の皆様の関心も高く、これまで時間をかけて慎重に検討を進めてまいりましたが、このたび、県としての方針案を定めましたことから、先月記者会見を通じてこれまでの経緯も含め、御説明をさせていただきました。内容に対する受け止めは様々あろうかとは思いますが、私の率直な思いをお伝えすることができたのではないかと考えております。 次に大綱二点目、宮城の女性と子供たちの課題についての御質問にお答えいたします。 初めに、職員の不妊治療のための休暇についてのお尋ねにお答えいたします。 不妊治療については、十月末に行われた今年の人事委員会報告でも取り上げられ、少子化対策の推進や、働く個人のワーク・ライフ・バランスの重要性が増す中、育児や介護等と同様に不妊治療を受けやすい職場環境の実現に向けた具体的な検討が必要であるとされました。また、先月行われました職員団体との交渉においても、不妊治療休暇の早期の新設について要望されたところであります。不妊治療のため、何らかの休暇制度を設けているのは十一府県とまだ少ない状況にありますが、県が不妊治療と仕事を両立できる環境整備に取り組むことで民間への波及効果も期待できることから、他県の状況も確認しながら、早期の特別休暇制度導入に向けて前向きに取り組んでまいりたいと思います。 次に、結婚支援についての御質問にお答えいたします。 県では、少子化の一因である未婚化・晩婚化に対応するため、平成二十八年度からみやぎ青年婚活サポートセンターを設置し、結婚相談や婚活イベントの開催などの結婚支援を実施しております。御指摘のとおり、他県ではAIを活用したマッチングシステムなど、先進的な取組を進めている事例もあり効果を上げております。今後我が県でも、AIマッチングの導入により婚活の利便性や効率性を高めるとともに、市町村の取組とも連携し出会いの機会を拡大するなど、結婚支援の充実に一層力を入れてまいります。 次に大綱三点目、世界に貢献、地元に還元の国際経済戦略についての御質問のうち、国際戦略に対する意気込みについてのお尋ねにお答えいたします。 県では、海外との交流を県内経済の発展につなげるための基本的な指針として、みやぎ国際戦略プランを策定し、県内企業の海外販路の開拓、拡大や海外からの投資及びインバウンド誘客の促進などの取組を積極的に進めてまいりました。今年一月以降、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大する中、海外展開を行おうとする企業にとっては、対面での交渉が困難となる一方で、一般化してまいりましたオンラインによるセミナーや商談会、見本市などを活用することで、新たな取引を開拓する機会が生じてきております。新型コロナウイルス感染症の影響下であっても、伊達政宗公の慶長遣欧使節派遣の志に思いをはせながら、県内経済の更なるグローバル化をしっかりと進め、県内産業の持続的な成長を促進し、富県躍進につなげてまいりたいと思います。また、御紹介のありました東北大学としっかりと連携を取ってまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(石川光次郎君) 保健福祉部長伊藤哲也君。    〔保健福祉部長 伊藤哲也君登壇〕 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 大綱二点目、宮城の女性と子供たちの課題についての御質問のうち、児童福祉司の増員等についてのお尋ねにお答えいたします。 県の児童相談所の児童福祉司については、国の人員配置基準に基づき令和四年度までに四十八名とすることが求められております。このため、資格を有する職員の配置換えや採用などにより計画的に増員しており、今年十二月一日現在で昨年度より十一名増の四十三名となっております。また、児童相談所に勤務する児童福祉司等の処遇改善を図るため、社会福祉業務手当を増額する条例改正案を今議会に提出しております。今後とも、業務が複雑・困難化する児童相談所の現状に対応するため、計画的に職員の配置、育成に努めてまいります。 次に、虐待された児童や親に対する支援についての御質問にお答えいたします。 児童相談所では、虐待された児童の心身のケアを行うとともに、虐待の再発を防止するための保護者指導を行っております。国庫補助制度を活用した親子支援プログラムの取組については、外部の専門機関と連携し、虐待予防、親子関係の再構築を目的としたカウンセリングや宿泊体験プログラムを実施しており、今年十一月末現在でこれまで十六家族が支援プログラムを利用し、四ケースが家庭復帰に至っております。また、今年度から新たに要支援家庭や育児に悩む保護者を対象としたすこやか子育て講座を開催し、体罰によらない子育てや怒りのコントロール方法などについて助言を行っております。今後も関係機関と連携の上、支援内容の更なる充実に努めてまいります。 次に、養子縁組に関する取組についての御質問にお答えいたします。 児童相談所では、養子縁組を希望する方からの相談対応や家庭裁判所への特別養子縁組の申立て手続を行うなどの支援を行っております。また、平成二十九年に設置したみやぎ里親支援センターけやきでは、児童相談所と連携し養子縁組里親からの相談対応や児童とのマッチング、研修会、交流会などの取組も行っております。なお、今年四月から特別養子縁組の対象児童年齢が原則十五歳未満に引き上げられるなど、特別養子縁組の成立要件を緩和するための法改正も行われていることから、特別養子縁組制度の利用促進にも努めてまいります。 次に、妊産婦に寄り添う支援の必要性についての御質問にお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症の流行が続く中で、妊産婦は日常生活等が制約され、自身のみならず胎児・新生児の健康等について強い不安を抱えて生活しており、妊産婦への支援は大変重要であると認識しております。そのため、我が県では不安を抱える妊産婦が電話で専門的な相談ができるよう一般社団法人宮城県助産師会と連携し、助産師による妊産婦電話相談を七月から開始いたしました。また、新型コロナウイルスに感染した妊産婦に対しては、希望に応じて助産師や保健師等が不安や悩みを伺い、健康管理や育児に関する助言を行う体制を整備しており、今後も妊産婦が地域で安心して生活できるよう支援してまいります。 次に、不安を抱える妊婦に対するウイルス検査の実施状況についての御質問にお答えいたします。 県では、国の第二次補正予算で計上された妊産婦総合対策事業を活用して、症状はないものの感染不安を抱える妊婦が希望する場合、自己負担なく検査を受けられる体制を整備しており、十一月末現在の速報値ですが一千百四十一人の妊婦が検査を受けております。 次に、オンラインによる保健指導等についての御質問にお答えいたします。 国の第二次補正予算では、保健指導などをオンラインにより実施する費用や里帰り出産が困難な妊産婦が民間事業者等による育児等支援サービスを利用した際の費用に関して、市町村に対する補助制度が創設されたところであり、県内ではオンラインによる保健指導等に四市町から申請があったところです。県としましては、市町村において地域のニーズを踏まえながら、これらの事業が積極的に活用されるよう促してまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(石川光次郎君) 経済商工観光部長千葉隆政君。    〔経済商工観光部長 千葉隆政君登壇〕 ◎経済商工観光部長(千葉隆政君) 大綱二点目、宮城の女性と子供たちの課題についての御質問のうち、母性健康管理措置の周知についてのお尋ねにお答えいたします。 男女雇用機会均等法第十三条第一項に基づく母性健康管理措置については、新型コロナウイルス感染症に関する措置が新たに規定され、今年五月七日から来年一月三十一日までの間適用されることとなりました。制度が施行されるに当たり、県内向けには宮城労働局から市町村、関係医療機関、労働・経済団体等に対して周知の要請が行われております。また、県でもみやぎ県政だよりに措置の概要を掲載したほか、母性健康管理指導事項連絡カードの活用促進も含めホームページに掲載するなど、周知に努めております。県といたしましては一層の制度の活用が図られるよう、改めて県内経済団体に対して関係企業への周知について文書で要請することとしております。 次に大綱三点目、世界に貢献、地元に還元の国際経済戦略についての御質問のうち、東北大学との連携の現況についてのお尋ねにお答えいたします。 県ではこれまで、ナノテクノロジーやライフサイエンス分野の研究開発拠点等の誘致に向けて、世界的に優位性のある東北大学の研究シーズを中心に海外でのプロモーションやビジネスマッチング等に取り組んでまいりました。また、東北大学では海外との連携を推進するため新たに共創戦略センターを今年四月に設置したほか、六月には同センター内にジェトロ・イノベーションデスクを開設し海外向けに学内研究シーズの集約化を図るとともに、海外企業と大学の共同研究等を促進する体制が整ったところです。現在、新型コロナウイルス感染症の影響により国際ビジネスの推進には様々な制約があるものの、デジタル化の進展によってオンラインによるセミナーや商談の機会も増えております。県といたしましてはこうした動きを好機と捉え、これまでの誘致活動に加えオンラインも積極的に活用し、東北大学やジェトロなどとしっかりと協力しながら海外企業の誘致に取り組んでまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(石川光次郎君) 教育委員会教育長伊東昭代君。    〔教育委員会教育長 伊東昭代君登壇〕 ◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 大綱一点目、宮城県美術館の今後についての御質問のうち、運営方針の検討状況についてのお尋ねにお答えいたします。 今回のメリット・デメリット分析におけるランニングコストは、現在の運営費等を基に推計されております。今後、現地改修の方針が決定された場合には、美術館の機能・役割や、これまでの管理運営状況を踏まえ、PFI手法導入の適否を検討するなど、定められた必要な手続も経ながら、適切な整備・運営手法の検討を進めてまいります。 次に、現在の美術館の利用状況の在り方を見直すべきとの御質問にお答えいたします。 県美術館では、優れた美術作品の鑑賞機会の提供及び創作活動の推進を図っております。特に、幼稚園から高校生までを対象に、美術探検、展示室でのギャラリートーク及びワークショップ、職場体験学習などの教育普及活動を幅広く展開しております。今後も、誰でもいつでも県民が自由に利用できるオープンアトリエとしての創作室の運営や鑑賞教育等を開催するとともに、利用促進に向けたPR等にも取り組んでまいります。 次に、民間団体との連携強化や対話の場を継続的に設ける可能性についての御質問にお答えいたします。 今般提示された施設整備方針案については、県民の皆様の声や県議会の御意見を受け止めながら、客観的な分析を行い検討されたものであると認識しております。美術館においては、学識経験者や公募委員等で構成される宮城県美術館協議会を設置し、専門家や県民の声を美術館の運営に反映させております。また、美術館設立時から個人や民間団体が会員となり、美術館の活動を応援してくださる宮城県美術館協力会が美術館と連携しながら、会報の発行や広報物の配布などの取組を行っております。今後も、美術館をよりよいものとしていくため、こうした連携を大切にしてまいります。 次に大綱二点目、宮城の女性と子供たちの課題についての御質問のうち、地域学校協働活動の現状についてのお尋ねにお答えいたします。 地域と学校が連携・協働し、幅広い地域住民の参画により、地域全体で子供たちの成長を支える地域学校協働活動は、学校を核とした地域づくりを進める上で重要な取組であると認識しております。県教育委員会では、活動の推進体制である地域学校協働本部の整備を各市町村と連携しながら進めており、現在県内公立小中学校の五四・三%に設置されております。また、地域と学校をつなぎ、活動の調整役となるコーディネーター等の人材育成が課題となっていることから、各種研修会を実施しております。県教育委員会としては、県内全ての公立小中学校に地域学校協働本部を整備し、活動に関わる地域住民の参画を広げることで、社会全体で子供を守り育てる環境づくりに努めてまいります。 次に、新型コロナウイルス感染症対策のための学校の消毒作業についての御質問にお答えいたします。 学校における感染防止を含めた清掃活動については、スクールサポートスタッフの配置のほか、地域のボランティア等の協力を得ている学校があると承知しております。文部科学省の衛生管理マニュアルでは、感染者が発生していない場合は特別な消毒は不要であり、日頃から家庭用洗剤等を用いた拭き掃除などで清潔な空間を保つことが重要とされております。今後とも児童生徒、教職員はもとより御協力いただく保護者、ボランティアの方々、スクールサポートスタッフへの感染防止にも十分に注意して取り組んでいただけるよう、的確な情報提供に努めてまいります。 次に、学校等欠席者・感染症情報システムと統合型校務支援システムとの連携や活用についての御質問にお答えいたします。 新型コロナウイルス感染症の蔓延防止のためには、学校での感染状況等を管理学校医や保健所などの衛生部局、医療関係者等との間で早期に情報共有をし、地域内での流行状況に応じて迅速に対策が講じられることが重要であると考えております。学校等での感染症の集団発生の把握などを目的とした学校等欠席者・感染症情報システムについては、県立学校のほか、ほぼ全ての市町村が利用しており、県内では、関係者間の情報共有体制が整備されているところです。また国においては、より効率的に情報収集できるよう、学校等欠席者・感染症情報システムと統合型校務支援システムとの連携事業について、来年度予算の概算要求に盛り込まれたところですが、詳細が明らかになっていないことから、県教育委員会といたしましてはこの事業に関する情報収集に努めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○議長(石川光次郎君) 警察本部長千野啓太郎君。    〔警察本部長 千野啓太郎君登壇〕 ◎警察本部長(千野啓太郎君) 大綱二点目、宮城の女性と子供たちの課題についての御質問のうち、爆破予告事案の調査結果と今後の対応についてのお尋ねにお答えいたします。 御指摘のありました事案は、県内の十市に対して、市役所や教育機関を十月七日にピストルや爆弾で攻撃する等の犯行予告がインターネットを通じてなされたものであり、県警察では本件を認知後直ちに関係機関との連絡体制を確立しながら、市役所庁舎や学校施設等の警戒を強化したところであります。本件では結果として具体的な攻撃の発生は見られませんでしたが、一部の小中学校で児童生徒の下校時刻を繰り上げる等の影響も生じており、県警察において鋭意捜査中でありますがその詳細につきましては答弁を差し控えさせていただきます。本件のようなインターネット上の犯行予告事案は他県でも発生していることから、引き続き他県警察等とも必要な情報交換を行いつつ、捜査に全力を尽くしてまいりますとともに今後同様の事案が発生した場合には、関係機関等と緊密に連携して警戒強化に当たるなど、子供たちをはじめ県民の安全確保に万全を期する所存であります。 以上でございます。 ○議長(石川光次郎君) 三十五番外崎浩子君。 ◆三十五番(外崎浩子君) 五年ぶりの一般質問でありましたので大変緊張いたしましたが、知事のほうからも皆様方職員の方々からも御丁寧な答弁ありがとうございました。 今回はやはりコロナ禍ということでございまして、その対策をやはりフィルターをかけていかなければいけないというこの状況にあります。経済の問題、医療の問題、大変に厳しい状況に来ているかと思っております。その中で先ほども妊産婦の方々に対しての対応につきましては大変丁寧な取組をしていらっしゃることを確認いたしまして、これからも大変な状況でありますが引き続きよろしくお願いしたいと思っております。 それから県職員の方々への不妊治療の特別休暇でありますが、大体どのぐらいの期間をということで想定をなさっていらっしゃるのか確認をさせてください。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 他県の事例を調べてみたところ、長いところで一年間に十日。短いところで六日というところもあります。また、無給であれば一年間どうぞというところもございます。したがってそれを参考にします。ただ、宮城県としては有給休暇のほうがいいだろうと、無給休暇ではなく有給休暇で考えたいと思ってございますので、何日でもというわけにはいきませんので、当然一年に一回治療ができるような形でというようなことで考えたいと思います。他県の事例をよく参考にしたいと思います。 ○議長(石川光次郎君) 三十五番外崎浩子君。 ◆三十五番(外崎浩子君) 女性の体につきましては大変デリケートな問題でございます。不妊治療ということで、期間も限られる、あるいは治療の日数もこの日ということでピンポイントでやらなければいけない、しかしそのときに仕事が入ってしまえばそちらを優先せざるを得ない。このような状況の中で、やはり子供が欲しいという方々が大勢いらっしゃると思います。その点を柔軟に検討していただきながらお進めいただきたいと思っております。 また、更には先ほどからお話のございました美術館です。知事の大変な英断は評価することといたしました。しかしながら、なぜかまだまだ腑に落ちなかった点は、やはり県民の皆様方への説明不足というところ、あるいはその情報開示の仕方というようなことでの不透明感が拭い切れなかったのかなと思っておりました。震災復興・企画部、それから教育庁のお話でそれぞれ皆様方とは様々な連携を取っていきたいとおっしゃってはいらっしゃるんですが、なかなかにそこが共通した項目で合わないというところがございます。こちらにつきましては、知事、これからの課題でありますが、いかがでしょうか。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 説明責任はあると思ってございますが、記者会見で私自分の言葉で相当丁寧にパワーポイントを使って説明をさせていただきました。記者会見はいつでもインターネットで見ることができますし、活字にもなっておりますし、手話でもお示ししておりますので……。手話はまだ、私の発表項目だけしか対応していなかったです、失礼しました。ということでございますので、皆さんに御覧いただけるような形にはなっていると思ってございます。それから、いろいろな資料が必要だということにつきましては当然のことだと思うのですが、正直申し上げまして今委託業者で作成しておりましたデータなのですが、これはまだ完成版ができておりません。完成版ができましたならば、当然出さないといけないと思います。ここに至るまでいつまでもというわけにいかないので、データを早めにもらって、それを我々、自分なりにそしゃくをしてということで、それについてはまとめたものを今議会中にでも、委員会で提出をするように部長には指示しておりますが、まだ完成品が出てない中で途中のものを出すということは業者との審議の問題もございまして、難しいということは御理解をいただきたい。ずっと隠し続けるということではなくて、いずれ表には出すのですが今は出せないということは御理解いただきたいということでございます。 ○議長(石川光次郎君) 三十五番外崎浩子君。 ◆三十五番(外崎浩子君) いま一度確認です。委員会でデータを正式に出していただけるということでございますか。 ○議長(石川光次郎君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 現時点で我々が持っておりますものを分かりやすくまとめたものをお出しすると。最終的な完成版の報告書、これぐらいの厚みになると思うのですけども、これは三月末までにはお出しできるのではないかと。まとめられれば、ということであります。 ○議長(石川光次郎君) 三十五番外崎浩子君。 ◆三十五番(外崎浩子君) 最後に、国際戦略についてです。今日は東北大学の大野総長もインターネットで御覧になっていただいていると伺っております。宮城県への応援団は大勢いらっしゃいますので、これまでの動きを、歩みを止めずに頑張っていただきたいと私からエールを送って、この一般質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。 ○議長(石川光次郎君) 暫時休憩いたします。    午後零時七分休憩-----------------------------------    午後一時十一分再開 ○副議長(齋藤正美君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。四十一番菅間進君。    〔四十一番 菅間 進君登壇〕 ◆四十一番(菅間進君) 宮城県美術館の道程とこれからについてお尋ねいたします。 まずもって、現地改修の知事の方針決定に大いなる賛意と同時に、その英断に対し敬意を表させていただきます。 さて、宮城県美術館の建築家である前川國男氏の没三十年の節目に出版された「建築の前夜 前川國男論」の著者、松隈洋という方がいらっしゃいます。晩年の前川國男氏の事務所に亡くなるまでの六年間、所員として勤めた経歴を持ち、現在は京都工芸繊維大学の教授をなさっています。その松隈教授の著書や講演記録により、以下、前川建築についてたどってまいります。 さて、御案内のとおり、二〇一六年、フランスの建築家ル・コルビュジエの手がけた十七件の建物が一括してユネスコ世界遺産に登録されました。日本国内では、国立西洋美術館がその一つということになりますが、そのル・コルビュジエをパリにあったアトリエで学んだ初めての日本人の弟子が前川國男氏であり、一九二八年、二十三歳のスタートでした。一九三〇年、日本に戻り東京帝室博物館をはじめとする様々なコンペに挑戦、一九三二年、青森県弘前市にはじめての作品、木村産業研究所を完成させます。画期的な広報を実現してのすばらしい作品となりましたが、たった一つの油断があった。それはル・コルビュジエと同じ建物を雪国の弘前市に造るとどうなるかについて、知識が全くなかったことで様々な痛みが生じてしまった。この手痛い挫折が前川氏のその後を決定づけた。前川氏は宮城県美術館にたどり着くまで何度となく挫折をしていると松隈氏は語っています。戦前、戦中の軌跡は省きますが、戦後の主だった美術館関係建物でも、一九五三年、国立近代美術館、一九五八年、ブリュッセル万博日本館、そして続く一九六〇年代に前川氏はようやく恒久的な美術館を手がけるチャンスを得ます。それが一九六三年に竣工する岡山県の林原美術館です。一九七一年、埼玉県立博物館、現埼玉県立歴史と民俗の博物館。一九七五年、東京都美術館。一九七六年、熊本県立美術館。一九七九年、福岡市美術館。特に松隈氏は、様々な軌跡を経て前川氏の合理主義的な造り方の一つの到達点は熊本県立美術館だと語っています。熊本県立美術館の竣工した頃に前川氏はこのような言葉を残しています。「建築を造り上げる素材及び工法は最も平凡なものが一番よいと考えます。そのような単純明快な素材及び工法によって非凡な結果を得ることこそが大切だと考えます。」。松隈氏は手痛い挫折を味わった木村産業研究所から随分時間をかけてつかんだ到達点の言葉と評しています。そして一九八一年、宮城県美術館に至ります。工法的にはプレキャスト・コンクリートのパネルをコンクリート外壁の外側に取り付ける方法への改良がありますが、松隈氏が前川國男氏の美術館の中で別な意味での到達点だと思っていると指摘するのは、宮城県美術館で初めて計画段階から学芸員の人たちとどういう美術館を造るかを議論することができたという点であります。宮城県美術館ができた際、前川氏は「美術を親しむ」という文章に「人生はままならぬもの、はかないものと感ずるばこそ、人が何か実存のあかしを確認したいという願いから詩を作り絵を描くという。人間誰もが持っている人生のはかなさ、頼りなさをてことして生まれる芸術は、だから我々の日常茶飯事に万人の芸術を生み出す契機が潜んでいる。」と記しています。松隈氏は、「この前川の思いと計画に携わった学芸員の共同作業があったからこそ、創作室や子供たちの造形遊戯室など市民が日常的に美術に親しむことができる場所が中庭を取り囲み、敷地の奥に広がる彫刻の置かれた庭園に通り抜けのできる新しい美術館が誕生したのだと思います。」と指摘しています。 さて、前川建築がどうそれぞれの地域で評価されているのか、また、建て替え等の考え方はどうなっているのか、美術館・文化ホール合築の経緯と合築の評価等について、無所属の会として今年度の調査テーマと掲げ現地調査を行ってまいりました。 六月上旬に熊本県立美術館、熊本県立劇場、福岡市美術館(前川建築)。七月上旬に島根県芸術文化センター「グラントワ」、愛知県芸術文化センター、長野県上田市の交流文化センターサントミューゼの合築例、八月下旬に弘前市庁舎、木村産業研究所など八施設(前川建築)、九月定例会終了後に林原美術館、岡山県庁舎(前川建築)、十一月初旬に埼玉県立歴史と民俗の博物館、埼玉会館(前川建築)。それぞれの調査について述べる時間は残念ながらありませんが、知る人ぞ知る前川建築・東京都内三施設を入れると前川國男作品を生かし、近代建築の観光資源化を促進しようとする近代建築ツーリズムネットワークの大半を調査、見ることができたものとして、松隈氏の語る前川國男氏の軌跡、それは人としてであり、作品でもあり、近代建築の価値や魅力とともに宮城県美術館に至るまでの道程を建築の素人である私でも感ずることができました。美術館は単なる美術品の展示場でもなく、収蔵品の収納場所でもなく、美術館の建物そのものも作品ですし美術館の敷地と取り巻く周辺環境も美術館の空気をつくっています。そして歴史を積み重ねることによって、よりその調和が醸し出されるものと改めて学ばさせてもらっています。宮城県美術館は、そういった点で宮城県民が誇れる美術館であることを今回の調査で私は再確認した次第ですが、その数字では測りにくい価値について宮城県美術館に対する知事の所感をお聞かせください。 今回、多くの市民団体の方々が現地存続を求め活動されてきましたが、地元紙の声の交差点や持論時論への投書が一般県民からも寄せられておりました。その一つ、前公益社団法人宮城県芸術協会理事長さんの持論時論の中に、県美術館建設以前の一九七一年、公益社団法人宮城県芸術協会は、二万七千四十二人の署名と建設促進を求める陳情書を当時の山本壮一郎知事に提出した経緯が記されておりました。慈善バザーの収益金を建設資金として寄附もし、一九七三年に県が設置した県立美術館建設準備委員会には宮城県芸術協会から七人が参加、建設地選定に指導的な役割を果たしてきたとも記されており、宮城県民が一から動いて県を動かし県とともに造り上げた作品だったことを恥ずかしながら初めて知った次第です。署名簿と陳情書を提出した十年後、宮城県美術館は竣工となったわけで、その歳月を考えると竣工時の喜びはひとしおであったろうと思われます。このような経緯での現宮城県美術館ということを知事はいつ知りましたか、所感を含めお尋ねいたします。 さて、宮城県美術館リニューアル基本構想策定に係る懇話会が二〇一五年に開催されてから、三年かけて二〇一八年三月の宮城県美術館基本方針が策定に至ります。この宮城県美術館リニューアル基本方針からの大転換については、多くの議員が指摘、質疑もなされていますが、私自身も昨年、改選後の文教警察委員会で報告を受け、宮城県美術館リニューアル基本方針の経緯も知っていただけに唖然としたのが正直なところであります。何で突然に方向転換となったのか、政策形成過程が教育委員会から手が離れているのでよく分からない。さきの九月定例会、決算特別委員会でようやく県有施設再編等調査検討事業費について質疑し、この事業決定が平成三十年、二〇一八年秋頃だという答弁があり動き始めがその頃だったのだと理解しましたが、更に確認したく以下、質問してまいります。 知事は記者会見で、突然の決定のように言われるが以前から検討していた旨の発言をされています。確かに宮城県公共施設等総合管理方針では、計画期間、二〇一六年度から二〇二五年度までの十年間。公共用施設の文化社会教育施設には、宮城県美術館、県民会館の現状及び課題が記されており、宮城県美術館については建設から三十四年が経過し施設設備の老朽化が進んでいることから、美術館としての中長期ビジョンを踏まえ、施設設備の改修を含めた宮城県美術館リニューアルに関する基本構想の策定を行うこととなっています。管理に関する基本的な考え方では八つの実施方針が掲げられ、長寿命化の実施方針では建物の構造や用途等による選別基準を定め、また実際の劣化状況を調査して建て替えと長寿命化のコストを比較した上で長寿命化すべき建物、大規模改修する建物を選別し、優先度を判断して適切な時期に改修・修繕等を行います等。総量適正化の推進方針では、一つ、個別施設計画を策定し各施設の必要性を精査し施設の統廃合を進めます。二つ、建て替え時期が到来した建物等については、国・市町村の施設との利用調整や多目的施設との合築等の方策を検討しますとあります。平成二十六年、二〇一〇年四月、総務省からのインフラ長寿命化基本計画の行動計画に当たるものと認識します。しかしながら、その段階では前述のように宮城県美術館リニューアルに関する基本構想の策定を行うこととしているわけであります。そして知事記者会見の記録を見ていて、大いなる変更がなぜあったのか教育委員会サイドばかり見ていた私にも腑に落ちる令和元年十二月十六日の記者会見があります。記者の経緯の質問に対し、「時期が前後どうだったかははっきり覚えていないですが、県民会館をどうにかしなければいけないという議論が出てきました。そこで私はとにかくこの機会にもう全ての一定の年限がたっている施設、老朽化している施設を今までのように場当たり的にパズルのように考えるのではなく一体的に考えようと思いました。」と。知事の考えだったのですね。続いてこう述べています。「県警は計画どおり整備していますので大丈夫ということで、県の持っている施設と教育委員会の持っている老朽化している施設を一緒になって考えようということで検討した中で、美術館を中に入れたらどうだろうかと職員の中からアイデアとして出てきていろいろ議論しました。」。 そこでお尋ねしますが、まず一点目、さきの決算特別委員会の震災復興・企画部長から県有施設再編等調査検討事業の決定について、平成三十年、二〇一八年秋頃と答弁をいただきました。ということは、その前に知事の一体的に考えようという指示の下にその方向性で議論を重ねていたということになります。実際、県有施設有効活用に向けた関係課会議が平成三十年、二〇一八年九月十八日に震災復興・企画部会議室で行われ、資料提供等の依頼が教育委員会にもなされたわけでありますので、構想としてはその前にできていなければならないし意思決定がなされていなければなりません。十二月十六日の知事の記者会見の続きで教育委員会との関係について、「教育委員会で議論しているときには私の指示が出る前でしたので、美術館単独で新たに移転ということを全然前提にしないで現在地でということです。その時点では私の方針も出ていませんでしたので、それはそれで一つのやり方だろうと私は思います。その後に私の方針が出て全体を見直したということです。」。確かに教育委員会と首長の職務分担を考えれば問題なしなのかもしれませんが、宮城県美術館リニューアル計画を認めてきた経緯を考えれば、あまりにも乱暴な知事の政策転換ではなかったのではないかと思います。思ってから指示、そして九月十八日の会議に至るまでの時系列を示しての会議等開催までの経緯についてお尋ねいたします。 次に、知事記者会見の「美術館を入れたらどうだろうかと職員の中からアイデアとして出てきていろいろ議論しました。」に続く、「これからの財政状況を考えて、また美術館としての機能をより発揮するにはそのほうがよいだろうという形になったと報告を受けました。」というのは、県有施設再編等の在り方検討懇話会を指しているのでしょうか。報告というのは第四回目の県有施設再編等の在り方検討懇話会を終えた段階でのことでしょうか。確認させていただくいただくとともに、そうであればどのような手順で報告されるに至ったのでしょうか、お尋ねいたします。恐らく県有施設再編等の在り方検討懇話会の経過をお示しいただくのではないかと思いますが、その設置についてはいつ誰が決めたのでしょうか。知事は指示をして、あとは担当部局に任せ報告を受けたということに至るのでしょうか、その点についてもお聞かせください。 次に、この県有施設再編等の在り方検討懇話会の開催要綱の目的についてですが、震災復興計画の終了を見据え、老朽化が進む県関係施設の再編整備や公有地の効果的な活用方策についてと始まります。読んで字のごとし、老朽化が進む県関係施設の再編整備と公有地の効果的な活用方策が目的になっておりますので、次の所掌事務の一、老朽化した県関係施設の再編・移転等の整備方針に関することの「等」で含みを持たせていますが、具体に言えば美術館の現地リニューアルは全く検討対象ではないということが読み取れます。私の読み方についての御見解をお聞かせください。なお、この県有施設再編等の在り方検討懇話会の目的、所掌事務を拝見するとあくまで意見聴取と認識しますが、それについても確認の意味でお尋ねいたします。 次に、当時の総務企画委員会、令和元年五月二十一日の報告事項でこの県有施設再編等の在り方検討懇話会について報告があり、委員から様々な意見が上がっていますが、構成員に建築のプロが入っていないとの懸念が出されています。当時の委員会には建築のプロが二名、委員としておったわけで、議事録を見るとなるほどという説得力のあるやり取りがなされています。そのやり取りの終わりに念を押すように建築のプロの委員から、「何回も言うようですが、この県有施設再編等の在り方検討懇話会の段階で専門家が必要だと思うので、部長、これは再度検討してください。追加してもいいと思う。」とまで言及しています。しかしながら、その場では担当部局として医療施設跡地での美術館新築に前のめり感大ありの答弁でかみ合っておりませんでした。いみじくも念を押した委員が念を押す前にこうも述べています。「今の課長の話だと、いろいろこの施設の今後の在り方を考えて基本計画を立てる云々と言っていますが、その前の段階なのです。その前の段階に建築専門家がいるべきではないか。」と。その後にも具体な指摘もしていますが、結局はその場しのぎの答弁で、結果、対応していません。この県有施設再編等の在り方検討懇話会の構成員について、ここまで言われているにもかかわらず美術関係者が構成員になっていないのも不可思議でなりませんが、建築専門家が入れなかったのも不思議でなりません。建築家が入れば現宮城県美術館の前川建築の評価、そして建物そのものの耐用年数の意見が当然出てきます。なぜ建築専門家を構成員にしなかったのか、お尋ねいたします。 さて、去る二十八日、県庁講堂で県有施設の再編に関する県民説明会が行われ、私も参加させていただきました。予定時間の倍、約三時間の長丁場となりましたが有意義な会であったと思います。県美術館の現地存続を求める市民活動を行ってきた県美ネットの方々をはじめ多くの県民から様々な意見が出ましたが、この県民の情熱と知恵を県美術館のリニューアル、新県民会館の県民ギャラリーづくりなど、かつての県美術館づくりのバージョンアップ版として協働していくべきだと思います。 また、この県民パワーがあれば弘前市が提案した近代建築ツーリズムネットワークにも新たな血が注がれ、本来の目的とする近代建築の価値や魅力を生かした観光資源づくりにもつながっていくのではないか、いや、つなげていかなければならない新たな使命を宮城県美術館は持ったのではないかと思います。今後のこれらのことについての知事の所見をお聞かせください。 次に、宮城三病院連携・統合検討についてお尋ねいたします。 昨年十二月の県立がんセンターのあり方検討会議の検討結果、その報告書を受けて、今、様々な要望活動が行われ、議論百出のがんを総合的に診療できる機能を有する病院の実現に向け、現在検討が行われています。私自身がんを総合的に診療できる機能を有する病院を目指すこと、そして協議することは大事なことだと思っています。 さて、あくまで統合・連携の検討、連携も大きな比重を占めていると受け止めておりましたが、どうもそうでもなさそうな雰囲気になっていると感じるのは私だけでしょうか。雰囲気という表現はつらい表現で協議の場の開催状況、内容、参加者が県担当課に聞いても関係機関の意向もありお知らせできませんの一点張りです。 そこで、まさに一点目、この協議の場の議事録はとっているのでしょうか。当然とっていると思いますが、議事録をとっているとしたらどの機関がとっているのか。事務局は設置しているのですか。協議の場、開催の費用負担はどうなっているのですか。改めて非公開の理由を含めお聞かせください。 さて、統合の雰囲気についてですが、十月二十九日付の地元紙の連合宮城をはじめとする労働団体の要望活動に対する県側の答えを見てから特に感じるわけであります。がんセンターの現地存続要望に対し、県側は建て替えに必要な面積の不足などを理由にセンターを現地で残すのは課題が多いとの認識を示したとあります。更に、対象病院は地域の拠点だが現在の議論は自治体間の誘致合戦が先行し地域や患者の視点に立っていないとの批判に対し、構想段階だとした上で各病院は単体での経営が難しいとの認識に立ちそれぞれの協議に参加していると答えています。建て替えに必要な面積の不足ということは、すなわち現在のがんセンターの建物より広くなる構想、機能が増えると予測されます。県立がんセンターのあり方検討会議の報告書によれば、県の対応方針としてがんセンターを高度精神医療を含むがん医療機能を維持し、がんを総合的に診療できる機能を有する病院とするため立地場所や費用対効果を重視し、将来的な建て替え・移転も視野に入れながら県としての方針を検討するとしていますので、ほぼ増築移転を視野に入れているということになります。それも更地が求められますので、移転候補地は交通アクセスも考慮しながら仙台医療圏の既に名前が挙がっている二市に絞られるということが想定されます。どのような形態で二つの病院が新しいがんセンターに参画するかは先ほどの程度しか推測できませんが、協議の場を持ちかけたのは宮城県です。協議の場に乗ったのは東北労災病院、仙台赤十字病院です。がんを総合的に診療できる機能を有する病院の主体は宮城県でありますので、地域医療機能の役割を果たしている二病院がある仙台市に対して、もっと早めに丁寧な説明があってしかるべきだったと考えますが、今までの経緯、先日の仙台市長との対談を含め、知事の所見をお聞かせください。 次に、多文化共生の現状についてお尋ねいたします。 昨年十二月の一般質問で技能実習生の県内での実態等について取り上げましたが、一年たってコロナで環境が全く激変しています。もちろん我々日本人にとってもそうですがコロナ感染拡大前までは、実質、貴重な労働者として引く手あまたの技能実習生でした。特に近年、ベトナムからの実習生が増えていますが、大学、専門学校、日本語学校の留学生を含めると宮城県内にはベトナム人が七千人近く生活しており、そのうち半分強が実習生、半分弱が留学生と聞いております。先日、やさしい日本語講師の方を介し、Zoomで在仙台ベトナム人協会の世話役の方とお話しし現状を聞くことができました。実状は大変なものです。問題ははらみますが一番困っているのは留学生とのこと。飲食店のアルバイトが減り収入減や無収入になり、生活費、学費、家賃の支払いが困難になっている。留学生だけではなく堪えられずに失踪した技能実習失踪者、突然解雇された技能実習解雇者、卒業しても就職できない留学生、仕事が減り収入が減った実習生、ベトナムに帰りたくてもお金がない、飛行機がそもそも飛んでいない、技能実習生の法的な縛りがあるなど様々な要因で日本という異国に困難を強いられながらも在住しているベトナム人がいるということ。県としては、県内の現状をどのように把握し支援しようとしているのか。これを国の所管とするなら国にどのような支援体制を求めているのか、お尋ねいたします。 さて、今回Zoomでの会話は日本語でしたがベトナム人の世話役とコミュニケーションが図れたのは、やさしい日本語講師のサポートがあってのことと痛感しています。仙台市の自動車大学校で留学生によるコロナの大きなクラスターが発生したのは御記憶があるかと思います。どのように感染症対策をして本当に留学生が意図するところを理解していたのか、仙台市の担当であり詳細に事情を知らないところでありますが、やさしい日本語の必要性はますます増えると思われます。一年前からの県の取組状況と今後に対する所見をお聞かせください。 以上で、壇上からの質問を終わります。 御清聴ありがとうございます。 ○副議長(齋藤正美君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) 菅間進議員の一般質問にお答えいたします。大綱三点ございました。 まず大綱一点目、宮城県美術館の道程とこれからについての御質問にお答えいたします。 初めに、美術館の価値の認識についてのお尋ねにお答えいたします。 現美術館は、河岸段丘の地形と周囲の自然を巧みに生かした前川國男氏の設計による建物や広瀬川、青葉山などの美しく豊かな自然環境が開館当初からの美術館の活動や時間の流れにより、建物、立地、空間、周辺環境が一体となり文化的な価値としてつくり上げられたものだと認識しております。 次に、美術館が造られた経緯についての御質問にお答えいたします。 現美術館が建設された経緯については、昨年後半頃、県有施設等再編の検討過程の中で承知したと記憶しております。美術館建設に対する県民の皆様の期待と行動により立地を含めた様々な観点から検討がなされ、現美術館が造り上げられたことを知るとともに、県民の皆様に愛される美術館にしていきたいという思いを強くしたものであります。 次に、老朽化した県有施設に係る検討の必要性の認識から、平成三十年九月の庁内会議に至るまでの経緯についての御質問にお答えいたします。 平成三十年三月に策定されました宮城県美術館リニューアル基本方針では、現美術館の課題への対応として増築を伴う改修案が示されておりました。その後、老朽化が進んでいる宮城県民会館についても現在の席数を拡大する方向で検討が進んでいることについて報告を受けました。このように県有施設の更新等が本格化していく中において、今後の人口減少を見据えると老朽化した県有施設の在り方について、様々な観点から一体的に検討することが必要と考えました。こうしたことから、県有施設等について宮城県公共施設等総合管理方針で示された基本方針を前提として、集約・複合化を含めた施設の再編等について所管部局を横断して検討するよう指示し、平成三十年九月に庁内会議が開催されたものであります。 次に、県有施設の一体的な再編の検討の主体及び報告に至るまでの手順についての御質問にお答えいたします。 県有施設等の再編の在り方については、県有施設再編等の在り方検討懇話会の意見を伺いながら関係部局の参画の下、震災復興・企画部において検討を進めてまいりました。 検討を進めるに当たっては、対象施設の現状と課題の整理などを行った上で、令和元年十一月十八日の第四回県有施設再編等の在り方検討懇話会において、仙台医療センター跡地で美術館、県民会館、みやぎNPOプラザを集約・複合化する案をお示しし、構成員の皆様から了承をいただいたところであります。こうした経過については私も随時報告を受けておりました。その上で十二月二日に開催した政策・財政会議において、美術館、県民会館、みやぎNPOプラザを含め、検討対象となった十施設の再編に関する基本方針骨子案について決定したものであります。 次に、県民との協働や近代建築の価値を生かした観光資源づくりの推進についての御質問にお答えいたします。 今後の検討におきましても、美術館リニューアル基本方針の策定に携わっていただいた有識者をはじめとする関係者の皆様や県議会の御意見をいただきながら進めてまいります。 また、今回のメリット、デメリット分析では、他自治体における前川建築の活用事例も踏まえて検討しており、県として日本を代表する建築家である前川國男氏が設計した現美術館の建物や立地の価値を県民の財産として維持・継承していくこととしております。方針として決定した場合には、現美術館の文化的価値や近代建築としての価値を生かしながら、観光資源として有効活用する可能性も期待できるものと考えております。 次に、大綱二点目、宮城三病院連携・統合検討についての御質問のうち、仙台市に対して丁寧な説明が必要ではないかとのお尋ねにお答えいたします。 今回の協議に当たり、仮に統合による移転となった場合、東北労災病院、仙台赤十字病院の二病院が立地する仙台市においては患者や地域住民への影響が生じることから、私から仙台市長に対し三病院の連携・統合の協議を開始することを事前に説明しております。 また、先月二十六日に行った仙台市長との会談では、地域医療構想を踏まえた仙台医療圏の在り方などについて説明を求められたことから、将来的に必要な病床機能や救急及び周産期医療の現状やあるべき姿を説明したところであります。 また会談では、地域住民の不安の払拭を訴える仙台市長と、仙台医療圏や県全体での政策医療の確保に取り組む私とが、それぞれの立場を理解し合いながら意見交換を行うことができ、非常に有意義な内容であったと考えております。県といたしましては三病院の連携・統合について、一定の方向性が示された段階で関係する自治体等に対して丁寧に説明してまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 震災復興・企画部長佐藤達哉君。    〔震災復興・企画部長 佐藤達哉君登壇〕 ◎震災復興・企画部長(佐藤達哉君) 大綱一点目、宮城県美術館の道程とこれからについての御質問のうち、県有施設再編等の在り方検討懇話会の設置についてのお尋ねにお答えいたします。 県有施設等の再編の検討に当たっては、対象となる施設の機能、目的等が多岐にわたることが想定されたことから、各分野の有識者から意見を聴取しながら検討を進めることが必要と考え、平成三十一年度当初予算編成過程において懇話会の設置について検討を始めたものでございます。 次に、懇話会の開催要綱からは美術館の現地改修が既に検討対象から外れているように読み取れるが、懇話会の位置づけを含めてどうかとの御質問にお答えいたします。 県有施設再編等の在り方検討懇話会は、老朽化が進む県関係施設の再編整備や公有地の効果的な活用方策について検討するに当たって、有識者から意見聴取を行う場として設けたものであります。開催要綱第二、所掌事務の再編・移転等は、移転・集約のほか現地改修や廃止なども想定して規定したものであり、現に県有施設等の再編に関する基本方針では現地改修や廃止の方向性とした施設も存在しております。 次に、県有施設再編等の在り方検討懇話会の構成員として建築の専門家を加えなかったのはなぜかとの御質問にお答えいたします。 県有施設再編等の在り方検討懇話会は、様々な設置目的を持つ施設の整備の在り方について総合的な検討を行うため、有識者から意見を聴取する場として設けたものであり、各施設の機能に着目し都市計画・まちづくり、行政評価、観光・集客、文化振興、福祉、財務・会計の各分野から構成員を選定いたしました。 一方、各施設の老朽化の状況や建築に関する各種条件の確認などに関しては、実務的な検討が継続的に必要であったため、建築に関する専門的知見を有し経験豊富なコンサルタント事業者の支援を受けながら、各施設を所管する部局との連携の下で検討を進めることとしたものでございます。 私からは、以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 保健福祉部長伊藤哲也君。    〔保健福祉部長 伊藤哲也君登壇〕 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 大綱二点目、宮城三病院連携・統合検討についての御質問のうち、三病院の連携・統合の協議の場が非公開である理由等についてのお尋ねにお答えいたします。 連携・統合の協議は、それぞれの設置主体が少子高齢化社会を踏まえた今後の経営や現有施設の状況を踏まえた事業展開などについて、最終的な意思決定に向けてそれぞれの立場から意見を交わす場であり、その内容を公開すれば他の設置主体の総合的な判断に影響を及ぼすおそれがあることから非公開としております。 また、協議はお互いに対等な立場で進めていることから、事務局は設置せず議事録も作成しておりませんが、県では出席者が報告書を作成しております。 なお、検討に必要なコンサル委託料は生じておりますが、協議は主にウェブ会議で行っており会場費等の開催経費は発生しておりません。 私からは、以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 経済商工観光部長千葉隆政君。    〔経済商工観光部長 千葉隆政君登壇〕 ◎経済商工観光部長(千葉隆政君) 大綱三点目、多文化共生の現状についての御質問のうち、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた外国人留学生や技能実習生の現状と支援策についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、新型コロナウイルス感染拡大を受けて仙台出入国在留管理局や日本語学校などを訪問し、在留資格の特例措置の状況や留学生の生活実態に関するヒアリングを実施してきたほか、在住外国人向けに相談窓口を設置する公益財団法人宮城県国際化協会を通じ在住外国人の現状把握に努めてまいりました。その結果、アルバイトの減少に伴う収入減や在留資格の期限切れによる帰国困難な事例などに対して、関係機関と連携し相談内容に応じた支援制度や民間のフードバンクの紹介、特例定額給付金等の申請補助などの支援を行ってきたところであります。県といたしましては、引き続き在住外国人も対象となる様々な支援制度の活用を促すとともに、なお一層関係機関との連携を深めながら実情把握に努め必要に応じて国へ要望してまいります。 次に、やさしい日本語に対する県の取組状況についての御質問にお答えいたします。 文書を簡易な表現にする、漢字には振り仮名をつけるなど外国人にも日本語がより分かりやすくなるよう配慮したやさしい日本語は、災害時や緊急時はもちろん日常生活においても有効な伝達手段の一つであり、外国人が地域で生活していく上でのいわゆる言葉の壁の解消に向けた重要な手法の一つであると認識しております。このため県では、今年度、一般財団法人自治体国際化協会宮城県支部と共同で受付窓口などで活用していただけるよう、やさしい日本語のリーフレットを作成し県内市町村に配布したほか、新型コロナウイルス感染症関連の情報についても公益財団法人宮城県国際化協会のホームページにおいて多言語での情報提供に加え、やさしい日本語を取り入れて発信しているところであります。県といたしましては、引き続き、やさしい日本語の普及を図るとともに様々な手段を通じた情報提供に努め、在住外国人が地域で安心して生活できる環境を整備してまいります。 以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 四十一番菅間進君。 ◆四十一番(菅間進君) 御答弁ありがとうございました。 県有施設再編等の在り方検討懇話会が行われてきたわけでありますが、政策形成が見える部分というか、二回目、三回目については昨日も質問がありましたが非公開でありました。非公開ということの議事録を見ましたら、とにかく事務局側が提案して非公開にしますというような感じでもっていっていますので、当然そこで拒否する理由は委員からすればないわけでありまして、異議なしということで非公開に現実なっています。二回目、三回目が行われた後に、その報告は基本的なされないということになると思うのですが、二回目開催の三日後の総務企画委員会では全く報告がない。三回目開催後の二日後の総務企画委員会でも僅か一枚のペーパーです。それも一回目に説明したようなことをただ並べているだけ。それで第三回県有施設再編等の在り方検討懇話会における検討状況では、この程度のことだけ書いているのです。第三回県有施設再編等の在り方検討懇話会の方向性が示されています。一つ、県民会館は仙台医療センター跡地に移転する方向で検討を進める。二つ、仙台医療センター跡地の有効利用を図るため、県民会館のほかに付加して再編整備等を行う施設について更に検討を進める。三つ、仙台医療センター跡地以外の県有地における検討対象施設の集約・複合化についても更に検討を進めるという程度なのです。ですからこの報告では質問しようがありません。もちろん質問はありませんでした。この程度の内容で県議会に報告してよろしいのでしょうか、お尋ねします。 ○副議長(齋藤正美君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) その時点でそういうところまでしか説明ができなかったと受け止めていただきたいと思います。 ○副議長(齋藤正美君) 四十一番菅間進君。 ◆四十一番(菅間進君) それで第二回、第三回の非公開の県有施設再編等の在り方検討懇話会が終わって、九月議会を経て十月の県議会議員選挙、改選後の初議会十一月定例会、各常任委員会とも二十六日に正副委員長互選、十二月十三日の総務企画委員会で初めて県有施設等の再編に関する基本方針、中間案の概要が委員に説明されています。ということは六か月間、五月二十日第一回、第二回、第三回非公開で結局六か月間、構成員と担当部局だけで事を進め、県議会総務企画委員会に中間案として報告したのは約七か月後。議会の意見もチェックも受けずに、まさに外の目、声、チェックも入らずに構成員と担当部局で決めたことを七か月後に報告しているという形だから、突然というふうに見るのは当たり前だと思いますが、いかがですか。 ○副議長(齋藤正美君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 公表いたしましたのは結論ではなくて中間案でございます。したがって、当然何もないところで説明しようがございませんので、ある程度案が固まった段階で議会に説明する。それが決定ではなく中間案という形で公表させていただいて、そして皆様から意見をいただき、そしてパブリックコメントを実施し、そしてその上で仙台市・宮城県の調整会議などもやりながら、最終的に政策・財政会議に至ったということでございますので、プロセスとしては問題ないのではないかと考えております。 ○副議長(齋藤正美君) 四十一番菅間進君。 ◆四十一番(菅間進君) 中間案だとしても、そこに様々な意見を取り入れた中で中間案を出したほうがクラッシュしないというか完成品ではないのですが、そういったことは必要ではないかと思うわけであります。 情報公開について、やはり大変私は欠けているのではないかと思います。今回の三病院統合・連携問題についても確かに関係する機関があるのでなかなか出せないことは分かりますが、ここ二、三年の村井県政の中で初めに結論ありきというように見える部分があって、本当は一生懸命やっているにしてもそういう不信感が出るのです。中途の部分がないから。この三病院統合・連携問題についても基本的にそれを出せないものはあるにしても、もっと丁寧に県民、仙台市の市民だけど県民でもあるわけです。そういった市民、県民に対して丁寧な説明がもうちょっとあっていいのではないかというようなことで、政策形成過程の情報公開について、知事はどういうふうに考えていますか。 ○副議長(齋藤正美君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 情報公開にはしっかり条例があり決まったルールがございますので、それに従って情報公開はしっかりと行っていくということが必要だと思います。 ただ正直申し上げて、毎日、物すごい数の職員が来ていろんなことを議論して意見交換をして、政策を組み上げていっております。それをつまびらかに全部出すということをしたら、かえって混乱してしまうことになると思います。議論している間になくなってしまうものもあれば、更に上のほうに上げていくものもあるということでございます。全部決まってから決して出したわけではなくて、今回の美術館の問題についても中間案として出しまして、そしてその上でいろんな御議論をいただいて議会の声を聞いて、そしてもう一度コンサルを入れてしっかりとメリット、デメリットを検証すると。また、いろんな関係者の声を聞いて、そしてコンサルから出てきたかっちりした成果品ではないのですが、ある程度のデータが出てきましたのでそれを見て最終的な方針を決定したということでございます。まだ現時点においても最終決定ではなくて方針だということでございまして、今後また皆さんの御意見を聞きながら更に方針が変わることもあるとは思いますが、そういう形で徐々に徐々に高い次元に持っていっているということを御理解いただきたいと思います。 ○副議長(齋藤正美君) 四十一番菅間進君。 ◆四十一番(菅間進君) 御存じだと思いますが、アメリカ合衆国の憲法の起草者の一人であるアメリカ憲法の父と呼ばれるジェームズ・マディソンが、「人民が情報を持たず情報を入手する手段を持たないような人民の政府というのは、喜劇への序章か悲劇への序章か、あるいは恐らく双方への序章にすぎない。」と述べています。情報公開制度は、市民、県民参加の前提条件であり、住民自治、住民の自立を促進する機能を果たすほか公正で民主的な市政、県政の進展に大きく寄与するものだと認識しています。そこのところは分かっていらっしゃると思いますが、やっぱり「由らしむべし、知らしむべからず」というような部分が大変申し訳ないけれども、十七年、十八年県政を務めていて絶対権力を持っていらっしゃるから、なかなか正確な情報とか職員だって言いにくい部分がある。そういったときにさらされるのは情報公開なのです。そういったところを意識してこれから取り組んでいただきたいということを要望して、質問を終わらせていただきます。 ○副議長(齋藤正美君) 暫時休憩いたします。    午後二時休憩-----------------------------------    午後二時十分再開 ○副議長(齋藤正美君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。八番わたなべ拓君。    〔八番 わたなべ拓君登壇〕 ◆八番(わたなべ拓君) 太白区選出の宮城県議会議員わたなべ拓でございます。議長のお許しをいただきましたので、以下、大綱七点につき、一般質問をいたします。 まず、武漢発の新型コロナウイルスに感染され、お亡くなりになられた方々に対し、謹んで哀悼の意を表します。 また、闘病中の感染者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。 そして、医療従事者の皆様の日夜を問わない御労苦に対し、心からの敬意と感謝を申し上げます。 十一月二十七日公表の厚生労働省、新型コロナウイルス感染症患者の療養状況、病床数等に関する調査結果によりますと、本県の重症者用確保病床数は四十三床。そのうち重傷者数は八人、現在は四人。使用率は一九%、当時ベース。最終フェーズにおける即応病床計画数は六十五床とあります。しかしながら、ある感染症指定医療機関の幹部に伺いますと、必ずしも数字上の空床がそのまま対応余力を示すものではないとの指摘がありました。指摘はごもっともで確保病床数四十三床の意味するところは、新型コロナウイルス感染症重症者に対して医療機関の有する医療提供能力の全てを集中した場合に対応可能と考える数字であり、現実には並行して通常診療にも対応しなければならず四十三人の重症者の受入れは困難であります。本県における正直ベースの重症者対応が可能な空床は何床程度と考えているのか、当局の所見を伺います。 国の想定最大値であるフェーズ四が現実化した場合、正直ベースの対応能力を前提として県内医療機関でなすべきことをやりきった上で、なお重症者対応が困難な場合には隣県に重症者の収容を依頼するなど広域的連携の必要に迫られます。例えば、平成三十年三月に山形県との間で締結した新宮城・山形の連携に関する基本構想、未来を共に創る新MYハーモニープランにおいては、感染症に対応した広域連携の充実・強化として、感染症の広域的な発生に備えた相互支援体制の確保が挙げられています。この際、本県の対応能力を超え、隣県に余力がある場合における広域自治体単位の相互連携について具体に確認しておくべきかと考えますが、当局の所見を求めます。 仙台市内の高齢者施設においてクラスターが発生しましたが、認知症をお持ちの方が新型コロナに罹患した場合の対応には課題があります。認知症の特性のため指示を理解できず徘回による感染拡大のリスクが報告されています。徘回を防ぐため常時見守りに一人を付け介助には二人を要する人もあるため、医療機関の負担感は大きいと言えます。強度行動障害の方、知的障害を有する方についても徘回につき同様の懸念があります。しかしながら空床確保は中・軽傷者に相当した補助にとどまるため、現実に発生している負担を填補するに至らないケースが見られます。新型コロナウイルス感染症の症状だけではなく介助の度合いも考慮して現場の負担にふさわしい補助水準とするため、県として独自の補助の余地があると考えますが、当局の所見を伺います。 訪問介護を含め介護職員に対する慰労金の支給はこれまでで一回のみであります。日夜、偉大な貢献をされている介護職の皆さんに対する慰労としては過少と考えます。本県独自の慰労金支給を措置する余地はないのでしょうか、当局の所見を伺います。 本年八月四日に知事はにわかに臨時の記者会見を開き、総合的ながん治療の提供体制構築に向けて県立がんセンター、東北労災病院、仙台赤十字病院の連携・統合に向けた協議を進めると表明しました。その直後から仙台赤十字病院と東北労災病院の統合・移転による地域医療の空洞化などを懸念し、仙台市民、医療業界、県議会、各市議会など多方面から協議に反対する声がほうはいとして起こっています。私も自由民主党・公明党太白区選出県議団・仙台市市議団として、知事に統合・移転へ向けた協議の中止を申し入れました。このパターンをどこかで見てきた気がしたのは私だけでしょうか。十一月十二日に令和二年度地域医療構想調整会議、仙台区域を傍聴しました。会議では委員から三病院の連携・統合について情報がないとの指摘が出ましたが、当局は、「現在協議中で地域における医療需要について経営コンサルタントを活用して調査している。具体については相手との協議があることで明かせない。」と答弁しました。この答弁には大変違和感を覚えましたが、案の定、複数の委員からは以下の指摘がありました。「三病院の連携・統合について、地域医療構想調整会議の構想外で起こっていることのように思える。県が一方的に協議の結論を伝えてきたら地域の必要病床数とは別の原因で病床数が変わってくる。」、「主に経済的、経営的な問題で地域医療構想調整会議と関係なく協議を進めるとこの会議が機能しないのではないか。」、「協議で方向性が決まってから地域医療構想調整会議で議論をして、また方向性を変えるわけにはいかないと思う。方向性を決める段階において地域医療構想調整会議における議論を踏まえて方向性を決めていただきたい。」といずれもごもっともな指摘であります。仙台赤十字病院、東北労災病院の統合・移転の場合の地域医療の空洞化のリスクについて、地域医療構想調整会議における議論との整合をいかに考えるのか、当局の所見を求めます。 また、非公表事実のため詳細は避けますが、仙台赤十字病院には新型コロナウイルス感染症対応に甚大な貢献をいただいております。十一月二十五日開催の厚生労働省、地域医療構想に関するワーキンググループにおいても、公立・公的病院の再編統合の検討に際しては感染症対策の要素も考慮すべきとの指摘がありました。三病院の連携・統合を是とする議論の背景には、暗に同じ太白区内に所在する仙台市立病院で仙台赤十字病院の機能を代替できるとの判断が透かし見えますが、当の仙台市立病院では仙台赤十字病院の分まで負担するのは困難との意見でありました。三病院の連携・統合の場合の地域医療における感染症対策の代替的機能につき当局はどのように考えるのか、所見を伺います。 また、仙台市立病院は三病院の連携・統合については、報道以上の情報を持ち合わせていないとのことで当惑している様子でした。統合の場合に重大な影響を及ぼす可能性の大きい仙台市立病院に丁寧な説明の必要はないのでしょうか、伺います。 また、たとえ権威ある東北大学の助言を得ながら協議を進めているとしても、三病院の連携・統合についての結論を一方的に宣言するのでは、地域医療構想調整会議の役割を無視するに等しく、地域医療独断専行の結論ありきとのそしりは免れないのであります。仙台赤十字病院、東北労災病院はともに地域医療の要として地域に不可欠の総合的医療機関であります。特に仙台赤十字病院は、昨年十一月二十八日に県内で最も新しく承認された地域医療支援病院であり、かかりつけ医師・歯科医師支援など二次医療圏単位で地域医療の充実を図るため設けられた地域医療支援病院設置の趣旨を考えますと、その統合・移転や連携・統合については本来的に地域医療構想調整会議にお諮りし、統合や連携に関する検討状況につき透明性を確保しながら進めるべきと考えますが、当局の所見を求めます。 仙台赤十字病院は、総合周産期医療、整形外科に定評ある総合的な医療機関であり、がん診療の均てん化のため設けられたがん診療提携拠点病院には当たりません。そのため、がん診療連携拠点病院である宮城県立がんセンター、これは都道府県拠点病院、東北労災病院、これは地域がん診療連携拠点病院とは異なり、がんを総合的に診療できる機能を有する病院の実現を検討する対象としては、仙台赤十字病院は親和性に欠けるとの見方もあります。仮にこうした言い方も一因となり、協議の結果、仙台赤十字病院が三病院の統合・連携の対象から外れ現地存続したとして、仄聞するところの経営難の問題はなお残るのであります。仙台赤十字病院の現地存続の場合、県としての支援の可能性について当局の所見を求めます。 地域医療構想アドバイザー会議資料、新たな病床機能の再編支援について、令和二年十月九日によれば、統合関係病院等のうち一以上の病院が廃止することが補助金支給の要件となりますが、有床診療所化、診療所化も含むとあります。そうすると、仮に三病院の統合・連携が決定し仙台赤十字病院の移転が決定した場合でも必ずしも病院を廃止するだけではなく、地域医療の空洞化を一定程度防ぐために有床診療所化とすることも可能であると解せますが、当局の所見を求めます。 十一月二十日に出たばかりの人口動態統計速報によれば、本年一月から九月までの出生数は、六十五万九千六十一人と過去最少を記録した昨年同期間における出生数六十七万三千八百人を更に一万四千七百三十九人下回り、更には当月を含む過去一年間の比較では約三万人も出生数が減少しており、少子化が加速度的に進んでいる実態が明らかになっております。ちなみに昨年九月時点の宮城県全体の出生数は一万七千四百九十一人。本年九月時点は一万七千百二十三人と昨年比で三百六十八人減少しています。更に、新型コロナウイルスの影響が加わり、来年の出生数は更に落ち込むことが予想されます。少子化は国家存亡に関わる課題ですが、宮城県は昨年の合計特殊出生率が一・二三と、東京都の一・一五に次いで全国ワースト二位と極めて危機的な状況にあります。当局は本県の合計特殊出生率が極めて低位で推移している現状をどのように認識し、その原因をどのように分析しているのでしょうか。 また、これまでの県による少子化対策の取組について、課題認識を伺います。 新・宮城の将来ビジョン十五ページには、宮城県の将来人口のケーススタディーとして想定する合計特殊出生率ごとに人口推計を割り出しています。最も低い合計特殊出生率に基づくケース一は一・四で算出していますが現状では一・二三であり、ここ数年同水準で推移している現実を踏まえると最も低い推計条件が一・四では現実的な推計にはなり得ないと考えます。ちなみに合計特殊出生率一・四と一・二三で試算するのとでは十年後で三万人、四十年後で七万六千人の差が生じるのであります。新・宮城の将来ビジョンの推計人口のシナリオには、現実を直視するためにも現状の合計特殊出生率一・二三のケースも加えるべきと考えますが、当局の所見を求めます。 コロナ禍で自死者数が増加しています。警察庁の自殺統計によりますと、本年十月における自殺者数は二千百五十八人で昨年同月比で四〇%増加、特に女性については八百五十二人と前年同月比で八三%も増加しています。宮城県における令和元年と本年の男女別・年代別の自殺者の分布状況の比較を見ると、比較可能な一月から十月までの期間では、二十代の女性が昨年の九人から本年は十八人と倍増しています。また、三十代女性も昨年は九人だったところ本年は二十人と二・二倍に増加しています。同様に五十代の女性も一・八倍に増加しました。男性については、八十代が十五人から二十四人と一・六倍になった以外は大きな変化は見られません。二十代女性の自殺率増加は全国的な傾向でもあるようですが、なぜ本県の二十代、三十代、五十代女性の自死率が大幅に増加したのか、原因の分析状況について伺います。 もっとも本年の二十代女性の自死者が発見された自治体については、仙台市十六人、それ以外が二人と九〇%が仙台市において発生している点には留意を要します。今回、県下三十五市町村別、年齢層別、男女別、毎月ごとの自殺者集計を当局にお願いし初めて作成していただきました。精神保健推進室の労に謝意を表します。これにより、例えば県民の四七%を占める仙台市において、本県二十代女性自殺者の九〇%が見出されたこと、逆に他の三十二市町村では発生がゼロだったこと等が判明しました。統計的分析による実態把握は対策の大前提であります。三十五市町村の自殺者要素別の集計一覧を作成し、更に原因や属性なども加味していけば疫学的に意味のある資料となります。今後も毎年詳細な月別、男女別、年齢別の全県的自殺者統計を作成し自殺防止対策に活用してはいかがかと考えますが、当局の所見を伺います。 新型コロナウイルス感染症と自死との関係について、本格的な分析は来年以降待つとしても目前の危機に対応し、可能な限りリスク低減に寄与するのが行政の使命であります。ハイリスク者の支援に活用するため、自死者が顕著に増加している年齢層に絞って関係機関と連携しつつ、急ぎ、自殺者についての疫学的調査を実施すべきと考えますが、当局の所見を求めます。 少なくとも顕在化した自死のハイリスク者としては、自殺未遂などで医療につながる方が想定できます。こうした方については警察が関与し支援につながる場合もあるものの、あくまで担当者レベルの対応であり継続的な支援につながることはまれであります。最も確実なハイリスク者の自死防止対策として、警察、医療機関、福祉の各アクターが連携して支援に当たるため、自死未遂者の発生・対応状況を共有し適切に支援につながる仕組みが必要かと考えますが、当局の所見を伺います。 宮城県美術館の宮城野区への移転集約案を撤回されましたことを心から歓迎するものであります。ちょうど一年前の今日、この議場において知事は、「大規模な改修をしても遠くない将来に美術館が建て替えとなることは避けられない。」、「いずれもう築三十年以上たっているので、あと十年、十五年するとどこかに移さなくてはならない。」と答弁していたことを考えると感慨ひとしおであります。知事が経済性のみならず重層的な無形の価値にも認識を深められ勇気ある移転撤回の決断をされたことで、価値ある建造物は残り将来に禍根を残さないで済みました。これは知事、当局、県議会、県民、そして未来の県民をも含む全ての関係者の勝利と考えるべきであります。特に前美術館長有川氏をはじめとする美術館リニューアル基本方針の策定委員の皆様には深甚なる敬意を表します。本年二月定例会において、鉄筋コンクリート建造物の寿命設計の権威である早稲田大学教授小松幸夫先生のお見立てを基に、更には県美術館設計者である大宇根弘司氏の意見を参考に県美術館の物理的耐用年数は百年であり、現時点で耐用年数が六十年も残る美術館を移転させることは誰が考えても不合理であると指摘し、せめて移転する場合と現地存続の場合のトータル・ライフコスト比較のための試算をすべきと指摘しました。次いで六月定例会において、試算については年間二週間しか利用実績のない講堂を三十億円もかけて増築する現地存続案との比較ではなく、増築を伴わない最低限の改修案との比較とすべきと指摘しました。知事は本年十月一日の議会答弁において当該意見を採用され、増築を伴わない最低限の改修案、すなわちC案を選択肢に含めた上で十一月十六日に至りC案を採択され美術館移転を撤回されました。以上の議事録ベースの事実は、知事が議会におけるエビデンスベースの指摘にも耳を傾け、理性を持って柔軟に政策転換できる政治家であることをあかし立てるものであります。あわせて、議会における実証的な議論の積み重ねが県美術館移転の撤回に大きく寄与した事実を確認しておくことは、後世の学問的研究の客観性の確保にも資する意義があります。知事の会見では専ら県民運動による影響を強調されていましたが、県議会における議論の積み重ねをいかに評価しておられるのか、所見を伺います。 C案の内容を見ると、六月定例会で提案した県民ギャラリーを収蔵庫・展示室に転用、県民ギャラリー機能の移転が明記されており、妥当な見立てと評価するものであります。 さて、現県民ギャラリーについては、宮城県高等学校美術展覧会会場としても使用していますが、現状でも全ての出展作品が収まらないなど規模に課題があるとの指摘があります。新県民会館にギャラリーを併設する方針とのことですが、知事の「なるべく多くの人々に鑑賞の機会を」との思いにも別の形で沿う取組であり賛意を表します。新ギャラリーの設計に際しては、教育的活動など十分に実施できるよう現在の規模より増床を図るなど特段の配慮を要すると考えますが、知事の所見を伺います。 「東日本大震災復興祈念 奈良・中宮寺の国宝展」並びに「東日本大震災復興祈念 東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」を見てきましたが、現美術館の落ち着いたたたずまいの中で至高の美を堪能できる幸せを再認識しました。美術館は現地で存続するとして、今後は特別展頼みではなく通常展示で持続可能な運営を確保していく努力がより一層求められます。収蔵庫に眠っている収蔵品を常時公開することで教育・研究目的にも資する、見える収蔵庫、ヴィジブル・ストレージは美術館リニューアル基本方針にも記載がありますが、県美術館学芸員加野恵子女史のブルックリンミュージアムに関する調査報告によれば、先行例も少なく価値ある試みであります。通常展示で稼げるソフト面の魅力向上に資する取組として検討する余地があると考えますが、当局の所見を求めます。 先週、仙台市が音楽ホールの需要想定調査を明らかにしました。長期的な人口減少や新しい生活様式に伴う変化の影響を踏まえても、新県民会館と仙台市音楽ホールのすみ分けを可能とするだけの長期的需要が見込めるとの見立てを示したものであります。 また、十二月一日には、郡仙台市長は音楽ホールの建設候補地の一つとして、せんだい青葉山交流広場を検討していると地元紙の報道がありました。これにより私の従来の持論である県・市連携の音楽ホール集約化の見通しは一層不透明な状況となりました。私はクラシックファンであり、今週末も東京エレクトロンホールでフジコ・ヘミングのリサイタルを心待ちにしている一人ですが、そもそも人口減少社会において財政の持続性に深刻な課題がある中で、仙台市と宮城県で二千席クラスのホールが本当に二つ必要なのか、なお懸念するものであります。オンライン公演の普及などアフターコロナにおいても不可逆な変化として定着するであろう影響を考慮すると、新型コロナ感染拡大以前に実施した需要想定調査を基にした県民会館整備基本構想に修正の余地はないのでしょうか、当局の所見を伺います。 最後に、知事の今回の美術館移転の撤回の結論そのものは高く評価するとして、本年に入ってから憂慮すべき展開が複数見られたことも事実であります。宿泊税、公立高校エアコン設置についても県美術館同様、知事のトップダウンで臨んだものの方針転換を余儀なくされています。知事は二十一年前、まだ県議会議員だった頃、松下政経塾の塾報のインタビューにおいて、「私の政治活動は常に有権者が考えている当たり前のことを無理のない範囲でやるように努めています。」と述べています。知事、この一年間の施策について、有権者が考えている当たり前のことを無理のないように進めてこられたのか否かについて、どのようにお考えでしょうか。 御自身のモットー「正直に、決して無理をせず、当たり前のことを当たり前に」を虚心に顧みる必要はないのでしょうか、知事の所見を求めます。 以上、壇上からの第一問といたします。 御清聴ありがとうございました。 ○副議長(齋藤正美君) 知事村井嘉浩君。    〔知事 村井嘉浩君登壇〕 ◎知事(村井嘉浩君) わたなべ拓議員の一般質問にお答えいたします。 大綱七点ございました。 まず、大綱二点目、新型コロナウイルス対策についての御質問のうち、重症患者への対応に係る隣県との連携についてのお尋ねにお答えいたします。 重症患者の受入れ先が逼迫するような場合の一方策として、厚生労働省の感染症対策推進本部に設置されている地域支援班の機能を活用した都道府県間の広域調整の方法があります。 また、我が県では七月に山形県との間で行った「新型コロナを共に乗り越える 宮城・山形共同宣言」の中で、感染拡大時の患者受入れ等の広域調整に取り組むこととしております。全国的にも新型コロナウイルスの対応で広域連携に取り組んでいる地域があり、実際にPCR検査等で支援した例がありますので我が県としても必要が生じた際、迅速に対応できるよう準備に努めてまいります。 次に、大綱三点目、少子化対策についての御質問のうち、合計特殊出生率の低迷と少子化対策の課題についてのお尋ねにお答えいたします。 昨年の我が県の合計特殊出生率が過去最低の一・二三になったことについては、私としても強い危機感を持っております。我が県では、結婚している女性人口に対する出生子供数の割合や全国的には最も出生率が高い三十代前半女性の出生率が低いといった傾向があり、こうしたことが合計特殊出生率を押し下げていると分析しております。県では、これまでも子育てしやすい社会づくりに取り組んでまいりましたが、女性の子育てに対する不安感、負担感の軽減や若い世代の経済的な安定が課題であると考えており、全庁挙げて総合的な少子化対策を推進し、結婚、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援の一層の充実を図る中で、特に女性が安心して子供を産み育てることができる環境の整備や質の高い雇用の創出に力を入れてまいります。 次に、大綱五点目、宮城県美術館についての御質問にお答えいたします。 初めに、県議会における議論の積み重ねをどのように評価しているのかとのお尋ねにお答えいたします。 県有施設等の再編については、これまでも県議会の皆様から貴重な御意見を頂戴するとともに、時には熱のこもった議論を積み重ねてきたことで検討を深めることができたものと認識しております。先月お示しした施設整備の方針案におきましても、県議会からの御意見も参考にしながら増築を伴わない現地改修案を追加しメリット、デメリットの分析を進めた結果、文化的な視点と行政経営的な視点の両立が図られることとなりました。年度内に策定を予定している美術館リニューアル基本構想やその後の検討の各段階におきましても、適宜県議会に御報告し御意見をいただきながら検討を進めてまいります。 次に、新たな県民ギャラリーの設計についての御質問にお答えいたします。 新しい県民会館については、今年三月に策定した宮城県民会館整備基本構想において、県内文化芸術団体、文化施設などと連携し県民が等しく文化芸術を創造、発信、享受、活用できる拠点として位置づけております。 具体的には、絵画や書道などの活動を行い創作した作品を展示できるアトリエやギャラリーを設置するほか、日常的な稽古やワークショップ、発表会など人材育成の拠点としても様々な用途に活用可能なスペースを設けることについて検討することとしております。 一方、美術館の県民ギャラリーについては、さきにお示しした整備方針案において現在の講堂を多目的に利用することによりその機能を確保する予定であります。これらの施設の詳細については、今後、具体的に検討を進めることとしておりますが、これまで以上に文化芸術の鑑賞等の機会が拡充するよう取り組んでまいります。 次に、大綱七点目、知事の政治姿勢についての御質問にお答えいたします。 私は、県議会議員に初当選以来、「正直に、決して無理をせず、当たり前のことを当たり前に」をモットーに常に有権者が考えている当たり前のことを無理のない範囲で取り組むように努めてまいりました。しかし、政治家には何よりも社会全体の利益を最優先に考えた政策判断が求められており、私も知事就任以来、宮城県のあるべき姿を常に念頭に置き、政策の判断材料となる正確な情報の収集とその時々の社会経済情勢や世代間の負担なども考慮しながら政策を判断してまいりました。今後とも県民の皆様や県議会の御意見を伺いながら衆知を集め、宮城の総力を結集して誰もが生まれてよかった、育ってよかった、住んでよかったと思っていただけるよう県政運営に努めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 震災復興・企画部長佐藤達哉君。    〔震災復興・企画部長 佐藤達哉君登壇〕 ◎震災復興・企画部長(佐藤達哉君) 大綱三点目、少子化対策についての御質問のうち、新・宮城の将来ビジョン案における人口推計に現実の数値に基づく推計を加えるべきとのお尋ねにお答えいたします。 新・宮城の将来ビジョン案において、将来にわたる人口推計を行うに当たりましては、直近の合計特殊出生率を用いるのではなく国立社会保障・人口問題研究所の人口推計値を基準といたしております。このデータは、国勢調査を基に将来人口を推計したものであり、国のまち・ひと・しごと創生長期ビジョンや多くの県の人口推計に活用されております。我が県の合計特殊出生率が低位で推移している現状を踏まえ、新ビジョンに基づく県政運営に当たっては、人口減少の幅を抑制できるような取組を進めてまいります。 私からは、以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 環境生活部長鈴木秀人君。    〔環境生活部長 鈴木秀人君登壇〕 ◎環境生活部長(鈴木秀人君) 大綱六点目、新県民会館についての御質問にお答えいたします。 文化芸術活動については、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として、ウェブサイト上での動画作品の配信が普及するなどコロナ禍における活動のスタイルは多様化してきております。こうした動向に対し県の文化芸術振興審議会では、オンラインによる講演等は直接生で鑑賞する価値を高めるとの考え方も示されており、引き続き実際に足を運んで鑑賞する場のニーズは高いものと考えております。 また、依然として催物の開催制限が続いておりますが、今年九月からは一定の条件の下、一〇〇%の収容率で公演を開催することが可能となり県民会館での公演予定も徐々に増加してきております。 更に、仙台市が今年度実施した需要想定調査によれば、県の基本構想を前提としても市の音楽ホールは十分な需要が見込まれるとの結果が得られたとのことであります。このようなことから、県と仙台市がそれぞれ二千席規模の施設を整備しても供給過剰となることは想定されにくいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 保健福祉部長伊藤哲也君。    〔保健福祉部長 伊藤哲也君登壇〕 ◎保健福祉部長(伊藤哲也君) 大綱一点目、三病院の統合・連携協議についての御質問のうち、地域医療構想調整会議における議論との整合性についてのお尋ねにお答えいたします。 三病院の連携・統合は、医療需要の将来推計や医療機能区分ごとの将来の病床数の必要量など、目指すべき医療提供体制の実現を図る地域医療構想の趣旨を踏まえ協議を進めているところです。地域医療構想調整会議は、地域の医療機関が担うべき病床機能など地域医療構想の推進に必要な事項を協議するために設置するものであり、個別の病院の在り方の当否を決定するものではありませんが、三病院の連携・統合協議は病床数など医療圏全体に大きな影響を及ぼすことから、一定の方向性が出た段階で情報提供を行ってまいります。 次に、仙台赤十字病院が統合した場合の感染症対策の在り方についての御質問にお答えいたします。 今回の新型コロナウイルス感染患者については、感染症指定医療機関以外の病院も含めて県内二十の病院で受け入れていただいているところです。今後、新たな感染症等が発生した場合の体制の検討については、今回の連携・統合の協議とは別に進めてまいります。 次に、仙台市立病院への丁寧な説明が必要ではないかとの御質問にお答えいたします。 三病院の連携・統合の協議については、まずは対象となる病院の設置主体が提供すべき医療についての理念や競合病院の立地を踏まえた事業展開などについて総合的に検討すべきものと考えております。現時点では協議が継続し方向性が決まっていないことから、今後、方向性が決まった時点で求めがあればしっかりと説明してまいります。 次に、地域医療構想調整会議の意見を聞き、透明性を確保しながら検討を進めるべきとの御質問にお答えいたします。 先ほども申しましたように、三病院による連携・統合の方向性が決まりましたら地域医療構想調整会議において説明し意見を伺いたいと考えております。 次に、仙台赤十字病院が現地存続した場合の県の支援についての御質問にお答えいたします。 仙台赤十字病院が現在の姿で存続した場合は、従来どおり県の政策医療として総合周産期母子医療センターの運営への補助を継続することになるものと考えております。 次に、仙台赤十字病院が移転した場合における有床診療所化についての御質問にお答えいたします。 三病院の連携・統合の方向性についてはまだ固まっておりませんが、現在の協議は県全体や二次医療圏を視野に入れた医療機能の在り方ですので、有床診療所は念頭に置いて議論しておりません。 次に、大綱二点目、新型コロナウイルス対策についての御質問のうち、重症患者の受入れ可能病床数についてのお尋ねにお答えいたします。 我が県の病床確保計画では、要請に応じて患者の受入れが可能な県内の病院の病床数は三百四十五床で、そのうち重症患者用としては四十三床を確保しております。実際に入院する場合には、病院側でスタッフの配置やゾーニングなどに一定程度の準備期間を要することから、御指摘のように四十三床全てで直ちに重症患者の受入れが可能なものではありません。現時点で重症患者向けに入院が可能な病床数は十三床であります。 次に、医療現場の負担にふさわしい補助への見直しについての御質問にお答えいたします。 感染症患者を受け入れる医療機関への病床確保料については、確保した病床の種別ごとに国が一律に定めた単価により支援しており、介助の程度など入院患者の実態に応じた補助は行っておりません。これまでに医療機関への支援等については、国の予備費等の活用による診療報酬の特例的な対応や重点医療機関の病床確保料の引上げなど支援が拡充されてきたところです。県といたしましては、これらの取組を着実に実施していくとともに患者の実態を踏まえた病床確保料の見直しなどについて、引き続き全国知事会等を通じて国に要望してまいります。 次に、介護職員への慰労金についての御質問にお答えいたします。 介護従事者への慰労金については、我が県でもこれまで約三十五億四千万円の予算を承認していただき支給を進めております。介護職員の労に報いる給付については、国が全国統一的な観点から施策化すべきですので県独自の慰労は考えておりませんが、慰労金の対象期間の拡大など今後の感染拡大状況に応じた柔軟な対応を国に求めております。 次に、大綱四点目、自死防止対策についての御質問のうち、女性の自死者数の増加要因についてのお尋ねにお答えいたします。 御指摘のとおり、我が県では昨年同期比で二十代、三十代、五十代の女性の自死者数の増加が顕著となっております。性別、年代別の自死の原因の統計が公表されていないため詳細には分析できませんが、全国的には仕事や経済的問題、育児の悩み、介護疲れ、精神疾患等が女性の自死の背景にあります。新型コロナウイルスの感染拡大に伴いこうした問題が深刻化していると言われており、我が県でも同様の背景があるのではないかと考えております。 次に、統計データの自死対策への活用についての御質問にお答えいたします。 自死対策を検討する上で統計データに基づく現状把握は重要であり、適切な分析の下、施策を講じていくことが必要であると認識しております。県では、これまでも年次推移や性別、年齢別、原因別の状況、二次医療圏ごとの状況、失業率との相関関係等について分析しております。今後もより詳細な傾向が把握できるよう分析手法に工夫を重ねてまいります。 次に、関係機関との連携による疫学的調査についての御質問にお答えいたします。 御提案のありました自死者数が顕著に増加している年齢層に属する自死者について、自死に至った原因や動機等を把握し横断的に分析することは、自死防止対策を講じていく上で有意義であると認識しております。 一方で、自死者の個別案件に関する詳細情報の収集には限界があります。このため疫学的調査は難しいものと考えますが、関係機関からのできる限りの情報収集に努め自死防止対策に役立ててまいります。 次に、自死未遂者の発生・対応状況が共有できる仕組みについての御質問にお答えいたします。 国の統計によると、年間自死者の約二割に自死未遂歴があるとされており、自死未遂者に対して関係機関等が連携して適切な支援を行い、再び自死に思い至ることがないようにすることが大変重要であると認識しております。これまでも本人の同意の下、保健所、市町村、医療機関等が自死未遂の発生や対応状況等の情報を共有し連携して支援に当たっている事例もありますが、県としましては、関係機関で構成する宮城県自死対策推進会議などの場でこうした取組を普及啓発し、自死未遂者に対して関係者が一層緊密な連携を図ることで効果的な支援ができるよう努めてまいりたいと考えております。 私からは、以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 教育委員会教育長伊東昭代君。    〔教育委員会教育長 伊東昭代君登壇〕 ◎教育委員会教育長(伊東昭代君) 大綱五点目、宮城県美術館についての御質問のうち、見える収蔵庫についてのお尋ねにお答えいたします。 美術館リニューアル基本方針において設置を検討することとしていたヴィジブル・ストレージ、いわゆる見える収蔵庫には、コレクションを保管している収蔵庫の一部のみをガラス張りにして見せたり、コレクションを収蔵庫に保管しているように高密度に展示して見せるなど経費を抑えながら整備する手法などもあります。七千三百点を超える県美術館のコレクションを多くの県民の皆様に見ていただくことは重要なことだと認識しており、今後方針として決定された場合には魅力ある展示手法の在り方について検討してまいります。 以上でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 八番わたなべ拓君。 ◆八番(わたなべ拓君) まずは、知事の政治姿勢について伺いましたが別にふざけているわけでは全然なくて、フェアに言うべきことも言わなくてはいけないと思っております。この十五年間の任期中に県内総生産を一兆円増加させて、平均的な方々の県民所得を一人当たり三十万円増加させ、デフレ経済下においてこれは偉大な功績です。また、あのトヨタを引っ張ってこれる知事は何人いるかということもよく分かっております。これは立派なことだと思っています。また、東日本大震災において危機管理をしっかりされましたし、また復興の第二ステージまでこうして引っ張ってこられたのは、創意工夫のある知事あったらばこそであります。そこはよく分かった上で言っているということを申し上げたいのであります。ただそれを置いた上でも申し上げたいことは、直近の一年間の迷走ぶりだけを見て申し上げているのではないのです。全体の評価もあるのでそのような立派な知事であるということは置いた上で気になるところは、先ほど菅間議員からもありましたが、「由らしむべし、知らしむべからず」というようにも受け取れるような性質はちょっと否めない気がしています。三病院の統合・連携にしても、先ほどの質問、そして答弁においても決まったことを伝えるので、その上で検討してほしいということですよね。これからの問題としても、みやぎ型管理運営方式がありますがこれも重要な施策です。我々はいまだにその事業候補者について詳細を全く知らされておりません。先ほどの答弁があるように、何でもオープンにというものではなかろうということは分かります。それはそうなのですが、重大な国策であるとか国家安全保障に関わるような機微に要するもの以外は、なるべくオープンにして透明性を高めて衆知を集めるというアプローチのほうが、現に知事は、今回、美術館について撤回されたではありませんか。このようにいろいろな知見が集まって議論して、よりよい施策に至るというアプローチをとるほうが県政をより大きな公益に資するのではないですか。そういう意味で申しましたが、いかがお考えですか。 ○副議長(齋藤正美君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 決して何でもかんでも隠したいということではないのですが、相手のあることですのでかえって混乱する、迷惑をかけるということもあるということです。今の一例として三病院の連携・統合の話をされました。今、話合いをしているのですが、正直に申し上げて三つの病院が独立して連携をするということもある。また、三つの病院が一つになることもある。二つの病院が一つになって、一つが連携をするということもあるということで、本当にゼロから百までいろんなことを考えています。宮城県が主導するわけではなくて、宮城県は県立がんセンターにお越しになる患者さん、そして県立がんセンターで働いてる皆さんのことを考えながら主張し、それぞれの病院がそれぞれの病院のことを、患者さんのことを考えながら主張するということでございますので、非常にシビアなことをいろいろ交渉していくということになるわけであります。そこで途中経過を表に出すということは、これはやはりまだ何も決まっていない段階で、いろんな選択肢がある中で、ゼロから百まで出すということは実質的に難しいと思います。仙台市さんからオブザーバーとして入れてくれないかという話もありました。それも五者会議の中で諮ったのですが、やはり先方からまだお互いに何をどういうふうに行うか何も決まってない段階で、オブサーバーとして仙台市さんを入れることは難しいという返事をいただいたということでございます。そういう状況があるので、どうしても何もかもつまびらかに全てを話すとかえって混乱を招くことになり、先方に迷惑をかけることもあり、その辺はどうしても慎重に対応せざるを得ないということは御理解をいただきたいと思います。県議会にはぎりぎりのところまでは常に出すように指示をしておりまして、私も今まで十五年間やってきましたが、その姿勢は知事になっても変わらずやっているということは御理解いただきたいと思います。 壇上での答弁の中で、新たな県民ギャラリーの設計についての御質問の中で、新しい県民会館については令和三年に策定したと答弁いたしましたが間違えました。今年三月に策定したということで訂正させていただきます。 ○副議長(齋藤正美君) 八番わたなべ拓君。 ◆八番(わたなべ拓君) 先週の土曜日に県民の説明会が行われましたが、そこでちょっと驚くべきことがありました。移転先の公的施設の延べ床面積が一万八千八百平方メートルとなり、現状よりも五千平方メートルほど大きくなるということ。もう一点が公共施設等適正管理推進事業債、集約化、複合化、これは知事が一年間ずっとこだわってきた枠組みです。この枠組みを利用せずに一般事業債で対応するという答弁があったようですが、これは事実かどうか端的に伺います。 ○副議長(齋藤正美君) 震災復興・企画部長佐藤達哉君。 ◎震災復興・企画部長(佐藤達哉君) 先週土曜日の県民説明会においてそのような質疑があり、そのように答えたということは事実でございます。 ○副議長(齋藤正美君) 八番わたなべ拓君。 ◆八番(わたなべ拓君) 率直に驚きました。この一年は何のための一年だったのかということです。いろいろ申しましても、知事の尊敬するところは将来世代の過度な財政的な負担を避けるために、いろいろ知恵を絞っていろんな枠組みを駆使して努力するところです。そこに大義があったのです。ところが美術館が抜けたとなるや今度は余地は捻出できないということで、この特別有利な枠組みを用いられないと簡単に白旗を上げてしまっているのです。それでも防衛大学を出た元自衛官なのかと言いたいです。もっと頑張っていただきたい。知事、そこにこそ大義があるんだからもっと頑張っていただきたい。例えば今手元に資料があるのですが、管財課に資料を作ってもらいました。昨日急いでです。高橋総括に感謝します。これを見ると一九六〇年代、一九七〇年代に造られた築五十年、四十年を迎えるものがまだ百二十数個あります。これはちゃんと再検討して、その上でなおなすべきことをして、それでなお不可能だったと言えるような努力とは思えないのです。というのは、NPO法人に貸し出している施設はまだ幾ばくもあります。ほかにもいろんな枠組みがあります。一斉に同じ種類のもの、改築を迎えているものもあります。こういったものの再検討の余地はないのでしょうか。 ○副議長(齋藤正美君) 震災復興・企画部長佐藤達哉君。 ◎震災復興・企画部長(佐藤達哉君) 県有施設等の再編に関する基本方針をつくる過程において、築三十年以上の県有施設をリストアップして各部局に話をしまして、その中から各部局から移転再編等のテーブルに乗るものを出していただいて、それで十施設に絞って今回検討してきたという流れがございます。その十施設において今後再編等に動いていくわけでございますが、その他の施設については検討から漏れているということでございます。 ○副議長(齋藤正美君) 八番わたなべ拓君。 ◆八番(わたなべ拓君) これはとんでもない話です。一年間何をしてきたのだということです。この一年の努力を無にしないでまだやれることはあると思います。県有施設においてきちっとチェックし直すべきだと思うし、もう一つ目先を変えて、例えば仙台市、十二月一日に郡市長が大胆に市有施設を再編すると言っているわけです。その中で戦災復興記念館を持て余していて廃止も考えていると言っていますが、重要な展示ホールなんかもあるわけです。これをどうしようかとまだ俎上に上げられないという状況です。ここにこそチャンスがあるのではないかと。先ほど幸いにして知事は郡仙台市長と大変仲がいいという、ちょっとにわかには信じ難いコメントを残されましたが、何せ知事がおっしゃるので信じるとして、その仲のいい市長に、どうか県・市連携で新たな時代のこの公共施設の集約複合化にしっかりチャレンジしようではないか、こういう余地もあるのではないですか。そうすれば、戦災復興記念館は延べ床面積六千五百平方メートルあります。公共施設等適正管理推進事業債を用いるにはあと五千平方メートル必要なのです。十分捻出できるのではないですか。チャレンジする余地はあると思います。どうですか。 ○副議長(齋藤正美君) 知事村井嘉浩君。
    ◎知事(村井嘉浩君) その辺の意思決定は私どもではなくて仙台市にございます。わたなべ議員のおっしゃることも一つのアイディアだと思って決して否定するものではないのですが、そういう議論もさせていただいたのですが仙台市も今度音楽ホールを建て替えるお話しをされています。仙台市民会館を潰して音楽ホールを造ると。戦災復興記念館はどのように扱われるのか、その辺も仙台市さんがまずよく考えた上で話を進めていかれると思います。当然、そういうことは仙台市さんとはいろいろお話はさせていただかなければならないことだと思ってございます。意思決定は私のほうではできないということも御理解いただきたいと思います。 ○副議長(齋藤正美君) 八番わたなべ拓君。 ◆八番(わたなべ拓君) もちろん仙台市所管の建物になるわけですから仙台市長に意思決定があります。しかし、知事がおっしゃったように仲がいいのですから、仲がいい政令市の市長と宮城県知事として、しっかり太い絆を生かして将来世代に無理な財政的な負担を残さないための枠組みにもうちょっとこだわっていただきたい。何となれば、今回の業務委託の仕様書を見ますと、この枠組みにこだわることということが基本になっているということが分かります。公共施設等適正管理推進事業債の活用も視野に入れて規模の適正化を検討することと言っているのです。規模の適正化を検討しない、この枠組みを検討しないで移転なんていうことは本来の趣旨に大きく反するのです。そこについてもうちょっと頑張っていただきたいです。 ○副議長(齋藤正美君) 知事村井嘉浩君。 ◎知事(村井嘉浩君) 先ほど部長が答弁しましたが、検討する段階で築三十年以上の対象になる施設を入れた上で、当然、その利用目的というのがあり、ただ面積だけでくっつければいいというものでも決してなくて、面積だけで計算したところもあるのですが、それはやはり現実的でないということがありまして、やっぱり利用目的なども考えながら、最初は文化的施設ということで県民会館と美術館というのは親和性があるだろうということで進んだのですが、結果的には美術館は現地に残すほうがよいということになったということです。同じように文化的な目的で使えるようなものがあれば集約もあったのですが、なかなかそういったようなものがなかったということであります。空いている建物の面積をただ足せばいいというものではなくて、いろんな使い方をしておりますので、利用者の方の利便性なども考えながら総合的に判断した結果がこういうことだということでございますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。具体的に県の施設でこういう施設があるのではないかということがあれば、個別に教えていただければ検討させていただきたいと思います。----------------------------------- △休会の決定 ○副議長(齋藤正美君) お諮りいたします。 明日から十二月七日まで三日間本会議を休会とし、十二月八日再開することにいたしたいと思います。 これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(齋藤正美君) 御異議なしと認めます。 よって、明日から十二月七日まで三日間本会議を休会とし、十二月八日再開することに決定いたしました。 なお、ただいま御出席の諸君には改めて通知いたしませんから、御了承願います。 残余の質疑、質問は、十二月八日に継続することにいたします。----------------------------------- △散会 ○副議長(齋藤正美君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 十二月八日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。    午後三時八分散会...