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10月01日-03号

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  1. 京都市議会 2015-10-01
    10月01日-03号


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    平成27年  9月 定例会       平成27年       定例会     京都市会会議録 第3号       9月市会          平成27年10月1日(木曜日)出席議員(67名)   1番 大西ケンジ議員   2番 菅谷浩平議員   3番 こうち大輔議員   4番 宇佐美けんいち議員   5番 豊田貴志議員   6番 森川 央議員   8番 山本陽子議員   9番 平井良人議員  10番 やまね智史議員  13番 森 かれん議員  14番 大津裕太議員  15番 西山信昌議員  16番 かわしま優子議員  17番 国本友利議員  19番 平山たかお議員  20番 津田大三議員  21番 西村善美議員  22番 ほり信子議員  23番 山田こうじ議員  24番 森田ゆみ子議員  26番 江村理紗議員  27番 山集麻衣子議員  28番 山本ひろふみ議員  29番 青野仁志議員  30番 平山よしかず議員  31番 吉田孝雄議員  32番 湯浅光彦議員  33番 加藤昌洋議員  34番 森田 守議員  35番 田中たかのり議員  36番 みちはた弘之議員  37番 くらた共子議員  38番 河合ようこ議員  39番 樋口英明議員  40番 加藤あい議員  41番 赤阪 仁議員  42番 村山祥栄議員  43番 天方浩之議員  44番 中野洋一議員  45番 隠塚 功議員  46番 山岸たかゆき議員  47番 安井つとむ議員  48番 曽我 修議員  49番 久保勝信議員  50番 しまもと京司議員  51番 椋田隆知議員  52番 下村あきら議員  53番 西村義直議員  54番 吉井あきら議員  55番 田中明秀議員  56番 山本恵一議員  57番 山中 渡議員  58番 井坂博文議員  59番 北山ただお議員  60番 玉本なるみ議員  61番 西野さち子議員  62番 井上けんじ議員  63番 鈴木マサホ議員  64番 大道義知議員  65番 ひおき文章議員  66番 寺田かずひろ議員  67番 中村三之助議員  68番 橋村芳和議員  69番 小林正明議員  70番 繁 隆夫議員  71番 富 きくお議員  72番 井上与一郎議員欠席議員(なし)   議事日程   開議日時 平成27年10月1日(木)午前10時   一般質問 (1)市政一般について  寺田かずひろ議員 (2)市政一般について  西村義直議員 (3)市政一般について  椋田隆知議員 (4)市政一般について  みちはた弘之議員 (5)市政一般について  井坂博文議員 (6)市政一般について  樋口英明議員 (7)市政一般について  ほり信子議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時開議〕 ○議長(津田大三) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。山集麻衣子議員こうち大輔議員とにお願いいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(津田大三) この場合,議長から御報告申し上げます。 今回受理いたしました陳情1件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に回付いたします。 以上御報告申し上げます。御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(津田大三) これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,寺田かずひろ議員。 〔寺田かずひろ議員登壇(拍手)〕 ◆(寺田かずひろ議員) 皆さん,おはようございます。上京区選出の寺田かずひろです。 私たち自由民主党市会議員団は,京都市会第一党として市民の皆様より託された大きな期待を常に自覚し,その代表として市政について厳しいチェックと責任ある提言を行ってまいりました。今議会は26年度の決算を中心に審議を行いますが,本日は議員団を代表して4名の議員が質問をさせていただきますのでよろしくお願いいたします。 さて,26年度の決算の数値を見ますと,門川市長を先頭に財政健全化を実行しようとされている努力が感じられる結果となっています。それは市税徴収率,介護保険料,国民健康保険料,市営住宅家賃についても過去最高の徴収率を達成したことにも表れ,総人件費の削減や事業見直しによる財源確保など行財政改革を進められていることは評価できると思います。特に市バス事業では,大幅な増客を実現することなどにより,私が初当選させていただきました10年前であります平成17年度のピーク時に144億円あった累積資金不足を全て解消し,一般会計からの任意補助金に頼らない自立した経営を実現したことは大いに評価できると言えるでしょう。しかしながら,市民一人当たりの市税収入は大阪市より約7万4,000円少なく,人口147万人分換算では約1,000億円少ないなど,京都市特有の独自財源基盤の弱さに加え,社会福祉関連経費等の増加や地方交付税が年々削減される中,臨時財政対策債への依存が増加しているなど厳しい状況は続いています。この臨時財政対策債は,地方自治体の借金でありながら国が責任を持って返済するという平成13年度から始まった制度ですが,事実上は国の借金でありながら,名目上は地方自治体が借金するという構造を鑑みても,一時的な運用ならまだしも恒常的に運用されることには疑問を持たざるを得ません。全国的な問題でもありますが,京都市はその依存度が高く,市会からも声を上げ続けますが,市長におかれましても他都市とより一層連携した臨時財政対策債の廃止に向けた取組を求めます。 また,決算資料を見ておりますと,複数年に掛けて同じような金額で同じような内容の不用額が発生している事業も少なくありません。予算化の段階で,今まで以上の精査が必要であると提言させていただきます。 私たち議会も指摘だけではなく,議員報酬を削減し,その削減分は,本年7月の台風11号による被害への対応策に充てるために,昨日修正の案を可決させていただきました。財政の健全化に向けて,本会議でもしっかりと議論したいと思います。 さて,門川市長におかれましては,市長就任から7年半がたち,人脈の幅もより一層広がり,京都のために2期目最後の1年を,現在は26年度の決算を踏まえたうえで全力で取り組んでおられることと思います。先般,私たち自由民主党京都市会議員団は,前回の市長選挙で私たちが提言した政策の実効性と市長の3年半の取組を検証させていただきました。その結果,2年前の台風18号の対応や,らくなん進都の進捗など一部に対し厳しい評価がありましたが,第一に,待機児童ゼロが2年連続で実現し,第三子以降の保育料無料化,子ども医療費支給制度の拡充,ひとり親家庭等医療費支給制度の父子家庭への拡大等の子育て支援政策,第二に,動物園の再整備をはじめとする岡崎地域の活性化や梅小路公園を含む京都駅西部エリアの活性化等の地域活性化政策,第三に,市立病院の新館建設や国民健康保険料の引下げ,地域における要支援者の見守り活動などの健康,地域福祉政策,第四に,エコ学区の取組進捗の拡大,ごみ減量やリサイクルの推進政策によるクリーンセンターの3工場化とそれに伴う施設整備費400億円,年間運営費10億円の削減などの環境政策,第五に,地域コミュニティ活性化政策など地域力向上に向けた取組,第六に,河川改修や全ての橋梁の点検完了,まちの匠の耐震リフォームなどの災害に強いまちづくり,第七に,京都マンガ・アニメフェアの開催など新産業創造,市内産木材の活用促進や商店街活性化,伝統産業支援などの産業支援,産業政策。特に観光では世界で大きな影響力を持つといわれる「トラベル・アンド・レジャー」誌で訪れたい都市2年連続1位になるなど大きな成果を上げることができました。第八に,府市協調の推進であり,特に全国初となる共同での施設建設,運営が実現した動物愛護センターをはじめとする消防学校,計量検査所,衛生研究所の共同化等大いに評価できるものであります。 こうした観点から,門川市政の総括としましては,全般的にしっかりと取り組まれているのではないかといった評価でありました。ただ,屋外広告物の適正化や四条通の歩行空間の拡大など,政策の方向性は議会の同意を得たものの,市民の皆さんへの説明が十分ではなかったために行政に対して不信が広がったことは,今後の反省として受け止めていただかなければなりません。私は常々,市長のおっしゃる共に汗する共汗を市民の皆様にお願いする前に,共に感じる共感が大切だと言ってきました。まさに市民の皆さんと共に感じる必要性を,今後はより一層期待するものです。 そこで市長にお聞きします。26年度の決算の総括と共に,現時点において来年迎える市長選挙,また3期目についてどのようにお考えか,まずはお聞かせください。 ○議長(津田大三) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 寺田かずひろ議員の御質問にお答えします。 まず,私の2期目の市政運営を高く評価いただき,誠に光栄に存じます。また,市民の皆様に対する説明責任をしっかり果たすべきとの御指摘につきましては,不十分な点を率直に反省し,今後の市政運営にいかしてまいります。平成26年度決算は,市バス・地下鉄事業の大幅な収支改善を図るなど,全会計の実質収支の黒字を4年連続で維持,拡大したほか,市長就任前,1万6,000人であった市職員を8年間で3,000人削減し,人件費を年間335億円削減するなど行財政改革を断行し,財政健全化を着実に推進することができました。同時に,御紹介いただきましたように,縮小一辺倒ではなく市民の命と暮らしをしっかりと守り,未来の京都への先行投資も積極的に行ってまいりました。市役所が徹底的に汗をかきつつも,行政主導ではなく,市会の先生方をはじめ市民や事業者の皆様と課題,目標,使命感,何よりも行動を共有できたからこそ様々な政策が大きく前進したと実感しており,皆様に心から感謝申し上げます。 しかし,市民の皆様,中小零細企業の皆様に豊かさを実感いただくための更なる京都経済の活性化,京都創生による人口減少社会の克服など,なお様々な課題が山積しております。大きな課題ではありますが,私は,この8年間,京都のまちづくりの源泉である市民力,地域力の偉大さに日々感動し,勇気を頂き,京都であれば,どのような困難な課題であっても必ず乗り越えられるとの確信を深めてまいりました。この全国随一の市民力,地域力を礎に,大好きな京都のまちの輝かしい未来像を,皆様と共に実現したいとの熱い思いは,この間,私の胸の中でますます高まり続けております。私の3期目につきましては,各種団体の皆様方から頂いた出馬要請や激励を重く受け止め,市会与党の先生方をはじめ,これまで私をお支えくださった皆様方にも十分に御相談させていただきながら熟慮してまいります。本日,寺田かずひろ議員から頂いた御意見を胸に刻み,まずは残された課題の解決に向け,全力を傾注してまいります。 ○議長(津田大三) 寺田議員。 〔寺田かずひろ議員登壇〕 ◆(寺田かずひろ議員) それでは,次の質問に移ります。 東日本の震災が起きてから4年半たちました。先日,本市職員さんが派遣されている宮城県女川町を訪問した際に,町長は「今までは被災地を見に来られていましたが,ようやく復興状況を見ていただけるようになりました」と笑顔で話された後で,「ただ本格的な復興はこれからです。今後も御支援をお願いします」と復興状況を丁寧に説明いただきました。地域の大切さ,きずなの大切さを感じずにはいられませんでした。過日も茨城県における鬼怒川決壊をはじめ広い範囲で豪雨による災害が発生しました。お亡くなりになった方の御冥福をお祈りし,被害に遭われた皆様にお見舞い申し上げるとともに,一日も早い復旧を願わずにはいられません。 災害は突然起きるものですが,その被害を最小限に抑えることが何よりも大切です。京都市においても,防災訓練が各地で行われています。いつも自治会等地域でお役をされている方に頼っている傾向が見られます。何かあってからではなく,常の備えが必要です。そのためにもきずなの大切さを子供の頃から肌で感じる教育が必要なのではないでしょうか。以前から学校でクラス名簿すら作れない等の問題を指摘してきましたが,今の子供たちが大人になったときに地域でお役を担い,またそういった方々を応援するといった社会が続くように,今からその教育の大切さを感じずにはいられません。 かねてから私は地域の大切さ,きずなの大切さを訴えてまいりました。そして,地域コミュニティ活性化条例の制定や市政協力員の皆さんへのニュースレター,また子供向けの冊子「地域って」など,その実現への市長の英断に敬意を表するものです。 先日は金沢市における「絆」の教育を教育福祉委員会で視察しました。この事業は数年前の災害に中学生がボランティア活動を行ったことをきっかけに始まったそうです。小学生,中学生,そして高校生と学校生活や地域活動を通じてきずな教育の輪を広げていただきたいと思いますがいかがですか。 また,京都市会基本条例第18条第2項に規定され,毎年度議会に対し報告を義務付けられている京都市基本計画の実施状況を見ますと,主な市民生活実感評価の中で,「地域の組織の活動が盛んである」という項目が評価を下げています。自治会の加入率は27年度目標値で77パーセントに対して,ここ数年ほぼ70パーセントで横ばいとなっており,様々な取組の努力は見られるものの,その成果にはつながっておりません。私は,基礎自治体である京都市が担う部分は地域が担えない部分だと思っています。すなわち地域活動が低下すれば,京都市の担う部分が増え,その分,市民負担も増えるということになります。 昨日の議員研修会で市立芸大の鷲田学長からも,自治会を担う重要性についてお話しいただきました。自治会加入率向上につながる施策の実現を求めたいと思いますがいかがですか,併せてお答えください。 ○議長(津田大三) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) きずなの教育と自治会加入率の向上についてでございます。 京都が誇る地域力を,きずなを,次の世代に引き継いでいくことが何よりも重要であり,きずなの大切さへの思いは寺田議員と全く同じであります。本市では,子供たちが避難所運営訓練やまちの美化活動,ひとり暮らしのお年寄りの訪問,地蔵盆などの地域行事に参加すること等により地域の担い手としての自覚を育むとともに,地域の方々とのきずなを深める取組を,学校教育と地域活動をしっかり結んで進めてまいっております。また,平成24年4月に地域コミュニティ活性化推進条例を施行して以来,様々な取組を展開しており,その成功事例と,そこで明らかになった課題をしっかりと踏まえ,地域コミュニティ活性化推進計画の改定に向けた議論を市民参加の下で深めているところであります。今後は,教育委員会はもとより,各局,区が一層連携し,子供の育みやPTAの活動と地域の結び付きの有機的な連携,強化等について,新たな方策を検討し進めるとともに,地域に根差した福祉,健康,防災,防犯,安心安全などの本市のあらゆる取組を,施策を,地域で融合させ,そのことが地域コミュニティの活性化と自治会加入率の向上に確実につながる仕組みづくりを進めてまいります。 ○議長(津田大三) 寺田議員。 〔寺田かずひろ議員登壇〕 ◆(寺田かずひろ議員) 次に,健康寿命について質問させていただきます。本年2月市会の予算特別委員会における私の健康寿命に関する質疑に対して,市長が,全庁的なプロジェクトチームを来年度早々に発足させると答弁いただきましたが,お約束どおり6月に本市におきまして健康長寿のまち・京都推進本部が設置されました。これは,市民の皆さんの主体的な健康づくりを全市的な運動として推進するための仕掛けとして,地域づくりや御高齢の皆さんの生きがいづくりなど各局や区役所などが連携し施策,事業の立案を行うものと聞いております。是非,実効性のある施策を打ち出していただきたいと期待しております。 また,過日の敬老会でも区長の挨拶で,健康寿命を延ばすことの大切さを各学区でお話しいただいておりました。先日,80歳以上の方々が初めて1,000万人を超えたと総務省から発表があったそうですが,私の生まれた昭和40年頃では,80歳以上の方々は総人口の0.8パーセントだったのが,今では8パーセントと10倍になっています。この数字の伸びからも健康で長生きできる社会の重要性と必要性が感じられます。 さて,本年度の教育福祉委員会では,他の委員の皆さんに御理解いただき,健康長寿を年間テーマとして議論しております。これは常任委員会において年間テーマを決めることにより,視察先や委員会での議論をより活性化する取組として導入したものです。先日も神奈川県の健康寿命に関する施策を委員会で視察してきました。神奈川県では,健康と病気の間に未だ病気でないという意味の「未病」という言葉を作り,未病を治そうという様々な施策に取り組んでおられました。広報にも力を入れておられ,分かりやすい政策となっており,その取組が広がっているようでした。しかしながら,政令市との連携はうまくいっていないようで,対象が県人口の半分以下にとどまっているとの問題点もありました。京都におきましても,既に京都府の施策に健康寿命を5年で1年延伸するという具体的な目標を設定した京都・健康寿命向上対策事業がありますが,京都府民の半数以上が京都市民であることからも京都府の目標達成には京都市の効果的な施策が必要であることは言うまでもありません。京都市と京都府が連携して健康寿命の延伸実現こそが,幸せな市民生活につながると確信しております。 残念ながら,この9月市会の補正予算にも健康寿命に特化した予算は組み込まれておりませんが,早急に予算化のうえ,市民の皆さんに幅広く御理解いただける事業の構築を求めたいと思います。そこでお聞きします。健康寿命延伸に向けた取組の現状と具体的な目標値の設定も含めた今後の取組方針及びその内容についてお聞かせください。 ○議長(津田大三) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 健康寿命の延伸についてでございます。 寺田議員がかねてから御指摘のように,今後の超高齢社会においては市民の皆様の健康寿命を平均寿命に近づけ,高齢者の皆様お一人お一人が生きがいを実感し,地域の支え手としても活躍できる社会の実現が極めて重要であります。このため,健康長寿のまち・京都推進本部を6月に設置し,施策の徹底的な融合と市民主体の健康づくりの仕組みづくりについて鋭意検討を進めております。 お尋ねの健康寿命の延伸に向けた自標については,市民の皆様と目指すべき将来像を共有し,積極的に参加していただける分かりやすい目標となるよう,市民参加の下,設定してまいります。今後,地域社会全体で健康づくりに取り組む機運を高めていくため,様々な市民団体や民間企業,学校など,京都ならではの市民力,地域力を結集した市民ぐるみの運動組織を早急に立ち上げ,健康長寿のまち・京都の実現に取り組んでまいります。 ○議長(津田大三) 寺田議員。 〔寺田かずひろ議員登壇〕 ◆(寺田かずひろ議員) 次に,京都のまちづくりについて何点かお尋ねいたします。 過日,自由民主党の近畿選出国会議員による近畿メガリージョン構想の決議書が安倍総理に手渡されました。これは北陸新幹線の京都への早期接続とリニア中央新幹線の大阪~東京間の同時開業など,東京一極集中に対して近畿圏に新幹線を早期に開通させることが,北陸や中国,四国地方と連携したメガリージョンが誕生するという構想です。先般金沢を訪れた際にも,東京から北陸新幹線が開通し,従来京都をはじめとする近畿圏との結び付きが強かったものの,今後は東京との結び付きが今まで以上に強まっていくであろうと感じました。このままではますます東京を中心とする国土形成が進む一方です。そのためにも国土軸の強靱化が待ったなしの状況にあると言えるでしょう。そこで,本市も近隣都市と連携し,近畿圏の発展にリーダーシップを取る必要があると考えますがいかがですか,お答えください。 ところで,本年春の観光シーズンにおいて,四条通をはじめとする周辺に大渋滞が発生し,多くの市民の皆さんに御迷惑をお掛けしました。自民党市会議員団としましては,市会第一党としていち早くこの問題の検証を行い,速やかに門川市長にその対策の提言をさせていただきました。また,その後も議会等で議論を行い,その多くが現在実施されておりますが,秋の観光シーズンを迎えて市民の皆様に春のような御迷惑をお掛けしないよう十分な対策が望まれます。また,東大路通の渋滞問題も深刻です。四条通と同じ轍を踏まないよう地域と十分な議論を行い,広く市民の皆様の御理解を得なければなりません。ハードルは低くありませんが,早期解決に向けて取り組んでいただかなければなりません。四条通の歩道拡幅と,東大路通の交通施策において,今後どのように進められるおつもりか,お答えください。 世界遺産でもあります二条城は京都の顔の一つでもあります。その二条城の東側空間について幅広い議論がなされている中,北側に計画されているバス駐車場に関しては地元を中心に十分な説明がなされていませんでしたが,先般,私たちの働き掛けもあり,ようやく地元説明会が行われました。具体的なデータを示し,必要台数と必要な時期を明示されたことはよかったと思いますが,今後は景観や安全面に対してもより具体的な説明が必要となっております。計画の見直しも含めて,お考えをお聞かせ願いたいと思います。 京都市は中心部をはじめ細街路が多いまちでもあります。細街路対策は,私が議員になった当初から提言しており,この10年で多くの施策が行われてきました。細街路は,京都らしい町並み景観を形成する一方,災害に弱いという特徴があり,再建築ができない場合は空き家を生み出すといった問題等も幅広い観点から議論する必要があり,そのため地域と行政が連携して細街路について考えることが大切と言えるでしょう。現在,私の地元である仁和学区をはじめとして幾つかの地域が先行して取り組まれているところでありますが,今後はより一層対象地域を拡大し,早期に全市を網羅できるようお求めしたいと思いますがいかがですか,お答えください。 私は,景観重要建造物に対する改修助成制度の対象外であった社寺建築物に関して,京都市内は社寺建築が多く,それらは京都市の景観に大きな影響を与えるという考えから制度の対象にするよう提言し,その結果,第一号として上御霊神社の御車舎が美しく修復されました。今後とも幅広い制度の活用を進めていただくことを要望いたします。 ○議長(津田大三) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 近畿圏の都市間連携についてでございます。人口減少社会の克服や東京一極集中の是正が我が国の喫緊の課題である中,近畿圏は,京都に代表されるように,世界的に価値のある歴史遺産,文化遺産,また中小企業をはじめとした伝統産業から先端産業までのものづくり企業やおもてなし力を誇るサービス産業,観光産業,さらに大学等が集積する他に類を見ない個性と強みを有しており,地方創生の要となる圏域であります。しかし,リニア中央新幹線や北陸新幹線の開業の遅れが,東京を中心とする国土形成を加速させ,地方創生の停滞につながる危機的状況を招くことは,正に寺田議員御指摘のとおりであります。 リニア中央新幹線や北陸新幹線の早期整備は国土軸の強靱化にとって不可欠であり,その中に日本の精神文化の拠点である京都をしっかりと位置付けることが極めて重要であると認識しております。今後とも京都府はもとより関西広域連合など近畿圏の自治体としっかりと連携し,リニア中央新幹線の全線同時開業や北陸新幹線の大阪までの早期延伸を国に強く訴え,さらに,観光などの産業施策をはじめとした総合的な地域振興策に一体となって取り組むことで,本市が近畿圏の発展はもとより,日本の地方創生を牽引する役割を果たしてまいります。 次に,四条通歩道拡幅と東大路通再整備の今後の進め方についてであります。四条通の整備は,人と公共交通優先の歩いて楽しいまちづくりの推進という理念の下に,脱クルマ中心社会のモデル都市形成を目指し,地域や関係者の皆様と約8年間にわたる議論を経て,安心安全で快適な歩行空間を確保するため昨年11月に工事着手いたしました。本年,春の桜のシーズンに大幅な渋滞が発生しましたが,その要因と反省点を明確にし,さらに自民党市会議員団から5月に頂いた御提言を踏まえ,抜本的な自動車流入抑制策に取り組むとともに,バス停に設置した移動式運賃箱で運賃を収受し停車時間の短縮を図るなど,市バスの円滑な運行と一般車両への影響の軽減に努めてまいりました。このため9月の連休においてもゴールデンウィークと同様大きな交通混雑は生じませんでした。今後紅葉シーズンに向け,これまでの対策に加えまして,パークアンドライド駐車場の拡大と利用促進に努めるとともに,公共交通利用促進のための広域的な広報啓発の充実など,更なる対策に取り組んでまいります。 なお,東大路通につきましては,地域の皆様の要望である歩行者が安心安全に通行できる歩行空間の確保に向け,今般の四条通歩道拡幅事業における反省点を踏まえながら,引き続き地元住民の皆様の御意見を賜り,十分な検討を進めてまいります。 次に,二条城東大手門を中心とする正面玄関の整備及び北西角へのバス駐車場の設置についてでございます。本事業は,世界遺産二条城にふさわしい荘厳な景観を創出し,来城者,歩行者と駐車車両のゾーンを明確にすることにより,安全性を高めるために行うものであります。北西角のバス駐車場については,寺田議員をはじめ市会の先生方から,樹木を残し景観に配慮することや使用時間など運用上の検討をするよう具体的な御指摘を頂いております。また,先日開催いたしました地元説明会でも,景観や安全面など御心配の声をお聞きし,現在,これらを踏まえまして,規模の縮小も視野に入れ計画の見直しを検討いたしております。今後とも,世界遺産として文化的な価値を維持し,市民の誇りであり地域の皆様に愛される二条城となるよう努めてまいります。 次に,細街路対策についてでございます。本市には,路地などの細街路が数多く存在し,これらの安全性を向上させていくことが,本市の安心安全のまちづくりや地域の活性化を進めていくうえで最も重要な課題の一つであると認識しております。この取組は,地域の方々の機運,熱意と行動なしに進められるものではございません。このため,防災まちづくりを進める意向を示された11の学区をモデルとなる優先地区に選定し,地域と行政の連携の下,防災上の課題をまとめた細街路マップの作成や課題解決のための計画づくりなどの取組を着実に進めているところでございます。また,今年度は,優先地区で得られた知見を踏まえ,専門家派遣制度など地域主体の活動を支援する仕組みを構築し,優先地区以外の地区につきましても,同様の取組を展開し始めております。今後とも,優先地区での先進事例を広く発信するなど,市全体で機運の向上を図りながら,地域主体の防災まちづくりができるだけ早期に全市的に展開できるよう努めてまいります。 ○議長(津田大三) 寺田議員。 〔寺田かずひろ議員登壇
    ◆(寺田かずひろ議員) 最後に,本市のエネルギー政策についてお尋ねします。本年6月から行われていた電気料金値上げの軽減期間が先月で終了し,今月から市民の電気料金に対する負担が増えることになります。門川市長は,本年6月に行われた関西電力の株主総会で,「わずか2年で2度の大幅な電気料金の値上げは,市民生活や経済活動に重大な影響を及ぼし,とりわけ中小企業にとっては死活問題であります。安価で安定した電力の供給に向け,一層の経営改革と徹底したコスト削減に取り組まれることを求めます」と発言されています。このような状況下において,今まで以上に省エネと再生可能エネルギーの政策を拡充,加速化させていく必要があるのではないでしょうか。 2年前の代表質問で提言させていただきました省エネ改修助成制度は,すぐに創設いただき現在2年目となっています。決算を見ますと初年度ということもあってか苦戦されているようですが,これはまだまだ我が国において省エネに対する理解が進んでないのだろうと思います。それは省エネを実行するに当たり,具体的に幾ら費用面で得をしているのか分からないからではないでしょうか。私は,最終的には,市民の皆様が助成制度に頼らなくとも省エネ改修した方が得だと感じていただき,実行していただくことが大切だと思っております。そのためにも助成制度があるから省エネ改修するのではなく,助成はあくまでもきっかけであり,市民の皆様にお得感を体感していただくことがこの政策の要なのです。この27年度は耐震イヤーとも言うべく,様々な施策により耐震改修されておられる方が少なくありません。是非この機会に省エネ改修も連動して行っていただけるような仕掛けをより一層行う必要があると思いますがいかがですか。 また,そういった市民意識を進めるためにも,先ほどと同じく2年前の代表質問で,大規模な発電のみに頼ることなく,地域によるエネルギー施策の必要性を提言しました。その提言を受けていただき,昨年は地域コミュニティをいかした市民協働発電制度に対するコーディネーターの支援事業,今年度は自治会や町内会レベルでも再生可能エネルギー発電導入の可能性を調査できるような助成制度が実現しましたが,京都市が目指されている具体的な目標等はありますでしょうか,併せてお答えください。 冒頭に申しましたとおり,自由民主党京都市会議員団は,多くの市民の皆様より託された思いにお応えできるように時には大変苦い意見も市長に提言しております。しかしながら「良薬は口に苦し」の言葉にもありますように,その提言をお聞きいただくことが京都市政の健全化につながると考えております。今後もしっかりと働くことをお約束し,私寺田かずひろの議員団を代表しての質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(津田大三) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 省エネと再生可能エネルギー施策の充実についてでございます。寺田議員御指摘のとおり,省エネの推進や再エネの拡大には,市民の皆様御自身がそのメリットを体感し,行動に結び付けていただくことが何よりも重要であります。このため本市では,様々な創エネ,省エネ機器の展示,相談を行う京都エネルギーフェアやエコ改修した京町家の居住モニターとその分析の公表などをはじめ,市民の皆様にその効果を実感していただく取組を進めております。耐震改修と省エネ改修の連動につきましては,これまで行ってきた京安心住まいセンターでの申請,相談窓口の一元化に加えまして,今後これら耐震と省エネを併せた改修を行うことにより,その費用を低く抑えることができる具体例のPRや申請書類の一本化を行うとともに,一層の利用促進に向けた助成メニューについても研究してまいります。さらに,地域での発電につきましては,市民協働発電,屋根貸し発電等に加え,集会所の新築や改築の際に太陽光発電の設置を促進することで,災害時の電力確保や余剰売電など,メリットを実感できる取組を強化してまいります。今後とも,市会決議を踏まえて策定いたしましたエネルギー政策推進のための戦略に掲げた省エネ15パーセント以上,再エネ導入3倍以上の目標達成に向けまして,引き続き市民,事業者の皆様と一体となりまして,全力で取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 次に,市政一般について,西村義直議員に発言を許します。西村議員。 〔西村義直議員登壇(拍手)〕 ◆(西村義直議員) 西京区選出の西村義直でございます。寺田かずひろ議員,椋田隆知議員,みちはた弘之議員と共に自由民主党京都市会議員団を代表して質問をさせていただきます。 初めに高齢化に伴う本市の住宅政策についてお尋ねいたします。顕著で急速な人口減少,少子高齢化が進行している中,まち・ひと・しごと・こころ京都創生総合戦略では,若い世代の結婚,出産,子育てが大きな位置付けとして取り上げられています。一方で国立社会保障・人口問題研究所による京都市の将来人口を予測した場合,25年後の2040年には人口が約132万人に減少となっても高齢者は増加傾向にあり,高齢化率は約36パーセントまで達する見込みです。 京都市では,これまでから多様な社会情勢を踏まえて高齢者に対しても様々な施策に取り組まれていますが,特に高齢者向けの住宅については,平成23年10月,国土交通省と厚生労働省が所管する高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づく制度により,施設の建設に当たり登録されたサービス付き高齢者向け住宅に対し建設費の10分の1,1住戸当たり100万円を上限として国の補助が受けられるようになりました。この制度を活用し,バリアフリー構造のハード整備に加えて安否確認や生活相談サービスの提供を民間事業者が行うことで,高齢者が安心して生活することのできる住宅施策が展開されています。また,平成24年9月に不動産や福祉などの関係団体の支援や協力を頂き設立された京都市居住支援協議会,京都市すこやか住宅ネットは,高齢者の方が,これまで住み慣れた地域でいつまでも安心して生活できる住まいの確保に向けて,民間賃貸住宅への円滑な入居への取組を通して,行政と民間の双方の取組として実施されています。 こうした取組などの結果,本年6月に発刊されました京都市政報告書に記載されているとおり,高齢者向けに整備された賃貸住宅の戸数は,平成23年度末の680戸であったものが,平成26年度末には2,824戸と実に4倍に増加いたしました。京都市に住む65歳以上の高齢者人口は平成26年度の推計人口で約38万人,高齢者が含まれる世帯数は平成22年の国勢調査で約22万世帯となっていることからも,今後,人口減少社会になろうとしても,ますます増え続ける高齢者数や高齢者を含む世帯数の増加傾向が見込まれることを視野に入れると,なお一層の高齢者向け住宅の整備を図ることが必要であると思いますが,今後の京都市を見据えた高齢化に伴う住宅整備の方針をお伺いいたします。 次に,児童虐待減少への取組について伺います。先般,警察庁のまとめで,今年1月から6月に全国の警察が摘発した18歳未満の子供が受けた虐待事件が376件,摘発人数が387人と最も多かったことが新聞記事に記載されました。虐待かもと思っても違ったらどうしようと思っているうちに虐待を受けていることを未然に防止することができなかったり,虐待を把握しても掛ける電話番号が分からないために通報できなかったりという事案を解消するために,自民党女性局においても,女性ならではの視点で政治,政策を考え,子育てや介護,福祉などの問題についても取り組む中で,児童虐待防止への取組については特に力を入れて取り組んでおり,社会の宝である全ての子供たちが,虐待を受けずに成長してほしいという取組を今後も積極的に続けていく中で,厚生労働省や関係機関との連携の下,平成27年7月1日より,これまで利用していた児童相談所全国共通ダイヤルの10桁の番号「0570‐064‐000」を,これまでよりも覚えやすい3桁の番号にするとともに,子供たちや保護者のSOSの声をいち早くキャッチするため,「189(いちはやく)」という番号に変わりました。 こうした取組が進展しつつも,全国の児童相談所での児童虐待に関する相談対応件数は,厚生労働省によると児童虐待防止法施行前の平成11年度に比べ平成25年度は6.3倍に増加,7万3,802件となっています。京都市におきましても,残念ながら年々増加傾向にあり,昨年度では1,372件という相談,通告件数でした。今後は,この件数を把握するだけではなく減少させていくこと,さらには皆無にすることで,次の将来を担う子供たちが,京都市に生まれてよかった,京都市に育ってよかったと実感できるような京都市になるのではないでしょうか。そのためにも,児童虐待防止については,地域の子育て支援の拠点として子育てに関する相談に応じるとともに,子育て支援サービスの紹介など様々な支援を行う子ども支援センターを全ての行政区,支所に設置することに加え,子育て支援を必要とする家庭への訪問や児童虐待防止に関する啓発を近畿地区のみならず政令指定都市,京都府と共に協働に実施していく必要があると思います。 ここ近年では,医療機関との連携を図りながら,出産された後,地域の子育て支援者が,その家庭を訪問し,子育てに関する支援情報を届けるとともに地域で子育てを応援する関係を作る取組がなされる一方,誰にも相談できず妊娠に悩む女性が悩みを相談しやすいよう,24時間,匿名でも受信可能なメール相談といった妊娠に関する悩みに対応した正しい知識や情報発信を実施されるなど,あらゆる機会を捉えた幅広い児童虐待を未然に防止する取組が行われており,それを更に強固なものにしていかなければなりません。 児童虐待については,殴る,蹴るといった身体的虐待,性的行為に関する虐待,食事を与えない,病気やけがをしても病院に連れていかないネグレクト,言葉による脅迫,無視など心理的虐待等に大きく分類される以外にも複雑な児童虐待も発生しています。目まぐるしく変わる社会情勢に応じて支援の在り方も改善しながら新しい施策に向けても取り組む必要があります。こうした取組の積み重ねによって,社会の関心が高まるとともに通報や相談が増えることにより,掛け替えのない子供たちをしっかりと守ることにつながることと思います。最悪の場合,尊い子供たちの人命が奪われることにつながりかねない児童虐待を,京都市はどのように捉え減少させていく取組を行うのか伺いたいと思います。 続いて,18歳選挙権に伴う主権者教育についてお尋ねいたします。現在,施行されている選挙権年齢を現在の20歳以上から18歳以上に引き下げる改正公職選挙法が,本年6月17日可決成立いたしました。来年夏の参議院選挙から適用され,全国の18,19歳,約240万人が新たな有権者になり,京都市では,約2万6,000人が新たな有権者として見込まれています。選挙権年齢が変更されるのは,25歳以上から20歳以上に引き下げた1945年以来70年ぶりで,1年間の周知期間の後に行われる国政選挙から適用され,18歳に引き下げられる対象となるのは,衆議院選挙と参議院選挙,地方自治体の首長と議会の選挙などとなります。最高裁判所裁判官の国民審査や,地方自治体の首長の解職や議会解散の請求,リコールなどを受けて行われる住民投票の投票資格も同様に18歳以上となります。これに伴い,18,19歳の選挙運動も認められるわけですが,買収など連座制の対象となる重大な選挙違反をした場合,原則として成人と同様に刑事裁判の対象となります。 世界の約190箇国,地域のうち,約9割で選挙権年齢は18歳以上です。法案提出者は,この18歳選挙権の意義を,民主主義を更に深めるため投票できる人を増やしていくとしています。これに併せて新たに投票する世代にも選挙の仕組みなど政治や政策を学習する機会が設けられることとなり,中学校の社会や高校の政治経済,現代社会といった科目が政治教育として位置付けられました。しかし,現実に社会で起こっている課題を授業で取り上げることは,政治的な解釈が伴うことや,衆議院選挙が小選挙区比例代表並立制で行われているという話はあっても,実際の選挙がどうなっているかについては,学ぶ機会,選挙そのものに関わる機会が少ないのが実態です。私たちが日々生活している家や学校,駅,道路,医療機関,福祉施設,市場など様々な場所で政治や政策が直接又は間接的に関連性があることも重要な事実です。20歳になっていきなり「選挙に行きましょう」と言われても難しいのではないでしょうか。若い世代が政治に関われる機会なくして,「政治に関心を持て」と言っても不可能です。だからこそ,18歳選挙権によって,政治に関われる機会を創出するとともに,それに併せて政治教育を普及させることによって,日本の民主主義の醸成を図っていくべきだと考えます。 選挙によって選ばれた代表者は,国民や住民の代表者となり,その代表者が職務を行うに当たっては,一部の代表としてではなく,全ての国民や住民のために政治を行うことになります。選挙とは,私たちの代表を選び私たちの意見を主権者として政治に反映させるためのもので,そのためにも,私たち一人一人が選挙に関心を寄せることで,選挙はもっと身近なものとなります。そして,この選挙は民主主義にとって最も重要かつ基本的な機会ですから,できるだけ早い時期に,しかも分かりやすく教育することが大切だと思います。また,新たに選挙権を得る18,19歳の若者が選挙そのものを体感できる機会を増やすことも大切だと思いますが,この18歳選挙権に伴う主権者教育にどのように対応されるのか,門川市長に伺いたいと思います。 続いて,農業振興につながる景観保全,観光に向けたタケノコ畑の再生と竹林の保全についてお尋ねいたします。社会経済に大きな影響を与える深刻な問題となる人口減少に歯止めを掛け,東京への人口集中を是正し,活力ある日本社会を目指す地方創生の取組については,京都の強みをいかして取り組んでいかなければなりません。その強みの一つとして,豊かな地域資源が挙げられ,地域の特性を踏まえて,豊かなコミュニティが根付き,安心安全で魅力と個性あふれるまちづくりをしていくことが重要だと思っております。西京区大原野地域は,西山の山麓の竹林を背景に丘陵地が開け,のどかな田園風景が広がる地域で,米をはじめタケノコやナスの産地であり,また歴史,文化的にも由緒ある社寺が点在し,桜やモミジなど四季の移ろいが楽しめ,フジバカマ,カタクリ,ギフチョウといった貴重な動植物の宝庫であるなど豊富な資源を有する地域です。 地方創生と言葉で活字で見たり聞いたりしますが,大原野地域は,その地方創生に該当し,国が掲げる地方創生としての予算だけではなく,大原野地域の豊富な資源が大原野の魅力だと位置付けて活動されており,平成24年度には地域住民の皆様と洛西支所を中心とした行政が一緒になり,策定された大原野「地域ブランド」戦略の中でまとめられています。人口減少問題が,日本全国における喫緊の課題である今日,農村である大原野全体を地域ブランドとして捉え,特産品をはじめ花の栽培にも力を入れ,農家の方々がこれまでの栽培に加えて新しい栽培方法も取り入れながら地域に密着した活力ある花々を魅力にした観光,暮らしなどを地域の内外に発信していく大原野「地域ブランド」戦略の取組は,住民主体の地域活性化につながっていくものと期待しております。 また平成25年4月には京都第二外環状道路の全線開通,大原野インターチェンジの新たな開設,そして平成26年3月には府道小塩山大原野線も開通した中にあっては,今や大原野地域は京の西の玄関口だけではなく,京都を訪れる観光客の皆様に注目される地域でもあり,住民の間にもそうした意識も芽生えてきたところです。 一方,大原野地域には,兼業を含め約500戸の農家がおられ,専業農家を中心に野菜や花などの出荷部会を組織し,農協出荷による農業生産活動が熱心に行われてきました。そして,こうした生産活動が地域の基盤であったからこそ,丘陵地に広がる約330ヘクタールの田んぼや畑が保全され,今日の里の環境が形作られたと言っても過言ではないと思います。 しかしながら,近年の農産物価格の低迷,農家の高齢化や兼業化,さらには,鳥獣被害によって生産した農産物が出荷できない状況に陥るなど,こうした農業生産体制を維持する活力が低下してきているのも実情であります。特に西京区大枝,大原野を代表する農産物はタケノコであり,栽培に適した土質と土入れ,親竹の先止めといった全国でも類を見ない独特の栽培方法によって,良質なタケノコが生産されてきました。大原野地域は約100ヘクタールの畑があり,その大半がタケノコ畑ですが,生産農家は減少傾向にあります。そこで,地域ブランド戦略を実践する一つの手法として,大枝,大原野地域の更なる観光資源化,魅力の増大につなげるべく,タケノコ畑の再生や竹林風景保全の取組を進めることにより,農業振興はもとより,竹の里というイメージをより強力に打ち出していくべきではないでしょうか。御所見をお伺いしたいと思います。 最後に来年,平成28年は,西京区が右京区から分区して西京区制40周年の節目の年を迎えるに当たりお尋ねいたします。右京区から分区した当時の西京区の人口は約9万人でしたが,阪急桂駅を中心に市街化の進展,洛西ニュータウンの建設,桂坂の住宅開発,桂川右岸における区画整理事業の整備等により,現在では約6万2,000世帯,約15万3,000人が生活する市内で4番目に人口が多く,面積も59.20キロ平方メートルの市内で5番目に広い行政区になりました。文化,スポーツの拠点となる西文化会館ウエスティ,桂川地域体育館など,区民の様々な活動を支援する体制が整備されたまちづくりが進められるとともに,桂川街道の開通や阪急洛西口駅の開設,隣接する南区におけるJR桂川駅の開設などや国道9号京都西立体交差事業や京都第二外環状道路の整備や都市基盤の整備も進められてきました。現在も阪急京都線連続立体交差化事業をはじめ善峰川や新川の改修等の事業が進められています。また,京都大学桂キャンパス内にナノテクノロジーやバイオ技術などの研究について産学連携をより一層推進する拠点となるローム記念館が平成17年5月にオープンするとともに,京大桂ベンチャープラザも整備され,最先端の研究の事業化を促進し,起業家の支援や産学共同研究の場となることを目指す桂イノベーションパーク構想の推進が図られました。 一方で,先ほど申し上げた都市型近郊農業が盛んな地域でもあります。様々な発展や課題と向き合う中で,来年は西京区制40周年を祝う記念の行事が数多く開催されることとなると思いますが,多彩な行事だけではなく,これまでから西京区民が要望している地下鉄の延伸や市バスなどの公共交通の利便性向上につながる要望や市立芸術大学移転に伴う約6万8,600平方メートル,約2万700坪の跡地活用,さらには,洛西ニュータウンの著しい人口減少傾向など厳しく深刻な課題を抱える中で,西京区が今後も多岐にわたる政策により発展するためにも,以前,門川市長が,阪急桂駅西口で,「京都市の発展には,西京区が鍵である」と言われた言葉が今も強く耳に残っています。市内の中心部ではない西京区におけるこれまでのまちづくりを踏まえて,門川市長の西京区に掛ける思いを今一度,西京区民の皆様に分かりやすく述べていただくとともに,昨年10月には,平安神宮において,今後より一層交流を深め活力あふれるまちづくりを進めることとして京都市と向日市との相互調印式が行われましたが,その際,宣言された安心安全,さらには,環境や市民交流などの取組を通しての都市間交流を,今後どのようにして前進させていこうとされているのか。地域的に向日市とのつながりも強い西京区であることを踏まえ,今後どのようにして,まちづくり,都市間交流を展開しようとされているのかを伺い,自由民主党京都市会議員団を代表して,私,西村義直の質問とさせていただきます。御清聴いただき,誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(津田大三) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 西村義直議員の御質問にお答えいたします。 まず,高齢化に対応した住宅政策についてであります。本市では,住宅政策の基本計画である京都市住宅マスタープランを策定し,高齢者の皆様が生き生きと健やかに暮らすことができるよう,高齢者の居住の安定を確保するための施策を展開しております。この計画に基づき,国の制度を活用して,高齢者向けにバリアフリー化された民間賃貸住宅の供給に加えまして,高齢者住まい法に基づき,平成23年10月から,安否確認や生活相談といった見守り機能も備えたサービス付き高齢者向け住宅の登録を推進するなど,高齢者向け住宅の供給に取り組んでまいりました。さらに,不動産関係団体,福祉関係団体の参画を得て設立しました京都市居住支援協議会,京都市すこやか住宅ネットにおきまして,高齢者が安心して入居できる民間賃貸住宅をすこやか賃貸住宅として4,409戸を登録し,その情報を発信してまいりました。加えまして,昨年11月には,全国に先駆けて,低廉な住まいと社会福祉法人が無料又は低額な利用料で見守り等のサービスを一体的に提供する高齢者すまい・生活支援モデル事業をスタートさせ,現在8箇所の福祉施設を拠点に42学区において取組を進めているところであります。今後とも,高齢者,とりわけひとり暮らしの方の増加が見込まれていることから,サービス付き高齢者向け住宅の供給やすこやか賃貸住宅の登録を促進しますとともに,高齢者すまい・生活支援モデル事業終了後におきましても,継続的,発展的に取り組める持続可能な事業スキームを構築するなど,住宅分野と福祉分野等との連携を図りながら,高齢者の居住支援に取り組み,高齢者の皆様が住み慣れた地域で安心して暮らせる住まいづくりを推進してまいります。 次に,主権者教育についてでございます。私は,今日の投票率の低下,とりわけ若者世代の投票率の低下は,民主主義社会の根幹に関わる危機と認識しており,この度の,選挙権年齢を18歳以上に引き下げる70年ぶりの大改革は,国において,強い覚悟の下,若者の政治参加の促進に取り組もうとするものと受け止めております。そうした中,本市におきましても,西村義直議員御指摘の,子供たちに国家や社会の形成者として必要な政治や選挙への関心を高め政治的教養を豊かにするための教育をはじめ,関係各局が連携し若者の投票率向上に向けあらゆる取組を推進しなければならないと決意を新たにいたしております。現在,教育委員会においては,小中学校での社会科や高校での公民科を中心として社会参加の意義や地方自治,選挙制度の仕組みなどについて学ぶことはもとより,例えばこの9月には洛陽工業高校において,学生団体と連携し前回の衆議院選挙における各政党のマニフェストを教材とした模擬選挙の授業が行われるなど,公共の精神を育み社会問題や政治への関心を高める具体的な取組を進めております。こうした取組と地域コミュニティの活性化等との取組の融合も大事だと認識しております。 また,国において作成され,一昨日に発表されました高校生向けの政治や選挙等に関する副教材に加えまして,現在,小学校から高校までの発達段階をしっかりと踏まえた,本市独自の体系的な指導計画の作成を進めております。選挙管理委員会におきましては,新たに有権者となる18歳,19歳の世代が選挙に触れる機会を更に充実する取組として,学生選挙サポーターなど大学生による選挙事務協力に加えまして,新たに高校生による選挙事務体験の実施や明るい選挙出前授業の中高生への拡大を進めるとともに,本市ならではの大学コンソーシアム等の関係機関とも連携し,選挙啓発を行う学生団体等への支援制度の創設,また充実などに取り組んでまいります。今後とも,若い方々お一人お一人が民主主義社会の一員として自覚を高められ,自ら考え,自ら判断し行動できるよう,政治や選挙への関心を高める取組をオール京都市で推進してまいります。 次に,大枝,大原野地域の農業振興,観光振興についてでございます。都市近郊農業地域として,また,歴史と文化を誇る地域として,古くから農作物の生産等が盛んに行われてきた大枝,大原野地域は,京都第二外環状道路の開通と京都縦貫自動車道の全線開通により,京都の西の玄関口として大いに注目されております。特に,大原野地域では,私も毎年参加させていただいております食と地域の祭典である風土・food大原野や,休耕田を活用したひまわりの開花イベントの開催,さらには,農産物の販売拠点づくりの取組が住民の皆様を中心とした産学公の,共に汗する共汗により進められてまいりました。 こうした中,地域資源をいかした更なる魅力の創造と発信に向け,本年2月に地域主体の大原野「地域ブランド」戦略が策定され,さらに,まち・ひと・しごと・こころ京都創生の総合戦略として,市民の皆様からの提案制度である京都創生お宝バンクにも意欲あふれる提案を頂き登録されたところであります。中でも,「京たけのこ」と呼ばれる品質の高いタケノコは,その色合い,風味,軟らかさから,地域ブランド産品として高く評価されております。しかし,外国産や他産地との競争が激化する近年,土入れや収穫作業など労力を要する高品質なタケノコの生産は減少傾向にあり,地域景観にも影響が出始めております。 西村義直議員御指摘のとおり,竹の里のイメージを強く打ち出すためには,タケノコ生産の担い手を確保するとともに,地域観光にも資する風光明媚な竹林風景を取り戻すことが重要であります。そのために,昨年度からは,ボランティア育成を目的とする大原野たけのこ再生クラブを立ち上げ,竹林の整備に着手したところであります。今後は,全庁を挙げて,竹林ボランティア組織の拡大,生産農家を支援する新たな仕組みの創設,地元産のタケノコの朝掘り観光や花をいかしたおもてなし観光の実施など,担い手の育成及び農業と観光の融合など,大枝,大原野地域のブランド力の向上を図るとともに西山山麓の竹林風景の保全に努め,京都の強みを最大限にいかした地方創生のモデルを,地域の皆さんと共に構築してまいります。 次に,西京区のまちづくりと都市間交流についてであります。西京区は,西山連峰を擁する豊かな自然環境と,学術,文化に培われた魅力にあふれる地域であり,こうした豊かな自然や魅力をいかしつつ,京都第二外環状道路をはじめとした道路網などの都市基盤整備を飛躍的に進め,この間,着実に発展を遂げてまいりました。西京区は,御指摘のとおり来年区制40周年の節目の年を迎えますが,この節目の年を未来への大きなステップとしなければなりません。そのため,地域や学校におけるスポーツ振興をはじめとした健康づくり,子供の見守り活動など世代や学区を越えた交流と力強い地域力をいかした子育て環境の充実はもとより,大原野「地域ブランド」戦略など西京区ならではの地域の特性をいかした魅力ある観光の創出,さらには,まち開きから40年を迎えまして,緑豊かで生物多様性に富んだすばらしい環境である洛西ニュータウンでの若者世代の定住促進など,活力あふれるまちづくりを進めていくことが不可欠であります。また,都市間交流につきましては,これまでからスポーツや文化を通した交流を進めている亀岡市に加えまして,共に都として栄え,地理的,歴史的にも深いつながりを持つ向日市と昨年10月に相互交流宣言の調印式を行い,様々な交流事業を実施してまいりました。今月17日には,両市の一層の発展に向けまして,更なる交流や一体感を高めることを目的として実施する竹結びフェスタや,相互の歴史,文化をいかした親子文化財バスツアー,また,両市の防災協定に基づく訓練をはじめとした安心安全のまちづくりなど幅広い分野で協力し,交流を深めてまいります。私は,西京区の今後の発展が,京都創生を進めていくうえで大きな鍵であると認識しております。住んでよし,子育てしてよし,学んでよし,働いてよし,始めてよしと実感できるまちづくりに向け,西京区民の皆様と共に努力し,希望に満ちた未来を力強く切り開いてまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(津田大三) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) 児童虐待の減少に向けた取組についてでございます。西村義直議員御指摘のとおり,児童虐待は,子供の心身の健全な成長のみならず,掛け替えのない命をも脅かす深刻かつ重大な問題と認識しております。増加傾向にあります相談や通告,更に虐待と認定した事案に的確に対応するため,本市ではこれまでから,第二児童福祉センターの設置をはじめ,児童相談所における全国一手厚い児童福祉司の配置,また,医療機関や学校,保育園等の関係機関との一層の連携など,しっかりと体制強化を図ってまいりました。あわせまして,保健センターにおける妊娠期から出産,育児期までの切れ目のない支援や,全ての福祉事務所に設置しております子ども支援センターによる育児不安のある家庭への支援などにより,虐待の未然防止にも取り組んできております。さらに,児童虐待を未然に防止するためには,核家族化の進展や地域のつながりの希薄化等による子育ての孤立化など子育て環境の変化を踏まえ,その背景にまで踏み込んで取り組んでいく必要があることから,行政の取組だけでなく,保育園,幼稚園,学校や児童館,更にはNPOなど,幅広いネットワークをいかした地域ぐるみの対応も非常に重要であります。このため,親御さんの悩みや不安を解消する親支援プログラムの普及や,子育て中の親子の交流の場の確保,子育て家庭と民生児童委員等,地域の子育て応援者をつなげる取組など,社会全体で子供を育む環境づくりを推進しております。また,従来から開設しております京都市子ども虐待SOS専用ダイヤルに加え,国が本年7月から開設いたしました児童相談所全国共通ダイヤル「189」,略して「いちはやく」の周知のほか,市民の皆様お一人お一人が周囲の子供たちに関心を持ち,虐待から子供を守る意識を向上していただくための啓発活動を積極的に行っております。今後とも,児童虐待の未然防止と早期発見,早期対応を一層推進し,子どもを共に育む京都市民憲章の理念の下,社会全体で子供の命と健やかな育ちを守り,子育ての喜びを共有できる環境づくりに努めてまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 次に,市政一般について,椋田隆知議員に発言を許します。椋田議員。 〔椋田隆知議員登壇(拍手)〕 ◆(椋田隆知議員) 私は,南区選出の椋田隆知でございます。先輩,同僚の寺田かずひろ議員,西村義直議員,そしてみちはた弘之議員と共に自由民主党京都市会議員団を代表して,市長並びに関係理事者に対し質問と提言をいたします。 先般の台風18号の影響による関東・東北豪雨では,北関東,東北地方において甚大な水災害が発生し,多大な被害がございました。被災されました方々に心からお見舞い申し上げますとともに,お亡くなりになった方々に,衷心より哀悼の誠をささげます。 それでは,質問に移ります。まずは,本市におけるごみ減量の取組についてであります。京都市のごみ量は,これまでの様々なごみ減量の取組と,市民,事業者の皆様の御理解と御協力によって,ピーク時の平成12年度の81万5,000トンから順調に減っており,平成26年度は,46万1,000トンと4割以上も削減され,大きなごみ減量効果がもたらされております。京都市唯一の最終処分場である東部山間埋立処分地エコランド音羽の杜,また,新たに建替え工事を進めている(仮称)南部クリーンセンター第二工場等,巨額を投じた京都市民の貴重な共有財産を,できる限り長く使用することが,埋め立て可能な海のない内陸都市である京都市にとって大きな課題であります。本年3月末日には,新・京都市ごみ半減プランが策定され,まさに本日10月1日からは,ごみ半減を目指すしまつのこころ条例が施行されるとともに,食品スーパーにおけるレジ袋の有料化が一斉にスタートするなど,ピーク時からのごみ半減,すなわち平成32年度に39万トンの目標に向け,ごみの減量を更に推進されております。 私は,その中でも特に三つの取組に注目しております。まず一番に注目しておりますのが,今申し上げたレジ袋の有料化であります。ごみ減量のためには,リデュース(ごみの発生抑制),リユース(再使用),リサイクル(再生利用)の3R推進することが基本でありますが,この中で最も環境に優しい取組が,そもそもごみになるものを減らすリデュースであり,また,それをより具体化したものとして,必要のないものはもらわない,買わないといったリフューズであります。リフューズのここでの意味は断るということであり,これが最も重要です。そのリフューズの大きな効果が期待できる取組が,この度のレジ袋の有料化であります。本日から,市内のほとんどの食品スーパーでレジ袋有料化が実施されますが,このような,市民,事業者,そして行政が連携した,環境に優しい画期的な取組は,大いに評価しております。また,京都市内に600店以上あるコンビニエンスストア等では,レジ袋有料化を直ちに行うことはいささか難しいと考えますが,レジ袋を受け取らないリフューズ習慣の意識を喚起し,広く啓発する環境をつくることが重要であり,それは行政としても行えると思います。次に,リデュースの取組である,全国初となる削減目標を設定された食べ残し,手付かず食品といった食品ロスの削減を目指す取組であります。一口に,食べ残さないでくださいといっても,なかなか難しい状況もあり,食品ロスをゼロにすることは難しいと思われますが,食品ロスの削減は大変重要な課題であると考えます。最後にリサイクルであります。これは,物的資源の少ない我が国にとって必要不可欠なことであり,本市では,各家庭で出される一人当たりのごみ量は,1日441グラムであり,他の政令指定都市の平均の4分の3と,大都市で最もごみ排出の少ないまちを実現する中,一昨年の1万1,000世帯を対象にしたモデル事業を経て,昨年6月から包装紙や紙箱など,いわゆる雑がみの分別,リサイクルを全市でスタートされました。この間,雑がみ保管袋の全戸配布など取組を強化されてきましたが,その分別が,いよいよ義務化されるこれからが本番であります。ピーク時以降,現在もごみが減り続けているということは一定評価しておりますが,今なおごみ処理には年間261億円という巨額な費用が使われています。また,ここ数年は減量のスピードが落ちてきていると聞いておりますが,そのような状況ではピーク時からのごみ半減は苦難の道であり,並大抵のことでは達成できないと思われます。そこで,ごみ半減に向けた市長の決意をお聞かせください。 次に,防災,減災と危機管理についてであります。東日本大震災から4年,阪神・淡路大震災から20年がたちました。それらによる教訓から,本市においても様々な対策や施策が行われております。京都市は,内陸都市でありますので,東日本大震災のような津波による甚大な被害はまずないと想定されますが,三方を山に囲まれ,高野川,鴨川,桂川,宇治川等,大きな河川が流れており,山間地域も多く,多種多様な災害が想定されます。また,147万人の市民が住まい,年間5,564万人もの観光客がお越しになる大都市ならではの対応も求められます。 ソフト面については,毎年,京都市総合防災訓練が,本市に最大の被害をもたらす花折断層を震源とする直下型地震を想定して各行政区の特性に応じて行われており,昨年度は東山区において実施され,また,今年度は山科区において全国的に多発している土砂災害への対応訓練が本市で初めて実施されました。加えて,直近の9月26日未明には,京都駅での大規模災害に備えた避難誘導合同訓練が市役所,区役所,交通局,消防局,JR東海,JR西日本,そして近鉄,京都府警合同によって,昨年度に引き続き約630名規模で実施されています。 ハード面については,市内には古い建物も多くあり,倒壊の対策が喫緊の課題とされる中,民間建築物の耐震化支援事業として,木造住宅や京町家をはじめ,分譲マンションや特定既存耐震不適格建築物,要緊急安全確認大規模建築物等に対する支援,これは,3階建て以上かつ一定の面積の基準がありますが,病院,避難所,旅館,ホテル等,不特定多数が利用される建築物が対象の様々な建物の耐震診断,耐震改修に対する補助制度が用意されています。特に木造住宅や京町家に対しては,京都ならではの,まちの匠の知恵を活かした京都型耐震リフォーム支援事業が行われています。この事業については,我が会派の寺田議員が幾度となく提案され,それを受けて平成24年度から始まった事業でありますが,開始年度は602件,25年度は399件,26年度は535件,そして本年度は,先着800件の中,8月末で391件利用されています。順調にいけば年度末には多くの利用が見込めますが,あわせて省エネリフォームとの組合せも行われていることから,私は,バリアフリーに関する補助制度も組み合わせ,ワンストップかつ申請書も簡素化して,来年度により一層利用促進を図るべきであると考えますがいかがですか,御所見をお聞かせください。 次に,お年寄りや心身に不自由を抱える方々,そして子供たちが利用する福祉施設についてであります。公営施設については,おおむね90パーセント以上の耐震化がなされています。一方,民間施設については,平成25年9月に策定された京都市民間保育園耐震化計画,並びに昨年11月に策定された京都市民間社会福祉施設等耐震化計画に基づいて,その進捗状況を見ますと,高齢者関連施設を除いては公営施設と比較してその数値は低いものとなっています。やはり地震は,今日とも知らず,明日とも知らず,いつ起こるか分かりません。耐震化については,もっとスピード感を持って取り組むべきであると,強く求めるところでありますがいかがですか。 災害発生時の取組については,高齢者施設や障害者施設の協力を得て,福祉サービスの提供等の配慮が必要な高齢者や障害のある方等を受け入れる福祉避難所を指定しているところであります。また,全ての民間保育園等,児童福祉施設は,子供は両親等と一緒に避難すべきであることや,子供が子供らしく過ごせる環境を提供すべきであること,保護者等が復旧,復興活動に専念できるようにすべきであることなどから,平成25年1月に福祉避難所としての指定ではなく,子供の一時預かり,通常利用児以外の受入れ,避難所等への人員の派遣,児童館,学童保育所以外は給食施設を使った炊き出し等の協力に係る協定を締結しています。こうした状況を鑑み,先ほど述べました特定既存耐震不適格建築物,要緊急安全確認大規模建築物等に対する支援制度の階数,面積条件の見直しをして,組合せ運用のうえ,児童福祉施設の耐震化を進めていくべきと考えますが,その決意を併せてお聞かせください。 次に,天災以外の災害に対する危機管理についてであります。本年6月10日午前5時頃に,伏見区桃山町の府道で,大型トラックが塩酸を積んだタンクローリーに追突したことにより,タンクローリーの後部が破損し,約2時間半にわたって大量の塩酸が漏れ出しました。消防局は現場から半径100メートル以内を一時,警戒区域に設定し,屋内退避を呼び掛けられました。教育委員会は,現場から北西約500メートルの桃山東小学校と南約700メートルの桃山南小学校の全校児童を自宅待機とし,授業開始を遅らせました。また,近くの複数の幼稚園が臨時休園になりました。しかしながら,より事故現場に近い保育園には,京都市から直後に連絡がなく,園長先生は,登園時間も迫っていたことから,その対応に大変苦慮されたことであります。同じ就学前の子供たちが通う幼稚園が臨時休園となり,また小学校についても自宅待機のうえ,授業時間を遅らせる程の事故でありながら,保育園への対応が早急にできなかったことは大変残念であります。今後このような事態を繰り返さないためにも,防災危機管理室を中心として,現場の消防局の判断の下,間違いのない連絡体制を採るべきであり,また,近年多発する局地的集中豪雨をはじめとする他の災害発生時にも対応ができるガイドラインを作成すべきであると考えますが,具体的な御答弁をお願いします。 次に,京都駅南口駅前広場の整備についてであります。私が生まれた昭和39年に東海道新幹線が開業して以来,他の主要都市の新幹線駅は続々と再整備がなされてきました。しかしながら,京都駅は駅ビルの改築により,烏丸中央口の駅前広場が再整備されたものの,八条口とも呼ばれる南口は大きな再整備は行われませんでした。その間,昭和50年に市内最大級の客室を有するシティホテルが開業,そして昭和51年に再整備が都市計画決定されました。具体的な内容は,その中で紆余曲折し,駅前広場を竹田街道から油小路通まで2階建てにするアーバンデッキ構想は,バブル経済崩壊も影響して絵にかいた餅となりました。ちなみに昭和59年に京都市による初の再開発事業として開業したアバンティは,2階部分をアーバンデッキと直結することを前提に建てられ,名称にもその名残があります。また近年には,京都への観光客増に伴い周辺部に多くのビジネスホテルが建ち,人の流れも変わって,かつて駅裏と呼ばれた頃を思うと,随分にぎわいができております。その一因ともなったイオンモール京都の開業を機に,南北自由通路から八条通南側へ渡す歩道橋案も取り沙汰されました。そうしてようやく平成25年に今回の再整備設計年度を迎え,以来,現地の近くに住む議員の一人として,この事業に対し,度々提言をさせていただきました。いよいよ京都の顔,歩くまち・京都の玄関口として,来年2月末には南北自由通路を伸ばした拠点広場デッキと送迎ゾーン等が完成し,春の観光シーズンを迎える3月にはプレオープン式典も予定されております。そのうえ,八条油小路南東角には大手アンダーウェアメーカーのオフィスビルも建設中であり,ますますにぎやかになることが期待されます。私は,長年この再整備について議論をされてまいりました先輩議員諸氏や,住民をはじめとする地元関係者の皆さんのことを思うと,感無量であります。 そこで確認も含め,改めてお尋ねいたします。過去から現在,そして未来における関係者の方々の願いであり,利用者の方々の安全と円滑な交通を保障するため,八条通と交差する油小路通,西洞院通,室町通,烏丸通,そして竹田街道の歩車分離信号をはじめとする信号系統の見直しと,横断歩道の新設について,所管する京都府公安委員会,京都府警との協議のうえ,実現できるのかどうかをお答えください。加えて,この事業は,まちのにぎわいをもたらす京都駅西部エリア,東南部エリアの活性化のコアとなるものであり,また,歩くまち・京都憲章をいかす歩いて楽しいまち・京都の大きなモデルの一つとなるものであります。おもてなしの心を大切にされてきた歴史を忘れず,あらゆる人々のことをしっかりと視野に入れ,歩くことが困難な車椅子,ステッキカー,ベビーカーを利用されている方のことも考え,歩きやすい,歩けるまちの整備を求める次第であります。あわせて市長の思いもお聞かせください。 次に,観光MICE戦略と姉妹都市,パートナーシティ,世界歴史都市との関係についてであります。本市は,フランスのパリ市,アメリカのボストン市,ドイツのケルン市,イタリアのフィレンツェ市,ウクライナのキエフ市,中国の西安市,メキシコのグアダラハラ市,クロアチアのザグレブ市,チェコのプラハ市の9都市と姉妹都市提携を結んでいます。また,これまで50以上の都市から提携申込みを受けていますが,世界のより多くの都市との交流を可能とするとともに,民間レベルの交流,協力を一層促進することを目的として,平成9年11月に策定した京都市国際化推進大綱においてパートナーシティ交流の推進を提唱し,以降,韓国の晋州市,トルコのコンヤ市,中国の青島市,ベトナムのフエ市,トルコのイスタンブール市の5都市と民間レベルでの交流を主体とした文化,芸術,学術研究,教育,経済などの特定分野での都市間交流を行っています。 私は,昨年6月26日から28日まで,2014年青島世界園芸博覧会に,先ほど質問に立たれた寺田議員と共に門川市長を筆頭とされる京都市代表団と青島市を訪問してまいりました。そのときに現地市民との交流を通して切実に感じたのは,東京や大阪は知っているが京都は知らないという人が多かったことであります。提携を結んで約2年と日が浅かったこともありますが,京都は1200年の都であり有名であると高をくくっていた私は大変ショックを受けました。これではいけない,もっともっと交流を通じて京都のことをPRしていくべきであると考えるようになりました。ただ一筋の光明は,世界各国の庭園が出展されたこの博覧会において,造園建設業協会の皆さんが中心となって京都の造園技術を発揮された日本京都園が最優秀賞に当たる特等賞を受賞されたのでありますが,その中にある京の家に当地でポピュラーであるアニメ一休さんのパネルが展示されておりましたので,一休さんがおられたのが京都ですよとお伝えすると,理解していただける方がおられたことであります。 このこと一つを取っても姉妹都市やパートナーシティ提携は,人種,信条,民族,国家,言語,宗教等の違いを越えて相互理解を深める大切な事業であります。ただ各都市の国の経済状況がハードルとなり,観光インバウンドやMICE誘致に簡単につながるとは言えないのも事実であります。ただ機会があるのであれば,あらゆる手法やチャンネルを通して努力を続けていかなければなりません。 また昨今は,8月に新聞報道にありましたがごとく,外国の要人が京都訪問を重視されるようになっていることであります。8月初旬には元フィレンツェ市長でもあるイタリアのレンツィ首相が,外国の首脳としては初めて京都市役所を訪問されました。昨年8月にはインドのモディ首相が東京よりも先に京都を訪れ,安倍首相と共に教王護国寺,東寺さんに参られました。そのときには,釈尊お釈迦様が初めて法を説かれたサールナート近郊都市であるバラナシ市とのパートナーシティ提携に向けた調印式も行われました。ちなみにサールナートは漢字で「鹿野苑」と表記され,一説には北山鹿苑寺金閣に伝わっているとも言われています。 本市に事務局があり,門川市長が会長である62箇国,地域から107都市が加盟する世界歴史都市連盟も重要です。この連盟は,正式には国交がない台湾,中華民国の台南市も加盟されています。 私は,民間外交や自治体間交流には,本当の親睦があると常に信じています。教育によって反日感情を持っている国民であっても,交流を重ねることによって,またクールジャパンをはじめとする憧れを発信することにより,日本,ひいては京都を訪れていただき,また学んでいただき,母国の学校で教えられてきたことと違うということを知ってもらうことが大事です。今日もこの市役所の周りにも,近くて遠い国の人々がお越しです。そこでお尋ねいたします。予算に限りがあるとは存じますが,10年に一度の周年行事等だけでなく,あらゆる機会を通じて,また民間の力もお借りして,恒常的に交流を推進する何らかの姿勢をお聞かせください。 もう一つ,着物をはじめとする京都の伝統産業に従事されている方からの声であります。その方は,京都で生まれ育ち,伝統を守り続けてきた心意気にプライドをお持ちで,「トラベル・アンド・レジャー」誌の2年連続ワールドベストシティ1位獲得を大変誇りに思っておられます。しかし残念なことに,おもてなしの心が,うまく英語で伝えられないことで日々悔しい思いをされています。観光客の方々が気持ちよく京都で過ごされ,おたちになるよう簡単な日常英会話を学べる機会を望んでおられます。8月に教育福祉委員会で他都市調査として訪れた金沢市では,独自のテキストを作成し,小学1年生より生活に身近なことから英語教育が行われていました。私自身も英会話は学問でなく,生活や生業に必要なことから始めるべきであると考えております。 今議会に,地域住民生活等緊急支援のための交付金を活用した「世界一の観光都市“KYOTO”」ブランド向上事業が補正予算として提案され,昨日議決されました。その中の一つである外国人観光客の受入れ環境の整備において,インバウンド関係事業者向け外国語研修等の実施事業があります。この事業の対象者は,飲食店,旅館,タクシー事業者等と示されておりますが,伝統産業製品等の消費拡大につなげる外国人向け京都お土産販売促進プロジェクト事業とリンクさせ,伝統産業従事者の方々にも御参加いただけるような事業展開も今後検討していただけますか,お答えください。 最後に,本年は南区制60周年の年であります。昭和30年に下京区から分区されるまで,私の住所は京都市下京区唐橋花園町でありました。もちろんまだ生まれておりませんでしたので戸籍には表記されておりませんが,お寺の法人登記には訂正文として記載されています。その名残で,お預かりしている保育園の隣にある公園の正式名称は,花園公園であります。その公園の中には,史跡羅城門の石碑があり,現在の所在地は羅城門町であります。よって大多数の方は,この公園のことを羅城門公園と呼んでおられます。長年,地域の方々の多くの御要望があり,京都市に対し名称変更を訴えてまいりましたが,当局はなかなか応じていただけませんでした。伝統を守ることも大切ですが,やはり現状に則した名称に変更するべきであります。一方,住所は新しい町名になっています。節目の年であります。今こそ正式に羅城門公園にしていただけるようお願い申し上げますが,いかがですか。 元気で優しいまちづくりに全力を尽くして,はっきり発言,しっかり仕事,しっかりと初心貫徹,議員の仕事を全うしてまいります。これからも私自身,自律自戒を持って努めてまいりますので,市民の皆様の御指導,御鞭撻をお願いし,私,椋田隆知,自由民主党京都市会議員団を代表しての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(津田大三) 椋田隆知議員の一般質問の途中ですが,暫時休憩いたします。午後1時に再開いたします。 〔午前11時45分休憩〕 〔午後1時再開〕 ○議長(津田大三) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(津田大三) 休憩前の一般質問を継続し,椋田隆知議員の質問に対する答弁を求めます。門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 椋田隆知議員の御質問にお答えいたします。 まず,ごみの減量についてでございます。京都市のごみ量は,市民,事業者の皆様の御協力,御努力により,ピーク時の12年前から43パーセント減量でき,椋田議員御指摘のとおり,御家庭からのごみ量も,他の政令指定都市の4分の3と,全国の大都市の中で最も少なくなりました。このことにより,環境負荷の低減と年間106億円ものコスト削減を図ることができました。しかし,依然として,ごみ処理には年間261億円もの経費を要していること,また,環境問題に取り組むため減量を更に加速させる必要があります。2Rと分別,リサイクルの促進の二つを柱とした,ごみ半減を目指すしまつのこころ条例を本日施行するとともに,これを具体化した新・京都市ごみ半減プランを,市民の皆様の御理解の下,強力に推進しております。 具体的には,食品スーパーでのレジ袋有料化を政令市で初めて市内全店舗で実施するとともに,コンビニエンスストアなど,全ての小売店でレジ袋が必要かどうかの確認を義務化したほか,手付かずの食品や食べ残しといった食品ロスの削減目標を全国で初めて設定し,食べ残しゼロ推進店舗の拡大などを図っております。また,雑がみなど資源ごみの分別を義務化するとともに,コミュニティ回収など市民,事業者の皆様の主体的な分別を促進する仕組みを拡充,強化しております。ありがたいことに,本年度は,ここ数年の2倍,4パーセント減のペースで減量が進んでおり,皆様方のより一層のお取組に感謝いたしております。今後,環境に優しいライフスタイル,ビジネススタイルの定着を図り,市民,事業者の皆様と共にピーク時からのごみ半減を必ず実現し,全国のモデルとなる持続可能な循環型社会を構築してまいります。 次に,耐震改修の促進についてでございます。本市では,市民の命と暮らしを守るため,身近な職人さんの知恵をいかした耐震工事を支援する京都ならではのまちの匠事業を推進しており,特に今年度は,御要望を踏まえ例年の2倍を超える盛況ぶりであります。また,昨年度には,住宅の改修工事を行う市民に様々な支援制度の情報をより分かりやすく提供するため,省エネリフォーム支援事業等の申請窓口を一本化し,さらに今年度からは耐震診断をはがき1枚で申し込んでいただけるようにするなど申請書の簡素化にも取り組んでまいりました。椋田議員御指摘の住宅のバリアフリーに関する補助制度についても,耐震助成制度等と併せて御利用いただくことで,申請される方にとって改修費を低く抑えられるといったメリットがある場合もあることから,まずは,それぞれの申請窓口において他方の制度を紹介するなど一体的な周知啓発に努めるとともに,相互の利用促進が進むための方策について検討を重ねることにより,市民の皆様のあらゆる改修工事のニーズにスピーディーにお応えできるよう,しっかりと取り組んでまいります。 次に,福祉施設の耐震化の促進についてでございます。私は,高齢者の方や障害のある方,子供たちをはじめ施設を利用される全ての市民の皆様方の掛け替えのない命を守り,災害時においては福祉避難所等としての役割を担う社会福祉施設の耐震化を図ることが何よりも重要であると考えております。このため本市では,平成25年9月に京都市民営保育園耐震化計画を,また昨年11月には京都市民間社会福祉施設等耐震化計画を策定し,助成制度を大幅に拡充することで,その取組を強力に推進しているところであります。耐震化の取組については,椋田議員御指摘のとおり何よりも喫緊の課題と考えており,耐震化を必要とする施設の皆様方ときめ細やかな協議を行い,各施設の実情を踏まえた最適な耐震化の取組を進めてまいります。なお,特定既存耐震不適格建築物等に対する支援制度につきましては,現状では,災害時に子供の一時預かり等を行う児童福祉施設や福祉避難所は対象外ですが,よりよい制度の在り方について研究を深めるとともに,国に対して,制度の拡充を求めてまいります。 次に,京都駅南口駅前広場整備についてでございます。この取組は,歩くまち・京都総合交通戦略のプロジェクトの一つとして,歩くまち・京都の玄関口,京都の顔,まちのにぎわいの3点を基本方針に,これまで地域やバス,タクシー事業者など様々な関係者の皆様と意見交換を積み重ね,コンセンサスを得て,工事の着手に至りました。現在,鋭意工事を進めており,来年3月にプレオープン,さらに12月にはグランドオープンを行ってまいります。この京都駅南口駅前広場は,雨にぬれずに鉄道からバスやタクシーへの乗換えができるよう大屋根を備え,エスカレーターやエレベーターを備えた拠点広場を駅正面に設置するなど,バリアフリーに最大限配慮した計画としております。 椋田議員御指摘の八条通への横断歩道の新設につきましては,現在,実現できるよう道路整備を進めており,また,信号制御を含めた交通規制につきましては,歩行者や車椅子の方などにとって,より安全で利用しやすいものとなるよう京都府警察に対しても要請しており,今後更に強く申し入れてまいります。駅利用者をはじめ周辺にお住まいの皆様には工事中,大変御迷惑をお掛けしておりますが,引き続き,安全かつ着実に工事を進め,市民や観光客の皆様が使いやすく,また,京都駅西部エリア,東南部エリアの活性化の核となる魅力あふれる駅前広場の整備に全力を尽くしてまいります。 次に,国際交流の推進についてでございます。椋田議員御指摘のとおり,姉妹都市やパートナーシティ交流,さらに世界歴史都市連盟による交流は,国際的な相互理解を深める大切な取組であり,周年事業はもとより,あらゆる機会を捉えて,市民や民間レベルでの日常的な交流を積み重ねていくことが重要であると認識しております。市民交流団体や民間企業との関係強化に,そうしたことから努めてまいりました。こうした積み重ねの中で,例えばフィレンツェ市との交流では,京都フィレンツェ友好協会や京都市内のホテル,レストランなど民間の協力の輪が広がり,フィレンツェ・フェアや京都メルカートといった多くの市民が参加し交流を深める継続的な事業が生まれております。また,パリ市との間でも,フランス総領事館の京都市内移転をきっかけに,パリ市長の提案により始めました文化イベント,ニュイ・ブランシュKYOTOは,御参加いただく市内の施設数が年々拡大し,今年は38箇所に上ります。明後日のオープニングには,京都国際マンガミュージアムにフランスのヴァルス首相が御夫妻でお越しになるまでに交流が深まってきております。また,今月には,スリランカ,トルコの首脳も相次いでお越しになります。今後とも,こうした各国首脳をはじめ幅広い方々との交流など,京都の都市格を向上させる一つの機会とし,そうした取組に加えまして,諸外国の公館や京都市内の関係団体,そして何よりも市民の皆様と共に,観光や伝統産業,大学等といった関係者の連携を深めながら,京都ならではの強みをいかし市民主体の交流を一層強めてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(津田大三) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 伝統産業従事者への外国語の研修についてでございます。本市では,急増する外国人観光客を本市経済の活性化や安定した雇用の創出,とりわけ伝統産業の活性化につなげることが極めて重要であると認識しております。そのため,伝統産業を専門的に説明する通訳ガイドの育成,伝統産業製品の多言語での表示,ウェブサイトでの案内,また,外国人目線のお土産開発,さらには,外国人観光客向けの工房ツアー等の外国人観光客に伝統産業を紹介する事業に取り組んでいるところでございます。椋田議員御指摘の外国語研修につきましても,外国人観光客に伝統産業の魅力を発信するためには,伝統産業従事者が伝統産業製品の奥深い魅力を自らの言葉で直接伝えることが大切であることから,飲食,小売,旅館,タクシー事業者に加え伝統産業従事者も対象とした外国語研修が実施できるよう検討してまいります。これら事業の連携を図りながら,外国人観光客を意識した商品開発から,接客,販売,さらには見学ツアーの造成など総合的に支援することにより,京都の宝であります伝統産業製品の消費拡大を図ってまいります。以上であります。 ○議長(津田大三) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) 自然災害以外の災害発生時の対応についてでございます。本市では,自然災害を含むあらゆる危機事象に的確に対応するため,京都市危機管理基本計画を平成16年12月に策定し,運用しております。この計画では,危機事象について自然災害をはじめ大規模事故,武力攻撃事態及び大規模テロ等のカテゴリーに分類し,それぞれについて市民生活への影響の大きさなどに応じて,事象が発生した際の対策本部の設置等の基本的な対応要領を規定しております。椋田議員御指摘のとおり,危機事象発生時にまず重要となりますのが,正確で迅速な情報の収集と伝達であります。本年6月10日に発生いたしました塩酸流出事案においては情報の伝達,共有が不十分であったことを重く受け止め,現場で活動しております消防局等から連絡を受けた防災危機管理室がメール等を活用いたしまして,直ちに防災危機管理室の担当部長として兼職を命じております各局区等の幹部職員に情報伝達を行う体制を確立いたしました。今後,京都市危機管理基本計画があらゆる危機事象のガイドラインとして有効に機能するよう努め,保育園等の福祉施設をはじめ,災害時にとりわけ配慮を必要とする方がおられる施設への対応にも万全を期してまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 藤原建設局長。 〔藤原建設局長登壇〕 ◎建設局長(藤原正行) 最後に,花園児童公園の名称変更についてでございます。一般的に公園の名称は,その所在地が分かりやすいように,開園時の町名や元学区名などにちなんで決定しておるところでございます。この花園児童公園は,昭和12年5月の開園当時に,下京区唐橋花園町に位置しておりましたことから,その名称を唐橋花園公園としておりましたが,昭和19年の土地区画整理事業によりまして,町名が唐橋羅城門町に変更されたにもかかわりませず,公園の名称は唐橋花園公園のまま今日に至っております。椋田議員御指摘のとおり,公園の名称と町名とが異なっていることは決して好ましいことではなく,地域の皆様が長年にわたり,現在の町名にちなんで羅城門公園と呼び親しんでいただいている現状をしっかりと受け止めまして,本市におきまして,速やかに名称変更の手続を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 次に,市政一般について,みちはた弘之議員に発言を許します。みちはた議員。 〔みちはた弘之議員登壇(拍手)〕 ◆(みちはた弘之議員) 私は,伏見区選出のみちはた弘之です。4月に初当選させていただき,伝統ある京都市会の代表質問の機会を与えていただきました諸先輩方に感謝申し上げます。何分初めてのことで緊張しておりますが,よろしくお願い申し上げます。 寺田,西村,椋田の諸先輩議員に引き続き自由民主党市会議員団を代表して,市長並びに関係理事者に質問いたします。 まず,浸水対策についてお尋ねいたします。平成22年4月に策定されました雨に強いまちづくり推進計画は,浸水災害の最小化を図るハード対策,ソフト対策を組み合わせた総合対策であり,本年6月には,その浸水対策事業の実効性を確保し,雨に強いまちづくりを更に力強く推進するために,雨に強いまちづくり推進行動計画が策定されたところです。その中では,平成27年度から31年度までの5箇年にわたる推進行動計画が示されており,五つの基本方針である「ながす」「ためる・しみこませる」「くみだす」「つたえる・にげる」「そなえる・まもる」ことを総合的に組み合わせ,浸水被害を「しのぐ」ことによって,より強力に雨に強いまちづくりを推進されていると理解しています。 この5月1日に上下水道局の南部営業所竣工式典に出席しましたが,その場での門川市長の御挨拶でも雨に強いまちづくりに力を入れている趣旨のお話がありました。そしてゴールデンウィーク明けの5月10日には,伏見区の淀川河川敷において平成27年度の合同水防訓練が行われ,それにも参加させていただきました。この訓練は,地元の澱川右岸,桂川,小畑川の水防事務組合に属する各水防団,そして消防団,自主防災会に地域女性会が参加し,八幡市,久御山町,長岡京市,大山崎町などと一緒に,警察や自衛隊の協力を得て約750人規模で大々的に開催されたものであります。こうした訓練は,近年多発している局地的集中豪雨,いわゆるゲリラ豪雨による大規模災害に備えるとともに住民自らが防災意識を高めることができ,そして各行政機関との連携を図ることによって,災害の際の安心にもつながる重要な取組であります。 伏見のまちは,江戸時代から伏見の見を水と書く「伏水」と呼ばれるほど,水と深く関わりのある地域であります。地名にも草津,貴船の名称が入る地域があり,我が国の魚市場発祥の地の石碑も立っています。また豊臣秀吉が伏見城を築城するまでのいにしえの時代に存在した広大な巨椋池は,昭和の前半の干拓事業で農地に姿に変えましたが,洪水被害の源になるものでありました。今も伏見で語られますのは,昭和28年の台風13号であります。向島南小学校の校門横には,当時浸水した高さが表示されています。上流からの雨水で宇治川が逆流し,向島地域で決壊,大きな被害をもたらしました。ただ不幸中の幸いといえば,下鳥羽,納所,横大路,淀,羽束師,久我地域は,被害から逃れることができました。この教訓は現在も鴨川,桂川,宇治川,木津川の四川が合流する地点において,水の被害に対する意識を高いものにしております。近年では一昨年9月の台風18号の際にも,我が国で初めて大雨特別警報が発表され,記録的な大雨となり,伏見区においては,下鳥羽で鴨川が,久我では桂川が越水し,また濠川と宇治川支流が溢水し,私の地元の南浜や板橋でも大きな被害を受けました。さらに,昨年の8月には1時間に87.5ミリの大雨が観測されるなど,これまでに経験のないような豪雨に立て続けに見舞われ,市内中心部や京北地域などでも多数の浸水被害や道路冠水が発生いたしました。 先般も,台風の影響による記録的な豪雨に伴い,関東,東北地方で「大雨特別警報」が発令され,堤防の決壊などにより,甚大な被害が生じました。お亡くなりになられた方々に心から哀悼の意をささげ,被災されました方々にお見舞い申し上げます。 伏見区においても,雨がやんだ後であっても,上流で降った雨が流れてきて浸水被害を受ける可能性があります。10年ほど前から,伏見区の酒造が立ち並ぶ地域において,雨水幹線の整備が始められ,現在も以前の区役所の跡地を拠点に浸水対策が進行中でありますが,1時間に80ミリ,100ミリの豪雨の情報を聞きますと,本当にこれで大丈夫かとの不安に駆られる声も現実に聞こえてきます。短時間に100ミリを超える局地的集中豪雨に備える雨水幹線などの整備が,行政として費用対効果からも容易ではないことは承知しておりますが,我が自由民主党市会議員団の平成27年度予算要望でも,雨水幹線の整備など浸水対策事業を着実に推進することを強調し要望しております。京都のまちの活性化の源であり,京都市民の五人に一人の割合で生き生きと暮らす伏見区民の一人として,より一層安心して暮らせる雨に強いまちづくりのために,下水道の雨水幹線を早期に整備していただくことを強く願っております。 そこで,市長にお伺いします。上下水道局では,今年度から平成30年度以降の経営ビジョンを策定するための体制を取られたと聞いておりますが,雨に強いまちづくりへの決意と共に,新たなビジョンへの更なる浸水対策の導入など,今まで以上の実効性のある対応策をどのように考えますか,お答えください。 次に,交通事業についてお伺いします。地下鉄事業の平成26年度決算では,1日当たりの旅客数が前年度比1万500人増加し,過去5年間では約3万2,000人の増加となりました。経常損益の赤字は門川市長就任前の20分の1以下となる9億円にまで縮小,現金収支の黒字が過去最大の81億円となるなど,経営健全化が着実に推進されています。これは,地下鉄5万人増客推進本部を核とした,全庁挙げての増客増収の取組や,地下鉄駅職員の民間委託など職員削減をはじめとするコスト削減策が全庁体制で推進されたことによるものであります。確かに京都市の地下鉄は,依然として全国一厳しい経営状況ではありますが,計画を上回って収支改善を進められていることは一定評価できるものであります。そして平成19年度には,本格的な事業展開を開始された駅ナカビジネスにおいて,26年度決算で年間収入8億円を達成されるなど,その収入が経営の健全化に大いに寄与するだけでなく,それまで殺風景だった地下鉄の駅ににぎわいと華やぎをもたらしていると思います。ただ,残念なことに,店舗が整備されているのは,京都駅,四条駅,烏丸御池駅をはじめとする市内中心部の駅ばかりであります。駅ナカビジネスを展開するには1日に1万5,000人を超える駅利用客が必要であると言われていますが,私の地元伏見区にある竹田駅の利用者数は1万7,000人で,ビジネスを展開できる要件を満たしています。また,それ以下の利用者の駅でも様々な工夫ができるのではないでしょうか。 そこで,平成30年度の年間収入10億円実現に向け,門川市長の陣頭指揮の下,その取組を拡大してきた駅ナカビジネスについて,市内中心部の駅ばかりではない,周辺の駅も見据えた今後の事業展開について,そのお考えをお聞かせください。 次に,市バス事業についてお伺いします。市バス事業は過去において,下げ止まらない乗客数減や高止まりする運営コスト増による長い長い経営不振のトンネルをようやく抜け,平成25年度決算において累積欠損金を解消し,また26年度決算では,一般会計からの任意補助金の繰入れを全額見送ったうえで,累積資金不足を全て解消,名実共に黒字化を実現されました。全国的に路線バス事業の経営が苦しい中,平成17年度に144億円あった累積資金不足を全て解消し,黒字経営にこぎつけたこと,とりわけ,赤字路線を廃止することなく,路線,ダイヤの充実,そしてバス待ち環境の整備など,利便性の向上を通じた増客によって黒字化を実現されたことを高く評価します。 しかしながら一方で,伏見区をはじめとする周辺地域のバス停は上屋がなく雨ざらしで,そのうえ,バス接近表示器もなく,30分に1本しかないバスを,お年寄りをはじめとする市民の皆様が当てもなく長々と待たざるを得ないという厳しい現実が多々あるのも事実です。市バスが黒字になった今だからこそ,その黒字をいかして,これまで以上にバス待ち環境の向上をはじめとするお客様サービスの向上に取り組むのが当然です。伏見区をはじめとする周辺地域においても更なる路線,ダイヤの充実,バス待ち環境の向上に積極的に取り組まれるよう要望しておきます。 ところで,このバス待ち環境に関しては,バス停留所標識及び上屋の道路占用料について,一定問題があると認識しています。現在,京都市内では公営交通としての京都市交通局と,それ以外に複数の民間事業者による路線バスが運行されておりますが,これらのバス事業に伴い,必要となるバス停留所の標識や,利用者の皆様が快適にバスを待つための上屋については,道路上に設置される場合には道路占用許可と道路占用料が必要となっています。昨年来,自由民主党の諸先輩議員が関係機関に幾度かお尋ねしたところ,京都市交通局については道路占用規則で道路占用料は免除とされている一方,民間バスについては占用料を徴収しているということでした。現在の占用料は,市街化区域内で標識が1本,年額3,300円,上屋で1平方メートル当たり4,100円,市街化区域外では標識が1本500円,上屋1平方メートル当たり620円となっています。自由民主党市会議員団としても,これを問題視するとともに,その改善に取り組み,本年3月には市長から「公共交通を担っているということで市交通局と同様,道路占用料の減免について全市的に検討し,できるだけ早い時期に結論を出したい」との答弁を頂きました。その後,京都市内部でも検討されていると思いますが,先日,自民党市会議員団,並びに市長に対し,民間バス事業者から道路占用料の負担軽減を願う要望書も提出されています。地域における公共交通の足を担い,地球温暖化防止にも役立つ路線バスについて,京都市が掲げる人と公共交通優先の歩くまち・京都を実現するためにも,民間バス事業者の道路占用料を減免することは必要だと考えていますがいかがですか。市長のお考えをお聞かせください。 次に消防団について質問いたします。先ほども触れましたが,近年,毎年のように日本各地で台風や集中豪雨による被害が発生していますが,本市においては,今年,昨年,一昨年と台風の接近に伴う水災害が連続して発生し,何度も申し上げますが,一昨年の台風18号では私の地元の伏見区でも大きな被害がありました。そこで,その際に私が消防団員として,実際に活動した実体験を踏まえて質問したいと思います。当時,全国で初めてとなる大雨特別警報が発令され,市内の約12万5,000世帯,約30万4,000人に対し,避難指示,避難勧告が発令され,伏見区でも多くの場所で浸水被害が発生しました。そのことにより活動に当たっていた消防団の無線がふくそうしてしまい,団員がそれぞれ携帯電話で消防団本部と連絡を取り合うなど,災害発生状況や他の消防団の活動状況をリアルタイムに十分把握できない中で対応に当たっていたのが現状です。現在,消防局が3箇年計画で取り組んでいた消防団へのパソコン配備が完了し,市内全ての消防分団と各消防団本部にパソコンの配備とインターネット環境の整備が行われていますが,このパソコンを活用し,災害時に消防団の情報収集及び情報連絡を行えば,各分団が災害の発生状況などを正確に把握し,災害現場活動を円滑に実施できると考えますがいかがですか,お答えください。 あわせて,消防団を取り巻く環境の中で,もう一つの喫緊の課題は,消防団員のなり手不足であります。全国的に見ると,平成2年に100万人を割り込んだ消防団員数は,その後も減少が続き,現在は約86万人となっています。国では,平成25年の消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律の成立を受け,地域防災の中核である消防団の充実強化を推進しているところではありますが,そのためには,何より団員の確保が重要であります。本市では,消防団への加入を促進するために,今年4月から報酬制度が開始され,消防団員には出動手当に加え,新たに報酬が支給されることとなりました。報酬制度のほかにも,大学生などの学生消防団員にとって就職活動のメリットとなり得る京都市学生消防団活動認証制度が創設され,また,新たに消防団自らが地域の高校に出向いて防災教育を行うことによって,消防団に対する理解を促進し関心を高める消防団防災ハイスクールを実施されるなどしています。今後も引き続き,消防団設備,装備等の強化を図るとともに,更なる消防団への加入促進策を講じるなど,考えられるありとあらゆる取組が必要です。更に力強く取組を進められることを要望しておきます。 次に,保育園,認定こども園,小規模保育事業などの保育者不足と保育利用調整に係るポイント制に関する質問をいたします。待機児童対策については,保育所施設整備などのハード面での量的拡大だけではなく,現場で保育を支える保育者,すなわち保育士のみならず保育に関わる全ての職員の確保が大変重要であります。全国的に保育士不足が問題となっており,保育士の確保に苦労されている保育園が多数あると言われている中,京都市においても例外ではありません。京都市では,保育園の新設や定員増により,過去最高となる児童の受入れ枠を確保し,また,定員外入所の負担をお願いした結果,昨年度に引き続き,平成27年度当初における待機児童ゼロを達成したところであります。その反面,そのことからより多くの保育者が必要となっていることは大きな課題であります。市内の民間保育園からは,求人を出しても採用になかなかつながらず,必要人員を確保するのが大変困難であるという多くの声を聞いています。大学のまちである京都においては,養成校が数多く所在しているという利点を有しております。京都で学び資格を取得した学生が,本市に定住し,資格をいかして京都の地で京都の子供たちの健やかな育ちのために貢献してくれることを願っています。 こうした状況の下,京都市では平成26年4月に京都市保育人材サポートセンターを設置し,人材確保の取組が進められているところではありますが,保育園からの求人は267件ある中,就労希望保育士などの登録は109人であり,結果71人が就職されたと聞いております。この取組と結果について,どのように分析されていますか。その効果と今後の方策についてお聞かせください。 また,あわせて,他都市が取り組んでおられるような国の保育士確保プランをいかした,かつてのポイント部がなかったプール制をはじめとする独自の職員処遇改善策を行ってこられた本市ならではの新たな保育者確保策を講じるべきであると考えますがいかがですか,お考えください。 また,本年4月から子ども・子育て支援新制度が始まり,保育利用の優先度判定基準について,より客観性と透明性を担保するために,これまでのAからFまでの6段階方式に替えて,ポイント制が導入されました。このポイント制の導入により,保育の必要性が高い児童がより適切に評価されるようになったことはよかったのですが,反面,姉妹兄弟が別々の保育園に入園せざるを得ないという声を耳にすることが多くなりました。ポイント制では,保護者の就業時間や職場への距離などによって,5点刻みで基本指数を設けておられ,姉妹兄弟が既に入園している同一園に申し込む場合は,2点加算することとなっています。しかし,2点加算では5点刻みの保育指数の差を埋めることは困難であり,結果として姉妹兄弟が別々の保育園に通わざるを得ないケースが増加したものと思われます。また,現在,やむを得ず別々の園に入園しているが,同じ園に通えるよう転園を申し込んでも,転居や転職を理由とした転園以外は5点減点されるため,一旦入園すると姉妹兄弟が同じ園に通うのは難しくなっています。姉妹兄弟であることのみをもって,より保育の必要性の高い児童より優先されることには問題があるとは思いますが,別々の保育園に通うというのは,保護者にとって負担が大きいのも事実であります。姉妹兄弟の同一園入園措置については,ポイントの調整指数の改善を検討すべきだと考えますがいかがですか,市長のお考えをお聞かせください。 最後に,メディアをいかした観光振興についてお伺いいたします。伏見稲荷大社は,世界最大の旅行口コミサイトであるトリップアドバイザーの外国人に人気の日本の観光スポットのランキングにおいて,2年連続で1位に選ばれ,最近,非常に多くの外国人観光客が訪れています。また,京都観光総合調査における外国人観光客の訪問地トップ25において,平成24年には8位だった順位が,平成26年には4位に躍進するなど,京都における観光スポットとしての存在感がますます高まっています。伏見稲荷大社がこれほど外国人観光客に人気となっている理由は,その印象的な外観と共に,ハリウッド映画のロケ地になったことを海外メディアが世界に向けて繰り返し情報発信してきた点が大きいと思います。その結果,大勢の外国人観光客が来訪されたことを考えると,まずは,いかにメディアに取り上げられるかが重要であります。このように一つの観光スポットが京都を訪れるきっかけとなり,京都市全体の外国人観光客増加にも貢献します。私の地元の伏見中心市街地区にも酒蔵など時代劇のロケに多く使われているものの,まだまだ広く知られていないすばらしい観光地があります。そうした場所への誘客にも,メディアを積極的に活用した取組が効果的であると考えますがいかがですか,御所見をお聞かせください。 以上,私の初めての代表質問とさせていただきます。聞きづらいところもあったと思いますが,御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(津田大三) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) みちはた弘之議員の御質問にお答えいたします。 まず,雨に強いまちづくりと浸水対策についてでございます。本市では,これまでから,浸水被害を最小限にとどめるため,河川改修と下水道の雨水幹線の整備を二つの大きな柱として浸水対策事業を推進し,被害を大きく減少させてまいりました。しかし,ここ数年,局地的豪雨等の増加により市民の命と暮らしを脅かす浸水被害が発生しております。こうした浸水被害の効果的な防止のため,平成25年度に策定した普通河川整備プログラムに基づき,3河川の改修を完成させるなど本市の管理する340の河川において河川改修やしゅんせつ等の維持管理に最大限の努力を行っております。また,国や府に対しましても,それぞれが管理する河川の適切な維持管理や改修の要望を重ねており,国において桂川緊急治水対策事業が始まるなど前進を見ておりますが,引き続き強く要望してまいります。 一方,下水道事業における雨水幹線の整備等につきましては,これまでに,総事業費約1,400億円を掛け,総貯留量40万トン,25メートルプールにして1,000個分を超える整備を進めてきたところであり,今年度からは,伏見区における伏見第3導水きょのほか,祇園地域,山科北部地域においても雨水幹線等の整備に着手いたします。さらに,平成30年度からの上下水道事業の経営ビジョンには,新たな基幹幹線の整備等により雨水の貯留量をより一層確保するなど,浸水被害の更なる軽減を図る施策を盛り込むこととしております。今後とも,本年に策定しました「雨に強いまちづくり」推進行動計画に基づき,関係局区が一丸となり総合的な浸水対策を強力に推進し,50年,100年先の未来においても市民の命と暮らしを守る雨に強いまちづくりの実現に全力を傾注してまいります。 次に,地下鉄の駅ナカビジネスの今後の展開についてでございます。駅ナカビジネスは,地下鉄のお客様の利便性向上と駅における新たなにぎわいの創出,併せて増収につながる極めて効果的な事業であるため,私は市長就任以来,一般会計からの支援も行い,スピード感を持って推進してまいりました。この間,交通局職員等の努力により,執務室の転用など開発スペースを生み出すとともに,4箇所のコトチカをはじめ多彩な店舗展開を図り,市民の皆様に積極的な御利用を頂いております。その結果,平成19年度には年間5,600万円であった駅ナカビジネスの収入が,昨年度決算では8億円となりました。今後,京都駅のコトチカ京都の増床やコトチカ北大路の新設など,平成30年度までに年間収入10億円の目標が達成するよう,引き続きしっかりと取り組んでまいります。みちはた議員御指摘の竹田駅をはじめとした周辺の駅における事業展開につきましては,これまでから,自動販売機やキャッシュコーナーの設置,小規模店舗の整備などに努めてきたところでありますが,今後もスペースの確保,店舗の採算性,お客様のニーズなどの側面から31の全ての駅を再度総点検し,竹田駅をはじめとした駅の特性をいかしたあらゆる可能性について検討し,より一層の事業展開を深め広めてまいります。 次に,民間バス事業者の道路占用料についてでございます。民間バスの路線は,市バスと共に,市民の皆様や京都を訪れる観光客の足として欠かせないものであり,とりわけ,高齢者や障害のある方など,いわゆる交通弱者と言われる方々の移動手段として重要な役割を果たしており,本市が目指す人と公共交通優先の歩くまち・京都の実現に大きな貢献をしていただいています。自民党京都市会議員団の先生方からは,かねてより民間バス停留所の標識及び上屋の道路占用料の負担軽減についての御意見を頂いており,また,先日,民間バス事業者の団体である一般社団法人京都府バス協会様からも同様の御要望を承りました。こうした御要望を真摯に受け止め,ノンステップバス車両の導入等の交通バリアフリー対策や停留所のバス待ち環境の向上など民間バス事業者において安全で快適な公共交通機関としての役割を一層果たしていただけるよう,現在道路占用料の減免について具体的な検討を進めており,平成28年度から実施してまいります。 次に,保育所の利用におけるポイント制についてでございます。本年4月の子ども・子育て支援新制度の開始に伴い,保育園等への入所に当たって,一人一人のニーズを踏まえ必要性が高い児童から順に希望する保育所に入所できるよう,利用者ごとに保育の必要性を指数で表すポイント制を導入いたしました。このポイント制の導入により,入所の優先度の判断基準が分かりやすくなったとの高い評価も頂いております。その一方で,初年度ということもあり,兄弟姉妹が同一園に入所できるよう配慮したポイント制について,みちはた議員御指摘のとおり十分ではなかったと受け止めております。今後適切に見直していく必要があると考えております。このため,兄弟姉妹の保育園等への入所に当たっては,保護者の声や保育関係者から頂いた御意見をしっかりと踏まえまして,より同一園に入所していただきやすくなるよう現在具体的に検討しており,来年4月の利用申込み分からポイントの改善をしっかりと図ってまいります。今後とも,市民の皆様の保育ニーズに応え,安心して子供を産み育てていただける子育て環境日本一の京都の実現を目指して全力を尽くしてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(津田大三) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) 私からは,保育士の確保についてでございます。京都が誇る全国でもトップクラスの保育環境を守り,更なる質の向上を図ってまいりますためには,みちはた議員御指摘のとおり,優れた保育人材の確保が大変重要であると認識しております。そのため,議員御紹介の京都市保育人材サポートセンターにおきまして,いわゆる潜在保育士など求職者と保育園の双方のニーズを踏まえた勤務条件の調整やあっせんなどをきめ細かく行い,就職に結び付くよう取り組んでおります。また,主に新卒者を対象といたしました取組として保育園就職フェアを開催し,今年度は保育園等への就職希望者,延べ500人以上の参加があったほか,再就職や就業の継続を支援する研修の実施など国の保育士確保プランを踏まえ様々な取組を行っております。今後ハローワークとも連携した就職面接会の充実等にも取り組んでまいります。さらに,本市独自に,国基準を上回る職員配置と民間保育園等職員の処遇改善を図っており,本市の保育士の平均年収は全国平均の約1.4倍となっていること等を積極的に周知するとともに,保育士養成校との連携を深めるなど優れた保育士を確保する取組を一層進めることにより保育の質の更なる向上に努めてまいります。私からは以上でございます。 ○議長(津田大三) 糟谷観光政策監。 〔糟谷観光政策監登壇〕 ◎観光政策監(糟谷範子) メディアをいかした観光振興についてでございます。テレビ,雑誌,WEB等のメディアを通じた情報発信は,ツイッターやフェイスブック等を通じて広く拡散されるなど,高い情報伝達効果があり,みちはた議員御指摘のとおり,観光客を呼び込む有力な手段であると考えており,これまでから,国際線機内でのCM上映や,世界的な旅行口コミサイトとの連携等に取り組んでまいりました。また,京都市メディア支援センターでは,海外メディアの取材支援や写真の提供等を行い,平成26年度に支援した海外メディアによる京都情報の発信が,広告換算額で約9億円に上るなど大きな成果を上げているところでございます。そして取材支援を行う際には,例えば伏見稲荷大社の取材を希望されるメディアに対し,併せて伏見の酒蔵や商店街を御提案するなど,点から面へ,さらには観光から伝統産業や地域の活性化へとつながるよう心掛けております。また,この春放送された京都が舞台のテレビドラマでは,八大神社,首塚大明神をはじめ,これまで取り上げられる機会の少なかったスポットを多数登場させることができました。今後とも,メディアを効果的に活用し,奥深い多様な京都の魅力を発信することで,外国人をはじめとする観光客の誘致,さらには市内各地域の活性化につなげてまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 杉本消防局長。 〔杉本消防局長登壇〕 ◎消防局長(杉本栄一) パソコンを活用した消防団の情報収集及び情報連絡についてでございます。市内全ての11消防団本部及び205分団へ配備したパソコンは,現在,インターネットを通じたXレイン雨量情報などの気象情報や河川の水位情報の収集等に活用していただいているほか,本年9月から消防団事務を電子化し,業務の効率化を図ったところでございます。今後は,みちはた議員御指摘のとおり,情報収集や情報共有などの機能を十分発揮できるよう,リアルタイムに各分団の活動状況や現場写真の共有が可能な電子会議室の機能を用いるなど,消防団の意見を取り入れながら災害時における一層のパソコン活用を図ってまいります。さらに,消防団員に対するパソコン活用に係る教育研修を充実させ,市内全ての消防団で情報収集及び情報連絡に特化した訓練を実施するなど,消防団が災害時に迅速かつ正確な状況把握を実施できるよう努めてまいります。 ○議長(津田大三) 次に,市政一般について,井坂博文議員に発言を許します。井坂議員。 〔井坂博文議員登壇(拍手)〕 ◆(井坂博文議員) 日本共産党京都市会議員団を代表して質問いたします。北区選出の井坂博文です。 まず,市長の政治姿勢に関してお聞きします。安倍政権が,9月19日,安保法制,いわゆる戦争法の採決を強行いたしました。私は,空前の規模で広がった国民運動と,6割を超える今国会での成立に反対するという国民の世論に背いて憲法違反の戦争法を強行した安倍政権に満身の怒りを込めて抗議するものであります。同時に戦いを通じて希望も見えています。戦争法案の廃案を求めて国民一人一人が主権者として自覚的に声を上げて行動に立ち上がるという,かつてない新しい国民運動が広がっています。とりわけ,若者たちや若いママの行動が大きな希望を与えています。また,国民の声と運動に応えて,野党5党が結束して法案成立阻止のための1点で共同して戦ったことも意義ある大きな成果でした。私も議員になって初めて民主党の議員や元議員の皆さんと集会に参加をして,デモ行進を一緒に歩きました。この戦いは,採決強行,法案成立によって終わるものではありません。戦争法は,日本国憲法に真っ向から背く違憲立法です。成立したからといって,この戦争法の存続を許すならば,立憲主義,民主主義,法の支配という我が国の存立の土台が覆されてしまいます。学生も若いママも,学者や大学人も,運動の目標を戦争法廃止に変えて新たな戦いを始めています。この京都でも19日に高校生らが呼び掛けて700人が集会とデモに参加し,24日にはこの市役所前に600人が集まり,緊急集会とデモが行われています。 日本共産党は,採決強行の直後に会議を開いて,憲法違反の戦争法を廃止し,日本の政治に立憲主義を取り戻すために野党はまとまってほしいとの強い国民の願いに応えて,一つ,戦争法廃止,集団的自衛権行使を容認した閣議決定の撤回,安倍政権の打倒の戦いを更に発展させること,二つ,そのために戦争法廃止で一致する政党,団体,個人が共同して国民連合政府を作ること,三つ,国民連合政府で一致する野党が,国政選挙で選挙協力を行うことを呼び掛けました。今こそ,平和主義,立憲主義,民主主義を貫く新しい政治を作るために力を合わせようではありませんか。 さて,全国では,住民の命を守る立場から,100を超える自治体の首長が安保法制案反対,もしくは慎重審議を求める意見を表明し,多くの議会が反対の決議や意見書を採択しました。京都でも,京大,立命,同志社など10大学で戦争法案に反対する大学人有志の会が立ち上げられました。ところが門川市長は,これまでの本会議での戦争法案に対する質問に対して自ら答弁にも立たず,だんまりを決め込んできています。その一方で市長は,荒巻禎一氏,千玄室氏らが呼び掛けて7月に行われた改憲を目指す,美しい日本の憲法をつくる京都府民の会設立総会に激励の祝電を送っているではありませんか。 そこで市長にお聞きをします。一つ,ほとんどの憲法学者,歴代の元内閣法制局長官,元最高裁長官などが違憲であると表明して反対している戦争法は立憲主義に反するとの認識がありますか。二つ,成立直後の世論調査でも80パーセントが説明不足,50パーセント以上が反対している法案の採決を強行したことを是としますか。三つ,政治家として自らの意見を表明すべきと思いませんか。お答えください。 さて今年は戦後70年,広島,長崎に原爆が投下されて被爆70年の節目の年であります。戦後70年に当たって8月14日に発表された安倍首相の談話では,「日本が国策を誤り,植民地支配と侵略を行った」という戦後50年の村山談話に示された歴史認識が全く語られず,一般論として人ごとのように植民地支配と侵略に触れただけでありました。日本が誤った戦争を起こしたという歴史認識を持たないから,「戦争に関わりのない世代に謝罪の宿命を背負わせてはならない」という開き直りの言葉が出てくるのではありませんか。また,反省とおわびも過去の歴代政権が表明したという事実に言及しただけで,首相自らの言葉として語らないという欺瞞に満ちたものでありました。一方,ドイツのメルケル首相がナチスからの解放70周年に当たって,国民に歴史と向き合うよう呼び掛けて,「歴史に終止符はない。我々ドイツ人は,特にナチス時代に行われたことを知り,注意深く敏感に対応する責任がある」と訴えた姿勢と大違いではありませんか。そこで,戦後70年に当たって,政治家としての市長の歴史認識を伺います。あの戦争が正しい戦争だったのか,誤った戦争だったのか,どう認識していますか,お答えください。 さて,私は被爆2世です。被爆者の父は,今年1月に亡くなりました。亡くなる前,孫に向かい「あげなむごい戦争はやっちゃーいけん」と語った言葉を胸に,被爆70年の今年,長崎市で開かれた原水爆禁止世界大会に参加しました。被爆者は,今年で平均年齢80歳を超えています。被爆者の生々しい被爆体験と核兵器廃絶の思い,戦争につながる安保関連法案を許さない,心からの訴えを聞きました。 広島,長崎での平和式典で広島市長と長崎市長による平和宣言が行われました。広島市長は,「核兵器は非人道性の極み,絶対悪であり,核兵器の廃絶を目指す」と明確に述べました。長崎市長は,「日本国憲法における平和の理念は,つらく厳しい経験と戦争の反省の中から生まれ,戦後,我が国は平和国家としての道を歩んできた。戦争をしないという平和の理念は永久に変えてはならない原点である」と語り,「70年前に心に刻んだ誓いが,日本国憲法の平和の理念が,今揺らいでいるのではないかという不安と懸念の声が広がっている。政府と国会はこの不安と懸念の声に耳を傾けるべきである」と述べています。広島,長崎の両市長による平和宣言を聞いて,市長はどのように感じましたか。自らの言葉で憲法の平和理念の堅持と非人道的な核兵器廃絶の決意を示してください。 次に,原発の再稼働と安全対策に関してお聞きします。多くの国民の不安を顧みず,8月11日,九州電力が川内原発1号機の原子炉を起動させ,約700日ぶりに原発が再び動き出しました。政府は,新規制基準に適合した原発の再稼働を進めると言いますが,規制委員会の新規制基準は,アメリカ,ヨーロッパの基準よりも劣り,世界で最も厳しい基準とする政府の主張に対しても,規制委員会の田中委員長は,「それは,政治的というか,言葉の問題なので具体的ではない」と否定しているではありませんか。また田中委員長は,「この基準に適合しても安全とは言えない,適合イコール事故ゼロではない」と明言しています。正に新規制基準は,再稼働のための抜け道づくり,安全神話の復活そのものでありませんか。 市長にお聞きします。福島原発事故も収束せず,事故原因の解明もされないまま,再稼働を容認する新規制基準が安全の根拠になると本気で考えますか。それとも最悪の安全神話の復活と認識しますか。いかがですか,お答えください。 市長は,「川内原発再稼働決定に際して,再稼働する場合には新規制基準を厳格に適用し,安全性を保障できるのか,分かりやすく説明する必要がある」とコメントし,事実上再稼働を容認する立場を表明されました。それでは,新規制基準を厳格に適用すれば安全性は保障できるのでしょうか。原子力規制委員会が今年4月22日に全部改正した原子力災害対策指針では,一つ,SPEEDIの活用の中止,二つ,予測ではなくモニタリングによる実測主義,三つ,PPAとして事前の防護措置を要するUPZ圏外,いわゆる30キロ以上の地域指定を検討することの削除など住民の安全対策をおざなりにする改悪が行われました。市長は,この3点について現状からの後退であり,改悪であるとの認識がありますか,お答えください。 30キロ圏外の住民には,モニタリングによる実測で放射能汚染が確認されるまでは行政は対応せず,自己責任で対応せよという住民の安全と生命を二の次にするものではありませんか。しかも甲状腺被曝を予防するヨウ素剤の事前配布も効果がないとして実施しないことにしています。福島原発事故で原発から50キロ以上離れた飯館村に放射能プルームが到達し,深刻な被害を生み出した経験と教訓は何らいかされていないではありませんか。高浜原発から50キロといえば,京都市の大半が入るではありませんか。市長が,規制委員会のこんな新基準にしがみつき安全性を標榜することは,地方自治体の第一義的役割である住民の福祉の増進を図る責務の放棄ではありませんか。 関西電力は,高浜原発3,4号機を今年11月にも再稼働するとしていますが,高浜原発は今年4月の福井地裁判決で再稼働差止めの仮処分命令が決定されております。また昨年5月の大飯原発運転差止め訴訟では,「原発停止で多額の貿易赤字が出るとしても,豊かな国土に国民が根を下ろして生活していることが国富であり,これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失である」と画期的な差止め判決が出されています。市長は,福井地裁におけるこの二つの判決をどう受け止めましたか。脱原発依存というのであれば,でたらめな再稼働に反対するのが筋ではありませんか。いかがですか。 以上,市長の政治姿勢について質問いたします。したがって,ここまでの市長の答弁をお願いいたします。 ○議長(津田大三) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 井坂博文議員の御質問にお答えします。 平和への認識についてでございます。かつて,日本は進むべき針路を誤り,先の大戦への道を進んでいきました。そして,広島や長崎への原爆投下をはじめとする多くの戦禍により,尊い命が多く失われました。戦争と核兵器の悲惨さを決して風化させることなく,その尊い犠牲の上にある現在の平和をしっかりと未来につなぐことが,今を生きる私たちの大きな使命であります。こうした思いの下,私は,市長就任直後に広島市長からの呼び掛けに応じまして,直ちに,核兵器廃絶を目指す平和首長会議へ加盟するとともに,私自身も,他の政令指定都市へ積極的に働き掛け,現在では,全ての政令指定都市の市長が加盟されるに至っております。本年戦後70年を迎え,8月には,広島,長崎両市長の平和宣言をお聞きし,非人道的な核兵器が大きな悲しみと苦しみをもたらしたことを改めて胸に刻むとともに,二度と戦争の惨禍を繰り返してはならないとの思いを一層強くしたところであります。日本国憲法における平和の理念は変わらない人類普遍の願いであります。全世界の人々が人種,宗教,社会体制の相違を超えて,平和のうちに,自由に集い,自由な文化交流を行う世界文化自由都市を理念として掲げる京都市の市長として,引き続き,市民の皆様と共に,世界恒久平和の実現に向けて,不断の努力を続けてまいる決意でございます。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(津田大三) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 安全保障法制についてでございます。平和安全法制関連2法の成立は,我が国を取り巻く安全保障環境の変化を考慮し,我が国の平和と安全を維持し,国民の命と暮らしを守るとともに,国際社会の平和と安定への貢献について,国権の最高機関である国会において議論し,結論を出されたものであると認識しております。こうした平和安全法制につきましては,憲法との関係を含めまして,国家,国民の基本に関わる事項として,国民全体の理解を深めていくことが何よりも大切なことであります。そのため,国におきましては,世論の状況も踏まえたうえで,本法制について,引き続き国民への十分な説明を果たしていただく必要があるものと考えております。以上であります。 ○議長(津田大三) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) 原発の再稼働と安全対策についてでございます。本市は,平成24年の市会決議を重く受け止め,原発のできる限り早期の全廃に向けたエネルギー政策の抜本的な転換を国に求め,中長期的には脱原発依存を強く主張し続けております。そのうえで,原発に依存しない電力供給体制が構築されるまでの間,やむを得ず原発を再稼働する場合には,その必要性を明らかにし,世界最高水準とされる新規制基準を厳格に適用して万全の安全性を確保するとともに,基準に適合した原発はどの程度の安全が保証できるのか,分かりやすく地域住民に説明し理解を得るよう国に求めております。また,御指摘の原子力災害対策指針の改正内容は,福島第一原発事故の教訓やIAEA(国際原子力機関)の安全基準を踏まえたものと承知しておりますが,UPZ外の防護対策をより確実なものとするための緊急時モニタリング体制の整備などについて,関西広域連合として国に対して申入れを行っております。なお,高浜原発及び大飯原発に関する判決等につきましては,控訴審等で引き続き審理が行われておりますことや,他の裁判では異なる判断が下されていることから,今後の推移を注意深く見守ってまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 井坂議員。 〔井坂博文議員登壇〕 ◆(井坂博文議員) 市長の答弁の中で,核兵器について非人道的兵器であると認め,二度と戦争の惨禍を繰り返してならないとの発言,答弁については,重く受け止めたいと思います。しかし,またもや市長の口から戦争法に対する認識が答弁をされなかったことは,誠に残念であり問題であります。立憲主義に対しても態度を表明されておりません。このことは,国民が抱いている戦争法反対,憲法違反,立憲主義を踏みにじるものとの認識に市長は立たずに,現状を黙認しているものと言わざるを得ません。また,副市長は,答弁でありました,「戦争法は国の問題,国会で議論され議決されるもの」で済まされるものではありません。戦争には,国も自治体の境や区別もありません。この問題に正面から向き合わなければ住民の命も安全も守ることができない,このことを強く指摘をしておきます。 続いて,関電の電力料金値上げに関して伺います。本日から家庭用電気料金を平均8.36パーセント値上げして,標準家庭で1箇月当たり約8,500円となり,全国で最も高い料金となりました。さて,この値上げに必要性と合理性はあるのでしょうか。料金値上げは,市民生活と京都経済に重大な影響を及ぼします。6歳の息子と暮らすあるシングルマザーは,「月収約13万円。自宅で冷暖房を使わないように,休日は子供とショッピングセンターや図書館に出かけて過ごしている。増税や物価の上昇もあって貯金もできない。数百円であっても電気代の値上げ分はつらい」と語り,従業員5人で溶接業を営む男性は,「溶接の仕事は電気を使うので大幅に節電はできない。値上げは死活問題だ。他に方法はないのか」と怒りの声を上げています。 関電は料金値上げの理由として,原発が稼働していないことによる火力発電の燃料費コストを挙げていますが,原油価格は昨年後半から半分以下に下落しています。何より原発依存の経営体質に問題があります。関電は原発依存率が51パーセントで電力9社の中で断トツのトップです。その結果,火力発電の経営コストを下げる努力を怠ってきました。また関電の経営陣は2年前の値上げの際に役員報酬1,800万円を維持し続け,今回200万円減額するものの,経営陣の失敗を市民に押し付けながら1,600万円の役員報酬は高すぎます。さらに関電は,稼働していない原発プラントの維持,管理のために,2014年度2,988億円も使い,さらに稼働していない日本原電にも契約に基づき,電力を購入もしていないのに年間300億円も支払っています。これで原発を稼働させれば,更に燃料費や使用済み核燃料の再処理費用が掛かり,老朽原発の延命のための安全対策費用も高額となり,核のごみの最終処分や廃炉に掛かる費用,万が一の事故対策費用も不透明であります。結局,原発が安定して安価というのは,電力会社の作り出した,それこそ神話ではありませんか。関電のいう原発を再稼働すれば電気料金の値下げができるとのキャンペーンは原発維持経費などの負担を隠ぺいした説明であり,市民を欺くものであります。原発に依存し再稼働を行えば値下げどころか,更なる電気料金値上げの悪循環を作り出すだけではありませんか。 中小企業の営業と市民生活を守るために,関電に理不尽な値上げの中止を求めること,また原発維持経費負担などの隠ぺいをやめて,経営の現状を正確に市民に伝えるよう求めていただきたい。市長の見解を伺います。いかがですか。 次に,市政の運営に関してお聞きします。門川市長は,2007年12月の市長選挙出馬表明記者会見で,「乾いたタオルを絞るような更なる行政改革が必要だ」と言い切って,1期目から国の構造改革路線を積極的に受け入れ,市民負担増の市政運営を進めてきました。さらに2期目になると,2012年3月に持続可能な財政の確立の名の下に「京プラン」実施計画を策定し,社会福祉関係経費250億円の削減,職員約700人の削減など目標と計画を掲げ,その結果を,社会福祉関係経費を4年間合計310億円も削減し,職員数も857人削減して,「目標超過達成した」と言います。また,14年度決算で全会計の連結実質収支が黒字343億円となり,「財政健全化の取組を着実に推進している」と述べますが,その認識でいいのでしょうか。 立命館大学の平岡和久教授と森裕之教授は著書の中で,「自治体財政の目的は住民の幸せであり,それを忘れた財政健全化至上主義であってはならない。財政削減を優先して住民サービスを切り捨てる不名誉な黒字と共に,国による財政削減の下でも住民サービスを維持する名誉な赤字があり得る」と述べ,「住民の生活権より財政健全化を優先するのは本末転倒である。財政健全化で問われなければならないのは,自治であり,公共性であり,民主主義である」と財政健全化至上主義を強く批判されています。 職員削減は行政の公的責任の低下をもたらします,職員の負担が過重になり,本来増やすべき災害対応の職員配置が行われず,2013年の台風18号の際には民間委託していた小栗栖排水機場のポンプが人災により停止し,618件が浸水するという重大な被害が発生しました。消防職員も7年間で182人も削減され,市民の暮らしの安全安心が脅かされています。さらに,2014年11月から市民税,固定資産税賦課業務の集約化として市税事務所を発足させ,区役所から職員を引き上げ,税務相談や災害対応など市民に身近な区役所機能の低下が引き起こされています。2014年9月には,ごみ処理業務の更なる改革としてごみ収集業務の7割を民間委託し,更なる職員削減を図ろうとしています。災害時のごみ収集などに行政の責任が持てなくなり,市民サービスの後退は必至ではありませんか。 さらに,公的事業を民間企業の営利活動に提供してきました。市立病院院内保育所青いとり保育園が民間委託をされ,委託当初は賃金と労働条件が大幅に引き下げられ,さらに今年4月にはこれまで働いてきた職員が一人も残れず,保育の継続や雇用の継続が断たれるという異常な事態が引き起こされています。行政が公的責任を放棄すれば,市民に困難が押し付けられることは明らかではありませんか。「京プラン」実施計画の更なる継続をやめるように強く求めるものであります。 7年間の推移を数字で見れば,門川市政で市民の暮らしと営業は全国最低レベルに落ち込んでいることは明瞭であります。 このパネルを御覧ください。(パネルを示す)非正規雇用者割合は43.7パーセントで政令市ワースト1であります。なのに,雇用創出の担当部長を廃止しています。 (パネルを示す)次に,合計特殊出生率は1.16人,政令市でワースト2であります。なのに,子供の医療費の独自上乗せはありません。 (パネルを示す)次に,事業所減少です。2009年と比べて7,640事業所が減少し,政令市ワースト2の減少率です。そのうえ,4分の3の企業が赤字経営に苦しんでいます。 (パネルを示す)次に,国保料差押えは,今の市政で4倍化,2,341件となっています。 門川市政の7年間で市民の負担増とサービス切捨てを押し付けた結果,市民の暮らしは全国最低クラスになっているこの事実をお認めになりますか。その一方で,門川市政は市民の声に耳を傾けず,市長の強引な市政運営によって,市政に混乱を持ち込んでいます。 具体的に聞きます。第一に,市内高速道路未着工三路線に関して,計画の破綻は明らかであり,きっぱりと廃止を明言すべきではありませんか。 第二に,南部クリーンセンター第二工場に建設予定の展望台とバイオガス化施設の計画です。有料化財源から2.5億円も使って,学習施設になぜ展望台が必要なのか,展望台建設計画は白紙撤回すべきであります。また,家庭からの燃やすごみを対象にした本市のバイオガス化施設です。本来のバイオガス化事業は自然エネルギーの活用策として否定するものではありません。しかしながら,本市が計画するバイオガス化施設は,兵庫県南但クリーンセンターでの施設と共に全国的に2例しかありません。この施設は1年半前から26回のトラブルが発生しています。本市には苦い経験があります。完成しながら,全く使い物にならなかった焼却灰溶融施設を契約解除してメーカーに返却して損害賠償請求の訴訟を起こしているではありませんか。このままではその二の舞になってしまいます。本市のバイオガス化施設はきっぱりと断念するよう求めます。 第三に,四条通の歩道拡幅,片側一車線化が市民生活に及ぼす影響です。2010年に策定した歩くまち・京都総合交通戦略では,四条通のトランジットモール化をシンボルプロジェクトにして,基本方向を歩道の拡幅と共に公共交通優先と自動車の利用制限などを取り組むとしてきました。ところが,実際には一般車両は何ら制限することなく,歩道拡幅の工事に着手をした結果,春の行楽シーズンで大渋滞が発生し,5月市会で市長は,「パークアンドライドの利用促進など自動車流入抑制に取り組む」と答弁しましたが,何ら抜本的解決にはなっていません。本市の歩くまち・京都総合戦略の初心に立ち返り,公共交通優先と自動車流入抑制のための具体的な規制を基本とする総合交通体系の確立を急ぐように求めます。 第四に,世界遺産に登録されている下鴨神社への大型倉庫とマンション建設計画,二条城東側空間整備基本計画における北西側の緑地帯への観光バス第二駐車場計画であります。下鴨神社の大型倉庫建設計画の予定地は,世界遺産のコアゾーンです。市街化調整区域でもあり,大型倉庫建設は認めてはなりません。また,糺の森の一画である地域へのマンション建設も論外です。バッファゾーンであるからといってマンション建設が許されるものではありません。そもそもバッファゾーンは,世界遺産の価値を損なわないように開発が規制される区域となっています。しかも本市は,国に対してバッファゾーンへの法的規制を求めているではありませんか。大型倉庫とマンションの建設計画を絶対に認めてはなりません。市長の決意を伺います。二条城北西側の第二駐車場計画は,東側空間を世界遺産にふさわしい威厳ある姿に生まれ変わらせるために,同じ世界遺産の範囲に指定されている,しかも風致地区に当たる北西側に植えられている松,桜,モミジ,柳,楓など130本の樹木を伐採し,アスファルトに整地し,観光バス20台分の駐車場にしようとするとんでもない計画であります。新聞の投稿でも厳しく批判されています。その中で,今のバス駐車場の北側に隣接する普通駐車場をバス駐車場に変えれば問題は解決するとの提案もされています。先日の住民説明会でも同様の意見が出されています。私もそう思います。住民の合意がない,世界遺産の景観を破壊する第二駐車場整備の計画の白紙撤回を求めますが,いかがですか。 第五に,リニア中央新幹線についてお聞きします。昨年10月にJR東海の工事実施計画の国土交通大臣の認可がおろされましたが,地方自治体や地域住民との矛盾が拡大しています。リニア建設は,一つ,各地でトンネル工事による発生残土処理や水枯れ,出水など自然と生活環境破壊を引き起こし,二つ,過大な需要予測による採算性が懸念され,三つ,省エネ,電力節電を強調しながら大量の電力消費が必要となり,四つ,時間距離の短縮によるストロー現象が発生し東京一極集中が更に加速するなど様々な矛盾と弊害を生み出しかねません。さらにリニア駅建設地の自治体は,周辺開発計画策定のための調査費を計上して,再開発事業,区画整理事業が検討され,既に名古屋駅,品川駅周辺では超高層ビルなど大規模再開発事業が計画されています。関西広域連合は,この東京~大阪間の全線同時開業を掲げ,市長は,リニアを京都へと新駅誘致を主張していますが,この計画そのものが地方自治体と地域住民に様々な矛盾と弊害を生み出すとの認識はありますか。リニア中央新幹線建設計画の中止と見直しを国とJRに求めるべきと考えますがいかがですか。以上で私の質問といたします。(拍手) ○議長(津田大三) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 市民生活への認識についてであります。私は,市長就任以来,徹底した行財政改革の断行によって捻出した財源を活用し,この8年間で社会福祉関連経費を1,792億円から2,489億円,実に約700億円増額するなど市民生活を支えるために全力で取り組んでまいりました。これにより,例えば保育所の新設や増改築等により児童受入枠を大幅に拡大し,2年連続待機児童ゼロを達成しました。保育所等利用者の小学校入学前児童に占める割合は,政令指定都市平均を11ポイントと大幅に上回る全国トップ水準の44.1パーセントに達しております。保育の質も向上させ,さらに,3人目の保育料無償化を実現し,保育料を本市独自に国基準の約64パーセントに軽減するなど更なる充実を図っております。 国民健康保険につきましても,今年度,創設以来初めて,全ての保険料率を引き下げ被保険者の皆様の負担軽減を図っております。中小企業をはじめとした京都経済の活性化については,オール京都体制による金融,経営支援の充実や産学公連携による新産業の創出など中小企業の下支えと成長支援に取り組み,市民一人当たり市民所得の平成24年度の順位は政令市で4位に上昇,府内の有効求人倍率も16箇月連続で1倍を超えるなど,市民所得の向上と雇用の創出を着実に図ってまいりました。こうして京都の魅力が高まり,京都に住みたい,京都で働きたい等の希望が増え,平成23年以降京都市の転出入は転入超過となり,その人数は年々増加しております。このように,市民の命と暮らしを守る取組が大きく前進しており,市民の暮らしは全国最低クラスになっているとの御指摘は全く当を得ないものであります。引き続き,本年度が総仕上げとなる「京プラン」実施計画を着実に推進し,市民の皆様の暮らしを豊かにし,安心安全な生活をしっかりと支えてまいります。 次に,四条通の歩道拡幅についてでございます。京都市では,平成13年に市民参加の下に策定した基本計画に歩いて楽しいまちを掲げ,それ以降徹底して市民参加の議論を重ね,脱クルマ中心社会の実現を目指し,総合的な交通戦略を推進してまいりました。四条通の整備については,まちなかのにぎわいの創出を目的に地元の要望に基づき,地元や関係者の皆様と約8年間にわたる議論を経て,昨年11月に工事着工したものであります。検討の過程で,平成19年に一般車両の流入規制を伴う社会実験を実施したところ,四条通へ流入できない車両が周辺の細街路に流れ込むなど,お住まいの方や事業者に大きな影響が生じました。この結果も踏まえ,議論を尽くし,現在四条通の流入規制ではなく,流入抑制策を中心とした取組を進めているものであります。今年の桜のシーズンには,大幅な渋滞が発生したため,その要因を分析し,四条通での信号制御の見直しや,迂回誘導とバス停車時間の短縮の取組など総合的な施策を一つ一つ実行してきた結果,9月の5連休においてもゴールデンウィークと同様大きな混雑は生じておりません。引き続き,これらの取組をしっかりと進めていくとともに,パークアンドライド駐車場の拡充や,公共交通の利用を促進する広域的な広報の実施などにより,歩くまち・京都総合交通戦略に基づき全市的な自動車流入抑制策をしっかりと進めてまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(津田大三) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 関西電力の電気料金値上げについてでございます。本市では,市会決議を踏まえまして,平成24年度から関西電力に株主提案を行い,安価で安定した電力の供給や経営及び事業に関する最大限の情報開示による透明性の確保,脱原発依存を柱とした経営方針への大改革などを強く求めてきております。とりわけ,わずか2年で2度の大幅な電気料金の値上げは,市民生活や中小企業の経営に重大な影響を及ぼすことから,徹底した経営の効率化による値上げの回避や値上げ幅の抑制,十分な説明責任を果たすことなどを,市長自らが関西電力の幹部に直接要請するとともに,株主総会において意見表明を行うなど,あらゆる機会を捉えて繰り返し申し入れてまいりました。本市といたしましては,引き続き,安価で安定した電力供給や経営の透明性確保を強く求めるとともに,エネルギー政策推進のための戦略に基づきまして,徹底した省エネルギーや再生可能エネルギーの普及拡大に取り組んでまいります。以上であります。 ○議長(津田大三) 小笠原副市長。 〔小笠原副市長登壇〕 ◎副市長(小笠原憲一) 下鴨神社のマンション建設計画及び二条城北西角バス駐車場計画についてでございます。マンションの建設計画に関しましては,京都市美観風致審議会による度重なる審議を経まして,北側の糺の森と一体となる森づくり,かつての神社周辺の町並みをほうふつとさせる景観の創出と併せて,森の中にたたずむ和風集合住宅の整備が行われるものでございます。糺の森に隣接する当該計画地は,これまではゴルフ練習場や駐車場として利用されておりまして,その周囲は手入れの行き届かない,必ずしも世界遺産のバッファゾーンにふさわしくない状態でございましたが,本計画の実施により,世界遺産の下鴨神社の価値を更に向上させ,また,維持できるものとなります。マンションの販売につきましては,住んでいただき,地域の活動をしっかりと行っていただくことが大事であるという市の考えを事業者にお伝えしており,投資目的とならないよう短期の売却を行わないこと,将来にわたって下鴨神社の氏子として継続的な神社の保全活動に奉仕していただくことなどを購入の条件にしていただける予定という風に聞いております。祭礼に用いる道具等を収納する祭事庫につきましては木造平家屋建てとするなど,神社境内地の景観に調和したものであり,必要な手続は終えております。また,二条城東大手門を中心とする正面玄関の整備は,世界遺産二条城にふさわしい景観を創出するとともに,来城者,歩行者等の安全性を高めるために行うものであり,これに伴う北西角へのバス駐車場の設置は規模の縮小も視野に入れつつ検討を進め,地域の皆様にも丁寧に説明してまいります。 リニア中央新幹線についてでございます。新幹線を含む高速鉄道網は,都市間の交流や交易を拡大させ,経済活動だけでなく,国民生活の向上を支える大切な社会基盤でございます。とりわけ,リニア中央新幹線は,三大都市圏を約1時間で結ぶ新たな国土軸を形成するものであり,京都はもとより,国土の均衡ある発展にとって極めて重要なプロジェクトでございます。整備に係る採算性や消費電力などにつきましては,国の交通政策審議会において議論したうえで整備の妥当性について判断がなされており,また工事の認可の際には,環境保全について十分な配慮が必要であるとの認識の下,国土交通大臣がJR東海に対し発生土や水環境等について具体的な措置を講じるよう求められておられます。リニア中央新幹線の整備は,全線同時開業しなければ,東京一極集中を更に加速させることになります。また,ルートについてもリニアを前提とした法に基づく検証が必要でございます。このため,引き続き国に対して大阪までの全線同時開業を求めるとともに,関西国際空港への延伸,そして京都駅ルートの実現を粘り強く訴えてまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 足立環境政策局長。 〔足立環境政策局長登壇〕 ◎環境政策局長(足立裕一) 南部クリーンセンター第二工場の建替えについてお答えします。本クリーンセンターにつきましては,環境学習施設を併設した市民の皆様に親しまれる施設として整備を進めております。環境学習施設の一部として煙突に併設する展望台は,京都ならではのすばらしい自然景観を一望できることから,将来にわたり親子連れなどより多くの方々にクリーンセンターにお越しいただくことにより,ごみ処理の仕組みや技術等をはじめとする環境学習の機会,ひいてはごみ減量等の具体的な行動につなげていただくきっかけとなるものであり,また,クリーンセンターのイメージを一新するものであります。 次に,生ごみ等から再生可能エネルギーを作り出し発電を行うバイオガス化施設は,エネルギー回収の最大化と温室効果ガスの削減を実現できるもので,技術的にも確立されており,既に全国で20を超える施設が稼働しております。御指摘の事案である南但クリーンセンターにつきましても,現地調査の結果,バイオガス化施設本体のトラブルではなく,前処理設備でごみが絡み付くなどの軽微な不具合いがほとんどで,既にトラブルは解消されており,操業には問題ないことを確認しております。今後とも,平成31年度の稼働を目指し,着実に整備を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 藤原建設局長。 〔藤原建設局長登壇〕 ◎建設局長(藤原正行) 京都高速道路についてでございます。京都高速道路の未着工3路線につきましては,その廃止も含めた抜本的な見直しを進めておりますが,都市計画法の手続を経て決定された都市施設でもございますことから,学識経験者や関係機関で構成する京都市京都高速道路検証専門委員会におきまして,掘り下げた御議論を頂いているところでございます。この委員会では,京都高速道路3路線の整備により一定の効果はあるものの,その効果は限定的であるとの意見が出されております。また,一方で,京都高速道路3路線を廃止した場合,堀川通がJR東海道本線と交差する部分におきまして,6車線が4車線と狭くなっており,日常的に交通渋滞が発生しておりますため,何らかの有効な対策が必要であるなど幾つかの課題につきましての御指摘も頂いております。このため,現在,これらの課題の解決策を国などの関係機関と協議をしながら検討を進めているところでございまして,今後,その結果を持って委員会の御意見を頂きながら,結論を見出してまいりたいと考えております。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(津田大三) 暫時休憩いたします。午後3時6分に再開いたします。 〔午後2時45分休憩〕 〔午後3時6分再開〕 ○議長(津田大三) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(津田大三) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,樋口英明議員に発言を許します。樋口議員。 〔樋口英明議員登壇(拍手)〕 ◆(樋口英明議員) 左京区選出の樋口英明です。日本共産党市会議員団を代表して質問いたします。 初めに,国の地方創生戦略と京都市政との関わりについてお聞きします。歴代自民党政権は,大企業の経済成長を最優先で農林漁業や中小企業,地方経済を衰退させるとともに,庶民増税と社会保障の削減,非正規雇用の拡大などで国民生活の困難と人口減少に拍車を掛けてきました。安倍政権は,これまでの政治を見直すことなく,消費税増税と社会保障削減を中心とした財政再建,そして法人税減税の加速など,大企業の経済成長最優先の戦略を一層推進してきています。これを地方で進めるのが地方創生戦略です。その特徴は,公共施設などの集約化や,拠点都市,コンパクトシティへの集約化,企業拠点の誘致競争など選択と集中,特定企業の成長を進めることが中心となっています。国の路線と同じ方向で打ち出されているのが,本市における京都創生総合戦略やエコ・コンパクトな都市構造などの路線です。これらの特徴点について,3点にわたってお聞きします。 1点目は,京都駅周辺の規制緩和による呼び込み型の拠点開発の構想についてです。(パネルを示す)本市は,京都駅南側の12ヘクタールだった都市再生緊急整備地域を,この2年間で,駅北側,梅小路公園,中央卸売市場,リサーチパーク周辺まで含む162ヘクタールへと,この赤い地域から赤い斜線の地域まで13.5倍の面積に拡大しました。都市再生緊急整備地域では,特別な金融支援や税制特例が受けられるだけでなく,既存の都市計画上の様々な規制をなくし,その地域に進出しようという大手企業が,高さ規制や容積率や用途地区などを自由に提案できるようになります。本来,都市計画というまちづくりの根本に関わる部分は,そこに住む住民の願いを実現するために公の責任で提案するべきものです。住民の関与を強める改善であれば話は分かりますが,それとは逆に,利益を追求する大手企業が都市計画の提案をできるようにしたこと,しかもその地域をこれだけの規模で拡大させたことは,本市がまちづくりの根本部分を大企業の手に委ねる大転換を行ったということにほかなりません。これは自治体の在り方の変質とも言うべきものです。 京都駅周辺には,既にデパートや大型家電量販店,大型ショッピングモールなどが進出していますが,京都経済は一向に回復していません。それどころか,地元商店や中小業者はかえって厳しさを増しています。この事実を見るならば,大手資本呼込み型の拠点開発では,地域経済が再生しないことは明らかです。今回の拠点開発構想は,自治体の在り方を変質させるものであり,破綻済みの呼込み型開発を一層大規模に進めるものと考えますがいかがですか。さらに,高さ規制の緩和についても企業から提案することが可能となりますから,新景観政策を投げ捨てることになると思いますがいかがですか。お答えください。 2点目は,学校跡地活用の問題です。こちらも企業呼込みのために方針を大転換してきています。本市は,1990年代から急速に学校統廃合を進め,この間に小中学校数が51も減らされていますが,今後も更に統廃合を進める方針です。番組小学校は,京都の町衆の寄付で造られた地域の財産であり,市民が誇りにしてきた学校ですが,2年後にはわずか4校だけになるという事態となっています。住民の自治活動や地域コミュニティ,防災活動の拠点として重要な役割を果たしてきた小学校は,跡地になっても同様の役割を果たしてきており,敷地内には消防分団の詰所,自治会館などが設置され,災害時の避難所にもなっています。さらに,区民運動会や夏祭り,その他の様々な行事や会合が学校跡地においても行われています。 京都市は,従来,学校跡地利用に当たっては,地域住民の意見を尊重すること,活用は原則市の事業とし,営利目的の活用はしないこととしてきました。ところが,2011年に民間事業についても対象とするという方針を決めて以降,資産有効活用基本方針,学校跡地活用に係る事業者登録制度などを作り,学校跡地を最大で60年貸与する,活用方法も民間事業者から募集するという仕組みを採用しました。既に東山区の元清水小学校跡地は,ホテル又はブライダル事業で活用する方針を決め,民間事業者の選定作業に入っています。これらの方針は,学校という住民の自治活動及び防災の拠点を大型商業施設やホテルなど民間事業者のもうけの場所へと変質させる大転換だという認識及び住民の自治活動を支援するという行政本来の在り方を投げ捨てるものだという認識が市長にありますか。お答えください。 3点目は,地域の再生の問題です。京都創生総合戦略では,この区,この地域でずっと暮らしたい,学びたい,働きたい,子供を産み育てたいという思いが,全ての区,地域で高まることを目指すまちづくりを進めますと書かれていますが,この方針とは全く違うことが行われようとしています。まず,国がどのように考えているかというと,内閣参事官が,「地方創生では,地域は補助金に頼らず自立を目指す必要がある,自分で外から資金調達をできる地域をつくること」と述べています。お金は出さない,自分たちで調達できる範囲で勝手にやってくれと言わんばかりの話であります。これでは,市内周辺部や山間地の集落の多くが成り立たなくなってしまいます。本市でも,国の方針に沿って,居住の集約について検討していくという方針を示していることは,住み続けられる地域づくりと逆行するものであり,断じて許すことはできません。 私の地元左京区北部山間地域の皆さんは,住み続けられる地域づくりに向けて様々な努力を重ねてきています。2003年に別所,花脊,広河原,久多,百井の五つの地域の自治会の皆さんが集まって,北部まちづくり委員会が立ち上げられ,食料品などの購入問題,公共交通の問題,道路の改修,簡易水道の整備,携帯電話のアンテナ整備など様々な課題の解決に向けて取組を行ってきました。花脊峠のトンネル化の要望は40年も前からの地域の悲願ですが,昨年9月議会においてトンネル化を求める請願が議会でも全会一致で採択されました。最近では,高速通信網整備や山林の保全対策,子育て支援など過疎対策を行政に一緒に,しかも真剣に考えてほしいとの思いを強くされています。様々な課題の対策を総合的に検討するためにも,本庁に新設された北部山間振興部長を更に発展させ,該当する区役所に中山間地振興対策,あるいは過疎対策としての担当部署を設置するなど地域の皆さんの切実な思いに応えることが必要と考えますがいかがですか。また,議会で請願が採択された花脊峠のトンネル化の早期実現に向けた真剣な取組を進めることを求めますがいかがですか。 次に,京都経済の再生についてお聞きします。安倍政権がこの間進めてきたアベノミクスは,大企業がもうかれば,その恩恵がいずれ庶民に回ってくるというものです。現実はどうだったでしょうか。大企業は史上最高益を2年連続で上げ,その内部留保は約300兆円にまで膨れ上がり,所得が10億円を超える富裕層はこの1年間で2.2倍に急増しました。一方,働く人の実質賃金は2年2箇月にわたってマイナスが続き,年収が200万円以下の働く貧困層と言われる方々は史上最高の1,120万人にまで及んでいます。結局,アベノミクスが格差と貧困を拡大しただけだったということは既に明らかであります。 京都経済はどうでしょうか。過去5年間で,倒産,廃業による事業所の減少数は7,640にも及び,減少率は政令市でワースト2位であり,全国的に見ても大きな落ち込みを示しています。本市が7月に発表した市内中小企業の景況調査を見ても,4月から6月期で,昨年と比べて景気が悪くなったと答えた方は,良くなったと答えた方を4.5ポイントも上回るという結果となっています。消費税が増税された昨年よりも中小企業が深刻な状況に追い込まれていることが分かります。中小零細業者の実態について話をお聞きしました。飲食店に食料品を納めている小売店では,昨年の消費税増税で飲食店の取引量が少なくなったまま,現在も厳しい状態が続いていると言われていました。観光地の土産物屋さんは,外国人観光客は極端に増えているが,安いものしか買わずもうけにならないと言い,旅行業者さんによると,大型バスで京都の有名観光地を回り,大阪で爆買いをして帰るとのことでした。最近廃業した魚屋さんは,廃業のきっかけとなったのが,地下水を汲み上げるポンプが故障したことでした。厳しい経営状況から,わずかなきっかけが廃業につながるというのが中小零細業者の実態です。そこでまずお聞きしますが,中小零細業者の厳しい状況が,今なお改善していない,あるいは一層厳しくなっているという実態について,市長はどのように認識していますか。お答えください。 中小企業も市民の暮らしも深刻さを増しているときだからこそ,暮らしに最も身近な地方自治体の果たす役割はますます大きくなっています。昨年6月,国において成立した小規模企業振興基本法は,成長発展する企業だけに光を当てるのではなく事業の持続的発展に努力をしている従業員5人以下の企業も重要だと位置付けているところに大きな意義があります。ところが本市では,この具体化がまともに行われていません。例えば,本市が経済のけん引役と位置付けている観光の分野では,最近はMICE誘致と富裕層観光ばかりが強調されています。その中で外国人宿泊客を現在の183万人から300万人まで増やす目標を設定し,市外資本のホテル誘致を積極的に進めており,市内には外資系ホテルをはじめ市外資本のホテルが次々と進出しています。その一方で,これまで京都観光を支えてきた従業員4人以下の小規模旅館はこの20年で半分の121にまで激減しています。観光客が増えても,そのもうけが市外企業に吸収されるだけでは,地元の中小零細業者は疲弊するばかりで,京都経済の活性化にはつながりません。外資系ホテルを含めて地元の雇用を多く作り出していると言っていますが,その75パーセントが非正規雇用という実態は,市長も厳しい状況と認めているとおりです。これらの事実を直視するならば,市外企業の呼込みという観光政策を改め,地元業者に利益が還元されることを中心に据えた政策へと転換を図るべきと考えますがいかがですか。 国の小規模企業振興基本法を具体化する取組として参考になるのが,2010年に中小企業振興基本条例を創設した横浜市の取組です。横浜市では,副市長を会長とした中小企業振興推進会議を設置し,全局,全区役所から各本部長が委員及び幹事として参加し,中小企業振興対策の全庁的な推進体制が作られています。そして取組がどれだけ進んでいるのかを年次ごとに取組状況報告書として提出し,それが全常任委員会に報告されています。報告書には,様々な取組が紹介されていますが,例えば,全局,全行政区の工事,物品,委託の市内企業への発注率が掲載されており,各部署の担当者がそれを常に意識するという仕組みが作られています。こうした先進事例に学び,小規模企業振興基本法に対応した中小企業振興基本条例を本市でもつくり,全庁を挙げた施策の推進体制を作るべきと考えますがいかがですか。 加えて条例には,金融機関,大型店などの大企業に,京都ブランドの持続及び発展も踏まえた,地域貢献に積極的に取り組むことを求め,その貢献度を公表するなどして,海外や東京の本社に利益を吸い上げられるのではなく,地域でお金を循環させる仕組みをつくることが必要であると考えますがいかがですか。 また,地域経済を再生させるための具体的な施策として,我が党は繰り返し住宅リフォーム助成制度や商店リフォーム助成制度の創設を求めてきました。住宅リフォーム助成制度は,市民が住宅のリフォーム工事をする際に,市内業者に発注することを条件に工事代金の5パーセントや10パーセントを自治体が助成するという制度で,全国でも政令市を含む多数の自治体が取り入れています。自治体が組んだ予算の15倍程度の工事額が市内業者に直接発注されており,経済波及効果は更に大きなものとなっています。地域内循環型の経済を作るうえでも,経済波及効果が大きいという点でも,こうした制度を本市でも創設するべきと考えますがいかがですか。 次に,経済の再生にとっても欠かすことができない雇用の改善についてお聞きします。大企業は史上空前のもうけを上げる一方で,働く貧困層と呼ばれる方々が極端に増えたのは,労働法制の度重なる改悪の中で,非正規雇用が増えたためです。このことが,景気回復の大きな足かせとなっています。今年4月から6月期のGDP国内総生産が1.2パーセントのマイナスになりました。一番の要因は,賃金が増えない下で物価だけが上がり,GDPの約6割を占める個人消費が低迷しているところにあります。その根底には,法人税減税など大企業重視の成長戦略を優先し,家計の底上げを後回しにしてきたアベノミクスの構造的な問題があると,新聞各紙でも指摘をされています。 我が党は,大企業の内部留保の一部を活用して賃金を引き上げて家計を応援すること,また,中小企業に対しては,税,社会保険料の減免などの支援を拡充し,最低賃金の抜本的な引上げを図るべきだと求めてきました。この方向でこそ,消費を回復させ景気回復へとつなげるという経済の好循環を作り出すことができます。ところが,政府は,生涯派遣,正社員ゼロを進める労働者派遣法の改悪を強行し,さらに,残業代ゼロ法案などの雇用破壊を狙っています。これでは,景気回復の道は更に遠のきます。これらの法改悪は撤回するべきだと国に対してしっかりと求めるべきではありませんか。お答えください。 京都市はどうかといえば,この10年で企業所得は倍増していますが,雇用者報酬は12.5パーセントも落ち込んでいます。京都の大手企業10社の内部留保は,この1年間だけでも4,300億円以上増えて,約6兆3,800億円にもなっていますが,その利益が労働者に還元されていません。賃金を押し下げる一番の原因となっている非正規労働者の割合は,政令市ワースト1位という惨胆たる状況です。雇用改善のために行政として特別な手立てを採る必要があります。まずは,廃止した雇用担当部長を復活させ,雇用対策を積極的に取り組む体制をつくるべきと考えますがいかがですか。また,自治体が直接行える賃上げの施策として,労働者の賃金の最低限度額を定める賃金条項を設定した,公契約条例を制定する自治体が次々と生まれています。国が3年連続で公共事業設計労務単価を引き上げたのも,ダンピング受注の横行が賃下げを引き起こし,後継者不足,技術継承の困難さを招いているという認識に基づいて,公共事業の現場での賃上げを図る必要があるという政策的な判断をしたからにほかなりません。国のこの方針に基づき,本市でも,公契約の現場で働く労働者の賃上げを実現させることが必要と考えますがいかがですか。 次に,市営保育所についてお聞きします。京都市は,もともと公立保育所の数が他都市と比べても極端に少ない自治体でしたが,2012年に25の市営保育所のうち五つの保育所を,昨年10月には更に六つの市営保育所の廃止,民間移管方針を決定しました。この中には,私の地元左京区の修学院保育所と錦林保育所も含まれています。本市がこの方針を決めた理由は,市営保育所が民間に比べてコストが高いというものです。しかし,その大きな要因は人件費ですから,人件費を低水準にそろえていくという方針にほかなりません。これまで市営保育所は,様々な先進的な役割を果たしてきました。障害児の職員加配を厚くしていたため,民間保育園と比べて障害児の受入れ割合は3倍となっており,困難事例の受入れ先となってきました。このほかにも,地域子育て支援拠点事業における専任保育士の配置,他の公的機関との連携,民間園への様々な援助など,市営保育所だからこそ担うことができた役割がたくさんあります。この大事な市営保育所をわずか14箇所にしてしまうということは,本市の保育,子育て支援の役割を大きく後退させることにほかなりません。 修学院保育所の保護者の声を紹介します。重度の食物アレルギーのある子供のお母さんは,「近くの保育所を回りましたが,民間園では断られました。市営保育所の所長さんが,一人でよく頑張ってこられましたね。これからは保育所と一緒に子育てしていきましょうねと言ってくださいました。日々,除去食と,重度のアトピーでぎりぎりまで追い詰められていた私は,その言葉に救われ涙が出ました」と言われています。こうした対応ができたのも障害児の職員加配が厚かったことが大きな要因です。この他にも,「なぜ質の高い保育をしている市営保育所を減らさなければならないのか,そして,保護者が本当に安心して預けることのできる市営保育所をどうして民間に移さなければならないのか全く理解できません」という声,「子育て環境日本一などと言いながら,コスト削減を理由に市営保育所を廃止することは許せない」という声など切実な思いと怒りが次々と寄せられています。新たな六つの保育所の民間移管方針についての市民意見募集では,99パーセントの方が民間移管に反対し,あるいは慎重意見となっていましたし,この方針を見直し,市営保育所の存続を求める署名がわずか10日ほどで1万4,000筆も集められ,市に提出されました。こうした市民の声に市長は真摯に応え,民間移管はやめるべきと考えますがいかがですか。 最後に,マイナンバー制度についてお聞きします。この制度は,国内に住民票を持つ人全員に番号を付け,各自の納税,保険料納付,医療機関での受診,治療,介護,保育サービスの利用などの情報をデータベース化して,国が一元管理するというものです。この10月から本市が住民への番号通知を始め,来年1月から運用が開始されようとしています。これまでは,制度ごとに管理されていた情報が,共通番号で一つに結ばれることになりますから,個人番号が流出すれば様々な個人情報が芋づる式に流出しプライバシーを侵害される危険性が高まります。同様の制度を導入しているアメリカや韓国では,個人情報の大量流出,不正使用が大問題になり,制度見直しの議論が起こっています。日本でも日本年金機構から125万件の個人情報が流出する事件が起き大問題となっています。こうした情報漏えいを100パーセント防ぐ方法はなく,情報が一つに集積されればされるほど,攻撃される危険性が高まります。こうした危険性について,市長はどのように認識されているのでしょうか。まず,この点についてお答えください。 来年1月以降,事業所は従業員の源泉徴収票などに個人番号を記載しなければならず,個人番号の厳格な管理が求められます。そのためのコストが中小零細業者に重くのしかかっている点も重大であります。東京商工リサーチの6月,7月の調査によると,マイナンバー制度への対応ができた企業は,わずか2.8パーセントにとどまっているのが実態です。また,この制度の導入に当たっての税金支出は,国全体で3,400億円を超える巨額の支出であり,本市だけでも16億円となっています。そもそもこの制度は,日本経団連,財界のかねてからの提言のとおりに,社会保障の給付を削減し国の財政負担,大企業の税,保険料負担を削減していくことを目的に作られたものであり,国民の利益とは相反するものであります。市民の個人情報を守り情報漏えいの危険性を回避するためにも,また,事業者や市民に対する多大な負担の押し付けをやめさせるためにも,マイナンバー制度の実施は中止するよう国に対して求めるべきと考えますがいかがですか。 以上で,私の第一質問といたします。(拍手) ○議長(津田大三) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 樋口英明議員の御質問にお答えいたします。 まず,京都駅周辺のまちづくりについてでございます。京都駅周辺地域につきましては,平成14年に,都市再生緊急整備地域に指定されて以降,平成25年度と今年度に拡大した区域も含めて,民間活力を適切に誘導し,事業所や文化交流施設,商業施設等の集積を図る地域として,まちづくりを進めてまいりました。本地域の整備方針では,市民はもとより観光客も含む様々な人々が交流できる,また,災害にも強い拠点を形成することとしており,従来からこの方針に沿った取組により,大規模災害時における滞在者の安全確保を図るため,都市再生安全確保計画の策定等の成果を上げてまいりました。また,都市再生緊急整備地域については,道路や広場等の整備を併せて行う開発事業に限って,その事業者から用途や容積率のほか,高さ規制の緩和も提案することができますが,その場合においても新景観政策の基本的な考え方は当然踏襲されるものであり,提案に対しては,都市計画審議会や景観審査会等において厳格な審査を経ることで,景観にも配慮された都市開発が進められることとなります。今後とも,本制度の活用により,安心安全で,市民の皆さんをはじめ誰もが便利で暮らしやすいまちづくりを行うことにより,京都の魅力の向上につなげてまいります。 次に,小中学校の跡地活用についてでございます。大阪市をはじめ他都市では,財源確保のため学校跡地を売却しタワーマンションが建つなどの例も多うございますが,本市では,地域によって創設された学校の歴史と,長年にわたって自治活動等の拠点として役割を担ってきた経過を踏まえ,それらの機能を維持しつつ,地域の意向も踏まえて活用することとしております。その基本的な考え方は,公益的団体,民間事業者にも活用対象を広げた平成23年策定の学校跡地活用の今後の進め方の方針においても変わっておりません。この間,大学や博物館など公益的な施設への活用を進めてきており,また,民間による跡地活用も進捗するなど多様な主体による取組が,地域コミュニティの活性化や魅力ある地域づくり,まちづくりに大きく貢献するものと確信しております。さらには,本年4月には事業者登録制度を創設し,早い段階から跡地活用に関する情報を地域の皆様にお知らせすることで地域の皆様がこれまで以上に主体的に参加できる仕組みを導入したところであり,活用方法を民間事業にも広げたことをもって,住民の自治活動支援を投げ捨てるものだとの議員の御指摘は,全く当を得ないものであります。今後とも,住民の皆様の熱い思いを大切にし,市民の皆さん,本市の貴重な財産である学校跡地の活用にしっかりと取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(津田大三) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 地域循環型の京都経済の再生についてでございます。本市経済は,全体としては回復基調にあるものの,中小企業は依然として厳しい環境下にあると認識しております。こうした中,本市では市内事業所の99パーセント以上を占める中小企業を京都の宝と捉え,成長と下支えを柱に,これまでから中小企業融資制度の貸付利率の大幅な引下げや,伝統産業従事者への設備改修補助制度の創設と更なる充実,更に今市会では,受注者のみならず下請業者も市内中小企業者とすることを努力義務とする公契約基本条例を提案するなど全庁を挙げて地域循環を念頭に置いた中小企業振興施策に取り組んでおります。とりわけ,観光産業につきましては,他の地域からも消費を呼び込む裾野が広い総合産業でございまして,観光客の増加を宿泊業,飲食業はもとより,伝統産業や商店街,農林業などの活性化と地域雇用の創出に結び付け,中小企業,地域活力の維持発展につながるよう戦略的に取り組んでおります。その結果,例えば,市内に新たに建設された旅館やホテルでは,多くの雇用が生まれ,またそれらの旅館,ホテルのインテリアや内装などに京都の伝統産業製品が多数採用される例も生まれております。住宅や商店のリフォームにつきましても,耐震化,省エネ化,市内産木材の活用など政策上,重要度,緊急度が高いものへ重点的に助成し,大工さん,左官屋さん,板金屋さんなど,いわゆるまちの匠の皆さんの仕事おこしにもつながる取組を進めております。また京都市プレミアム商品・サービス券事業では,小規模店舗に利用を限定する商品券を大幅に導入するなど商店街をはじめとする中小企業振興を目的とした制度とし,多くの市民の皆さんに好評を頂いております。大企業や金融機関におきましても,雇用や税収への寄与,中小事業者への金融支援はもとより,まちの美化活動や京都マラソン,三山の再生等,本市の事業への協賛など,大きく地域に貢献を頂いているところであります。なお,中小企業振興基本条例につきましては,現在新たな産業戦略ビジョンを策定中でございますが,引き続き検討をしてまいります。 次に,マイナンバー制度であります。マイナンバー制度は,国民の利便性の向上と行政の効率化,そして公平,公正な社会を実現するための重要な社会基盤であります。本制度の運用に当たっては,個人情報の保護は極めて重要であり,なりすましを防止する厳格な本人確認や,システムへの不正侵入の遮断,情報へのアクセス制限など国において強固な対策が講じられており,本市におきましても,これらの保護措置を確実に実行し,皆様からお預かりしている大切な個人情報の保護に万全を期してまいります。また,本制度の円滑な運用に御理解と御協力を頂けるよう,市民しんぶんなども活用したきめ細やかな周知を行うことはもとよりでございますが,行政手続の簡素化やオンライン化など,市民の皆様にメリットを実感していただける取組を進めてまいります。加えまして,民間事業者の方に対しましても負担の軽減につながる,国と合同による説明会の開催,さらには経済団体と連携いたしまして,経営相談窓口での支援を行っているところであります。引き続き,国に対しても,厳格な個人情報の保護対策や,更なる負担軽減につながる取組を要望するなど円滑な制度導入に向けて取り組んでまいります。以上であります。 ○議長(津田大三) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) 私からは,北部山間地域振興についてお答え申し上げます。北区,左京区,右京区にまたがります北部山間地域におきましては,各区の基本計画や地域ごとの活性化計画,更には京都市京北町合併建設計画に基づき,農林業の振興,農家民宿の開設支援等の地域活性化や,二ノ瀬バイパスの整備,久多や百井等の地域水道整備などのインフラ整備に努めてまいりました。また,本年4月には,北部山間地域振興を担当する部長と係長を新設して体制を強化するとともに,昨年9月に設置いたしました京北地域活性化企画本部において検討してまいりました京都京北未来かがやきビジョンの策定を機に,先月新たにこの本部を,北区,左京区,右京区の副区長も加えまして,北部山間振興本部へと発展的に拡充いたしました。今後ビジョンで掲げました移住定住の促進,子育て,教育環境の充実,就業支援などの施策の事業化や北部山間地域全体への拡大,施策の融合に向けた検討を全庁横断的に進めてまいります。同時に,まち・ひと・しごと・こころ京都創生総合戦略では,北部山間地域の皆様から,地域資源をいかした具体的な御提案を数多く頂いており,地域の思いをしっかりと受け止め,地域力を最大限にいかした山間振興の活性化策を実現してまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 江口子育て支援政策監。 〔江口子育て支援政策監登壇〕 ◎子育て支援政策監(江口尚志) 市営保育所の民間移管についてでございます。本市では,民間でできることは民間にお願いしながら,公民が一体となって,増大かつ多様化する保育ニーズに応えていくという考え方の下,昨年10月に改定いたしました市営保育所の今後の在り方に関する基本方針に基づき,公民共に機能強化を図りつつ,平成29年度から31年度までの3年間に6箇所の民間移管に取り組むこととしております。とりわけ民間保育園におきましては,今年度,障害のある児童が,身近な保育園において,より積極的に受け入れられるよう,職員の加配を充実いたしました。また,民間移管に当たりましては,保護者,移管先法人,京都市から成る三者協議会を設置し,移管後の保育園の運営等について,保護者の皆様の意見を尊重しながら課題等の解消に努め,既に移管した4箇所の保育所については,現在,円滑に保育が実施されているところです。今後とも円滑に民間移管ができるよう取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 後藤財政担当局長。 〔後藤財政担当局長登壇〕 ◎行財政局財政担当局長(後藤友宏) 公契約における労働者の賃金についてでございます。本市では,昨今の人件費の上昇を背景とした国の公共工事設計労務単価の引上げに対し,その都度迅速に対応するとともに,社会保険等の経費を適切に見込んだ下請契約の徹底を事業者に要請するなど必要な措置を講じてきました。また,本市会には,市内中小企業の受注機会の増大,公契約に従事する労働者の適正な労働環境の確保,公契約の適正な履行等の確保,社会的課題の解決等を総合的に目指す公契約基本条例の制定を提案しております。最低賃金法とは別に賃金の最低額を定める,いわゆる賃金規定につきましては,導入した自治体がごく一部にとどまり,また,反対する意見も多く,中小企業の負担が過度になることなども考慮する必要があるため導入していませんが,条例案では,工事請負など一定の公契約の受注者に労働法令の遵守状況の報告を義務付ける等,踏み込んだ取組を定めており,これらを通じ公契約に従事する労働者の労働環境の向上に努めてまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 村上産業観光局長。 〔村上産業観光局長登壇〕 ◎産業観光局長(村上圭子) 雇用対策についてでございます。我が国の景気は全体として回復基調にあり,府内の有効求人倍率も,平成26年4月から16箇月連続で1倍を超えるなど,雇用情勢は改善が続いています。本市では,学生アルバイトが多いことに加え,宿泊,飲食サービス業の従業者の割合が高いため,非正規雇用が多い状況ですが,重要なことは,望まざる非正規への対応であると認識しております。このため,カウンセリングやセミナーにより人材育成を図るフルカバー学生等就職支援事業や,新事業の創造と正規雇用の創出を目指す京都次世代ものづくり産業雇用創出プロジェクトに取り組むとともに,今年度,産業戦略部長の下に,産業政策と雇用対策を一元化し,産業振興を通じた雇用創出に取り組んでいるところです。また,行政,経済団体,労働界のオール京都で,平成26年度からの4年間での正規雇用3万人創出や安定雇用戦略を推進するとともに,国に対し,就労環境改善や正規雇用対策,未来を担う人材育成への支援等を要請いたしました。今後とも,安定した雇用の創出と所得の向上に積極的に取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 藤原建設局長。 〔藤原建設局長登壇〕 ◎建設局長(藤原正行) 最後に,花脊峠のトンネル化についてでございます。交通難所の花脊峠につきましては,地域住民の皆様から,トンネルの実現に向けた御要望を頂きますとともに昨年10月には京都市会におきましても請願が採択されたところでございます。しかしながら,花脊峠のトンネル化は,60億円から80億円程度と推定される巨額の事業費を要する極めて大型の公共事業となります。また,平地の少ないトンネル坑口付近には,大規模な施工ヤードが必要になること,掘削用の大型機材や大量の掘削残土を運搬するための道路整備も必要であることなど技術的に克服すべき課題が多くありますため,直ちには事業化することは困難な状況でございます。一方で,左京区北部山間地域の道路は,急カーブや離合困難箇所も多く,冬季は積雪などによりまして通行困難となることもございますことから,地域ごとに御要望をお聞きし,道路の維持補修などの日常管理にしっかりと取り組みますとともに,当面は部分的な道路改良やのり面の防災対策につきまして検討したうえ,それらにつきまして優先順位を付けて取り組んでまいる所存でございます。以上でございます。 ○議長(津田大三) 樋口議員。 〔樋口英明議員登壇(拍手)〕 ◆(樋口英明議員) 呼込み型の拠点開発が京都経済の再生にはつながらないと指摘したことに対して,民間活力を適切に活用していくといった趣旨の答弁がありました。ここには,現在の大企業の空前のもうけが,中小零細業者と労働者の犠牲のうえに確保されているという実態に,市長が全く目を向けようとしていない姿勢が端的に表れています。大手企業を呼び込むために都市計画の提案も民間にお任せ,学校跡地の利用の提案も民間にお任せという方針は,公の責任の後退というだけではなく,自治体の在り方を変質させるものであると改めて指摘をしておきます。 小規模企業振興基本法では,小規模企業を地域経済と住民生活に貢献する国家の財産と位置付け,自治体は小規模企業振興のための施策の策定と実施を責務とするとしています。本市が,この責務をしっかりと果たし,地域循環型の経済をつくるために力を尽くす自治体へと転換する必要があることを述べて,私の質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(津田大三) 次に,市政一般について,ほり信子議員に発言を許します。ほり議員。 〔ほり信子議員登壇(拍手)〕 ◆(ほり信子議員) 日本共産党右京区選出ほり信子です。教え子を再び戦場に送らないを信条に,日本国憲法を遵守することを誓約して京都市内の小学校で37年間教師をしてきました。分かる授業,楽しい学校,明るい未来をテーマに,学校が居心地のよい空間になるよう取り組んできました。その経験をいかして,子供に笑顔,若者に仕事,老後に安心を公約に,地域の仕事人として,地域の皆さんの声をしっかり受け止め,その願い実現に向けて頑張ることを表明して質問に入ります。 初めに,5月20日に市長が記者会見された保育2年連続待機児童ゼロということについて質問します。申込み数3万346人に対して,入所できなかった児童は637人います。この637人は,待機児童にカウントされていません。このうちの134人は,保育要件に該当しない児童です。仕事を探している人や育児休業中の人,労働時間の少ない人が該当します。育児休業中だけれど,4月の年度初めに合わせて職場復帰しようと考えていたのに,希望する保育所に入れそうになく育休を延長したという人がいます。また,461人は,特定の保育所等を希望したとして待機児童から外されました。その中には,障害のある長男を小学校に送迎し,その近くの保育所に次男を預けて出勤をと考えていた人が,その保育所に入れず断念をしたという報道もありました。市長,これでも,待機児童ゼロと言うのですか。お考えをお聞かせください。子育て支援を市政の最重要課題と位置付け全力を尽くしてきたというのなら,保育実施責任を果たす立場から認可保育所の増設を進め,現実に入所できなかった人の保育を保障することこそが真の待機児童ゼロとなるのではないでしょうか。いかがですか。 次に,子供の医療費について質問します。京都府の子育て支援医療費助成制度が今年9月から入院200円,通院3,000円の負担はそのままですが,対象が中学校卒業まで拡大されました。それによって,26ある京都府内の自治体の子供の医療費助成制度の実施状況が変化をしています。 (パネルを示す)パネルを御覧ください。通院医療費の状況を図に示しました。助成の対象が高校卒業までの自治体が3自治体。ピンク色で示しています。通院も中学校卒業まで無料で受けられる自治体が15。青色です。通院が小学校卒業まで無料の自治体が5自治体。緑色です。京都府内の自治体の中で,一番遅れているのが京都市です。5月市会で中学校卒業までの無料化は多額の経費が必要であり困難と答弁されていますが,市長,3歳になれば,3,000円まで負担しなければならない今の制度が,子育て先進都市をつくろうとしている京都市にふさわしい子ども医療費助成制度というのですか。お考えをお聞かせください。そして一刻も早く子供の医療費,通院も中学校卒業まで無料化を求めます。 次に,子供の貧困と就学援助制度に関わって質問します。2014年に発表された日本の子供の貧困率は過去最悪の16.3パーセントでした。日本の子供の貧困率は,OECD加盟国34箇国中ワースト10の深刻さです。中でも深刻なのはひとり親家庭世帯で,その相対的貧困率は54.6パーセントにも及びます。貧困率が急増する背景には,政府が進めてきた雇用,福祉,社会保障の切捨てによる貧困と格差の拡大があります。保護者の就労状況も年々厳しくなっており,家計を支えている主たる人が非正規雇用という実態は決して少なくありません。離婚に伴う転出,転入児童も増えています。母子世帯の母親の雇用形態はパート,派遣,アルバイトなど不安定で低賃金での仕事が多く,二つ,三つと仕事を掛け持ちしている方もおられます。厚労省の調査によると,2011年では就労収入が平均年収181万円です。3割の人は100万円未満,6割以上の人が200万円に達していません。この厳しい経済状況は今も変わりません。子供の貧困解決に向けて具体的な施策が求められています。学校で集める預かり金は,給食費をはじめ教材費,校外活動費など,子供一人当たり年間6万円近くになる現実があり,兄弟が通っていれば年間10数万円という額になります。義務教育は無償といいながらも保護者の負担なくしては成り立っていないという現状があります。教育に係る費用の軽減が求められています。京都市における就学援助認定率は,2014年8月の速報値で,小学校21.8パーセント,中学校27.7パーセントです。そこで,より使いやすく内容も充実することを求める就学援助制度を提案します。 一つ目は,提出しなければならない所得に関する証明を京都市の責任で行っていただきたいということです。神戸市や大阪市では実施しています。すぐにでもできるはずです。また,申請の手数料を無料にしていただきたいということです。申請者に証明書を提出させている自治体でも手数料を取っているところは少ないのではないでしょうか。 二つ目は,クラブ費の問題です。入りたいクラブがあっても親の費用負担を考え,諦める生徒がいます。文科省は2010年度から,要保護児童生徒の就学援助費にクラブ費,PTA会費,学級会,生徒会費を国庫補助の対象とし,準要保護児童生徒にも拡大し一般財源化いたしました。横浜市や大阪市で準要保護児童生徒へも拡充しています。せめてクラブ費だけでも対象にしていただきたいのです。 三つ目は,新入学学用品費の入学前の支給です。小学校では,給付が6月か7月になっています。入学準備に間に合うようにしてほしいという強い願いに,京都市は長年にわたり検討課題としてきました。子供の貧困対策推進法が出来た下で,実施に踏み込むことを求めます。福岡市では実施しています。以上三つの改善を求めます。いかがですか。 次に,京北地域の小中一貫校について質問します。右京区京北地域には,三つの小学校と一つの中学校があります。1999年に六つあった小学校を現在の三つの小学校に統廃合しました。京北第一に三つの小学校が,京北第二に二つの小学校が,そして一つの小学校がそのまま京北第三になりました。学校がなくなった黒田の地域では,子育て世代の減少に歯止めを掛けることができませんでした。大阪市とほぼ同じ面積を持つ京北地域で小学校一つ,中学校一つの小中一貫校で,子育て世代を増やすことができるのでしょうか。自然に恵まれた地域で,子供たちが地域の人に支えられて育つ学校だからこそ,地域の自然をいかした地域と結び付いた教育実践ができるのです。 PTAにこの統合計画の検討が正式に提案されたのは,昨年4月でした。そして自治振興会から要望書が市教委に提出されるまでに,わずか1年4箇月です。市教委側からの一方的な情報だけで判断できないと様々なところで学習会が行われ,疑問や異論が出され,早急に決めないでほしいという意見が多く出ました。京北第一小でも,疑問や反対の意見が出される中で,一部参加者の拍手で決議が上がり,京北第三小でも少ない参加者の中でのPTA決議でした。周山中では,学校編成等検討委員会がPTA内に設置され,そこでまとめた報告書が総会にも取り上げられないまま,次年度総会で,反対意見が出される中,決議が上がりました。京北第二小では,今現在もPTA決議を上げていません。京北4校で70回の討議が行われ,十分論議されたと市教委は言いますが,本部役員対象が37回,全会員対象が19回,地区別で行われたのが第一小と第二小の各1回で9町内,4地域の会長の集まりが4回です。山国地域で行われた意向調査にしても,反対や時間を掛けての意見が多く,推進の方向ではありませんでした。京北自治振興会の決議にしても,総会ではなく,規約にない支部長会で提案され,6支部のうち3支部は反対,保留でした。また,京北活性化ビジョンのパブリックコメントの集計結果からも,小中一貫校には反対,もっと時間を掛けての意見が多くありました。このように,自治振興会から出された要望書が地域の総意と言えないことは明白です。また,これまで市教委が進めてきた京都方式にも反するのではありませんか。地域の活性化と学校の存在は密接不可分です。地域住民の意見を二分する小中一貫校ありきで進める方針は撤回を求めます。いかがですか。時間を掛けて,京北のまちづくりと合わせて,地域の自然をいかし,子供たちが地域に支えられて育つ学校及び子育て環境を整えていくことを求めます。 次に,大規模校の神川中学校の問題で質問します。今年度は,1,145人,34クラスの京都市一の大規模校です。生徒数は,2021年まで1,100人から1,200人の間で推移していきます。1,100人を超えて既に5年がたち,これから6年間も続くのです。このままの状態で放置するのですか。神川中学校の生徒数を二つに分けても,全市75校のうち生徒数の多い学校上位20に入ってしまいます。神川中学校で勤務経験のある教師は,文化祭でも体育館に入りきれず,2回に分けざるを得なかった。自己表現の場が少なく活躍する場がないといっても過言ではない。教職員集団として,生徒一人一人の個性や行動を把握し,きめ細かな指導を行うことが困難であったと振り返ります。1年生のときの教師集団が,3年間ほぼ同じメンバーで生徒の指導に当たります。1学年400人近い集団。3年間で全ての生徒のことを理解するのは大変です。今年度の神川中学校ホームページを読みますと,教職員の苦労と努力の跡が伺えます。「避難訓練の日,1,150名グラウンドに避難,4分30秒。点呼が終わるまでに6分38秒。5分以内で点呼が終われるように次回は頑張りましょう」とか,「合唱コンクール取組2日目です,放課後の約30分間の取組ですが,体育館や音楽室の割当ては短く,どのクラスも時間を大切にして練習に取り組んでいました」と書かれており,生徒と教職員が大変な中,一生懸命頑張っている姿が見えてきます。また,毎日の登下校,小学校と隣接していることもあり,通学路の安全確保が課題です。狭いバス通りに用水路,朝に交通量が多く大変危険です。神川中学校では,適正規模の生徒数なら苦労しなくても済む課題を背負っているのが現実です。このような神川中学校の現状を放置しておいてよいのでしょうか。速やかに神川中学校の分離新設を提案します。いかがですか。 次に,若者の働き方と行政の果たすべき役割に関わって質問をいたします。居酒屋でアルバイトしている女子学生は,言います。「ブラック企業のことは知っていたが,ブラックバイトのことは初めて知った。就業開始までに着替えて集合せよと言われている。皿洗いしていて落として壊したことがあって弁償させられた。自分も弁償することが必要かなと思っていた」また,20歳の大学生は,「生活費を稼ぐためにバイトしている。パワハラもあり,厨房で失敗した料理を目の前で投げ捨てられた。時給は810円でよいほうだと思うけれど,社員の人が店舗に1人しかいなくて,バイトの責任が重い。大学の授業料が高いのが負担になっている。バイトせずに学校に通える環境をつくってほしい」これは,民青同盟京都府委員会の青年が,大学門前等で学生に聞き取りをした事例です。非正規雇用の拡大で,アルバイトが単純補助労働ではなく,正規労働者と同じような仕事内容と責任を持たされて働いている実態や労働法等の知識のなさが浮き彫りになりました。 昨年の参議院予算委員会で,日本共産党の吉良よし子参議院議員がブラック企業の実態を告発し,対策を厚労省に求めました。議案提案権を得た日本共産党がブラック企業規制法案を提出したところ,厚労省がその対策に乗り出しました。都道府県の労働基準監督署に相談窓口を設置する,大学と連携した取組を進めるなどの通知を出しました。また,今年3月,各大学に「アルバイトの労働条件を確かめよう」というポスターを掲示するキャンペーンが行われました。さらに,過酷な労働を強いるブラック企業に対する規制を盛り込んだ青少年雇用促進法案が9月4日衆議院厚生労働委員会で全会一致で可決され,9月11日衆議院本会議においても全会一致で可決され成立しています。これは国民の運動の成果です。2014年6月成立,11月施行過労死等防止対策推進法に基づき,今年7月24日に「過労死等の防止のための対策に関する大綱~過労死をゼロにし,健康で充実して働き続けることのできる社会へ~」が閣議決定されました。その中に「中学校,高等学校で労働に関する指導,勤労の権利と義務,労働問題,労働条件の改善,仕事と生活の調和,ワークライフバランスについて理解を深める指導がしっかりと行われるよう」とか「各学校の指導の充実を図るため,厚生労働省において作成した労働関係法令に関するハンドブックの活用や,都道府県労働局が行う労働関係法規等の授業の講師派遣について周知を行う」と明記されています。京都弁護士会でも,労働法制の講師の派遣を行っています。そこで,厚労省のハンドブックなどを使って労働法制の学習指導をするよう各中学校,高等学校への周知徹底を図ること,また,ブラック企業,ブラックバイトから若者を守るために,京都市として,労働局や高校,大学と連携して,相談窓口や対策室などをつくることを求めます。いかがですか。 次に,教職員の働き方について質問します。私が教師になった頃は,子供たちと向き合う時間も,教職員で子供たちの話をしたり教材研究をしたりする時間もありました。しかし,今の学校現場はどうでしょうか。毎日が慌ただしく過ぎていきます。教員の長時間労働が問題になり,超勤裁判や過労死認定行政訴訟,裁判闘争がありました。そして,2009年研究主任だった御所南小学校の教員が過労死する痛ましい出来事が起きました。 そんな中で,教育委員会として,時間外勤務の縮減等による教職員の健康の保持,増進について通達を出し,教職員の勤務管理が行われるようになりました。しかし,自分のパソコンを使っての超勤チェックシートは後回しになったり,数日間をまとめて記入したりと十分いかされていないのが実態です。過労死ラインといわれる80時間を超える超勤については,健康管理医による面接指導を受けることになっていますが,大変忙しい状況の中で働いており,その時間すら取ることができません。勤務が80時間を超えないようにと調整して記入している教職員がいたのも事実です。時間外勤務状況チェックシートについて,80時間を超えた教職員は必ず,1,時間外勤務が多い理由,2,現在の健康状況,3,縮減の見通し,工夫を書くことになっています。これでは,80時間を超える勤務をしていることを,本人の自己責任に転嫁することになるのではありませんか。厚労省も,残業が月45時間を超えると健康被害のリスクが高まると言っています。このチェックシートでは,本当の勤務状況は把握できないと考えます。80時間を超える教職員だけでなく,全教職員の勤務時間管理をすべきです。大阪の高校で実施されているカードリーダーなどを各学校に設置することを求めます。全教職員の労働時間を把握することは教育委員会の責任ではありませんか。いかがですか。 2011年12月に,小学校部活動(運動部)運営の手引が出ました。京都市小学校部活動実施要項に基づき,2002年度から開始した京都市独自の取組として教育活動の一環として取り組むと位置付けています。そして活動は勤務時間内といいながら,学校事情により柔軟に取り扱うことができるとか,学校休業日に交流会などを実施することができるとなっています。さらに,全ての教員が部活を指導しなければならないという規定はないですが,指導体制を整える必要があると書かれていれば,全員がやらざるを得ない状況です。大文字駅伝の練習も子供たちの体の成長発達との関わりで見直しが必要ではないでしょうか。児童生徒数の多い10校の10月の80時間を超える時間外勤務報告者は,調査し始めての3年間,毎年20人以上いるのです。また,夢と希望を持って教職に就いたにもかかわらず,勤続10年未満の若年退職者が過去5年間,毎年50人前後いるということにも驚きます。教職員が生き生きと子供たちと向き合い,しっかりと教材研究した授業で,子供たちのはじける笑顔が見られることこそが教師の喜びだと確信しています。そのためにも,超勤縮減は急務です。 教育委員会として,校務支援システムなどを導入していますが,小学校では,この部活動の時間がネックです。部活動の時間の上限規制をすることが必要ではないでしょうか。これは各学校任せでは実現できません。教育委員会として超勤縮減につながることを積極的に提案していただきたいのです。いかがですか。 最後に,老後に安心,介護保険に関わる質問です。2000年からスタートした介護保険制度は,みんなで支える老後の安心を合い言葉に,介護保険料を払うことで,いざというときに公的介護保険制度で十分な介護が受けられるというものでした。15年たった今,要介護高齢者を巡る状況は安心できるものとはなっていません。介護保険料が今期基準額で6,000円を超えました。高齢者の生活実態は深刻です。年金生活者の言葉を紹介します。「医療,介護保険料はどんどん上がり,医者に掛かりたくても,窓口でどれだけ取られるか分からない。消費税が上がり,着るものはもちろん食べるものもろくに食べられない。早く死ねと言わんばかりの仕打ち。許せない」と言っています。これらの負担増による高齢者の困窮についてどう認識していますか。介護保険料の引下げを行うべきです。財源を一般会計から繰り入れてはいかがですか。 今回の介護保険の改悪で,要支援1,2の人への訪問介護と通所介護を介護保険給付の対象から外し,市町村による介護予防,日常生活支援総合事業に置き換えることになりました。これは,比較的軽度とされる利用者を介護保険制度によるサービスの対象から除外することであり,サービスの提供主体を住民ボランティア,無資格者によるサービスに置き換えていくことでコストの削減を図ることです。そして,施設サービスから在宅サービスへ,在宅サービスから家族や近隣住民による自助,互助へという流れを加速させるものです。また,特別養護老人ホームへの新規入所は原則要介護3以上に限定してしまいました。要介護1,2の人を入所申込みの対象から除外すれば,行くあてのない介護難民を大量に発生させることになります。また,今年8月から,これまで1割の利用者負担を合計所得160万円以上の人は2割負担に引き上げられました。2割負担証を受け取った方は,御夫婦で支援を受けていましたが,生活が大変と妻のサービスだけにし,自分のサービスを中止されました。このように2割となれば,サービスが必要であっても利用できないという人が出ています。また,低所得の施設利用者の補足給付に資産要件が加わったことで,自分なりに計画を立てていたついの住みかの計画が狂いショックで体調を崩したという方がいます。また,若いときからこつこつと真面目に働いて生活してきて,老人介護施設にお世話になり将来のためにと節約してきたのに,資産要件ができプライバシーが守られない,人権侵害だという方もいます。必要な介護が保障されない重大事態です。京都市として介護保険制度の改悪に反対すべきではありませんか。8月からの新たな負担増については撤回をし,元に戻すように国に求めるべきではありませんか。お考えをお聞かせください。 2017年4月までに,要支援1,2の人へのサービス介護予防・日常生活支援総合事業として京都市は計画を立てて実施をしていかなければなりません。今現在,生活支援サービスの実態調査をしていると聞きます。事業化によって,これまで受けていた必要なサービスが後退することがあってはなりません。要支援者の全ての方に,現行水準の訪問介護,通所介護を保障し,安価なサービスに置き換えるのではなく,現行サービスを維持したうえで,更に充実させることを求めます。いかがですか。 京都市は,健康長寿のまちを目指しています。介護の基盤が揺らぐようなことがあってはなりません。戦後の復興期,一生懸命働き,この日本を築いてこられた高齢者の皆さんが安心できる介護保障を求めて,私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(津田大三) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) ほり信子議員の御質問にお答えします。 介護保険制度についてでございます。介護保険は,介護が必要な高齢者の皆様の生活を社会全体で支え合う大切な制度であり,今後高齢者の一層の増加が見込まれる中にあっても持続可能な制度として,次の世代にしっかりと引き継いでいかなければなりません。こうした中で,まず,保険料については,国に強く働き掛けてきた結果,従来とは別枠で本市負担分も含めた公費を確保し,所得段階区分が最も低い第一段階の保険料額をおおむね据え置いております。次に,利用者負担の見直しの対象者につきましては,一定の負担能力がある方に限られており,本市においては,要支援,要介護認定を受けておられる方のうちの1割未満にとどまっております。加えまして,見直しのうち,自己負担割合の引上げにつきましては,高額介護サービス費の支給があるため,高齢者の皆様に十分配慮された制度となっております。また,平成29年度からの介護予防・日常生活支援総合事業につきましては,要支援の方への従来のヘルパー派遣やデイサービスに加えまして,新たに,買物や電球の交換など生活の困りごとにも対応する多様な生活支援サービスを提供するためのものであり,適切なケアマネジメントの下,必要な方に必要なサービスが届く仕組みでございます。引き続き,本市の需給動向等を十分検討のうえ,介護予防・日常生活支援総合事業の円滑な導入に向けまして取組を進めてまいります。今後とも,健康長寿のまち・京都の実現に向けまして,京都ならではの地域力をいかし全力で取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(津田大三) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) ブラック企業,ブラックバイトについてでございます。賃金不払い残業や過重労働等を行わせ,若者を使い捨てにするいわゆるブラック企業,ブラックバイトは,若者の未来を奪う許されない行為であります。そのため,京都では,本市と京都府,京都労働局が,それぞれの役割を果たしながら,緊密に連携して対策に取り組んでおります。相談窓口については,京都労働局や京都府により市内9箇所に設置されており,労働基準法等に違反する事業所に対しては,京都労働局が立入調査を行い,厳しく指導,監督を行っております。京都市では,企業経営者向けのセミナーの開催や大学と共同で身近な事例を基にした啓発動画の作成に取り組むとともに,WEBサイト京のまち企業訪問におきまして,京都の魅力ある中小企業や若者応援宣言企業の周知を図るなど啓発活動や関係機関の取組も含めまして,企業や学生に対しまして周知,広報を行っております。市立の中学,高校におきましては,これまでから労働者の権利や義務,社会保障制度等に関する学習を行っているところであり,高等学校では,更にワーキングプアやワーク・ライフ・バランスなどの今日的課題や過労死などの労働災害についても,授業やホームルームで取り扱っております。今後,関係局の連携の下,厚生労働省発行のハンドブック等を活用し,ブラック企業やブラックバイトなどの最新の雇用,労働問題に関する学習についても充実に努めてまいります。引き続き,京都労働局,京都府,教育機関と緊密に連携をしながら,ブラック企業,ブラックバイトの根絶に向けて,オール京都で取り組んでまいります。以上であります。 ○議長(津田大三) 藤田副市長。 〔藤田副市長登壇〕 ◎副市長(藤田裕之) 私からは,子ども医療費支給制度についてお答え申し上げます。子ども医療費支給制度につきましては,国による補助制度がない中で,府市協調の下,制度の拡充を順次図ってきており,本年9月からは,支給対象を中学校3年生までとする7度目の拡充を行ったところであります。さらに,本市では,保育所の新増設を積極的に推進し,保育所等待機児童ゼロを2年連続で達成する下で,子育て世帯の経済的負担を軽減するため保育料を国基準の約64パーセントとするなど,子育て環境日本一に向けた施策を拡充してきております。子ども医療費支給制度の更なる負担軽減につきましては,本制度に対する市会の決議も踏まえ,京都府とも協調しながら,これまでから,現実的な拡充策を研究してまいりましたが,自己負担額を中学校卒業まで無料化することにつきましては,新たに多額の経費が必要となることから,現在の本市の厳しい財政状況の下では困難と考えております。なお,子ども医療費の負担軽減施策につきましては,本来国の責務として全国一律に実施されるべきと考えており,引き続き,国に対して補助制度の創設を,他都市とも連携して強く求めてまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 江口子育て支援政策監。 〔江口子育て支援政策監登壇〕 ◎子育て支援政策監(江口尚志) 保育所等待機児童対策についてでございます。本市では,待機児童を解消するため保護者の皆様の多様なニーズを踏まえ,保育所等の整備や幼稚園の預かり保育の充実などを図ってまいりました。平成27年4月には,保育所の新設6箇所,増改築等12箇所を含め,過去最高であった前年度の2倍に当たる1,112人分の児童受入枠を拡大し,保育所,認定こども園利用児童は,過去最高の2万9,002人に,小学校入学前児童に占める割合も政令市の平均を11ポイントも上回る全国トップ水準の44.1パーセントに達しております。さらに,福祉事務所におきましては,保護者お一人お一人に対し,きめ細かな入所の相談,あっせん,調整を行うことにより,2年連続の待機児童ゼロを達成いたしました。なお,待機児童数は,国が示した基準に基づき算定するものでございます。今後に向けましては,保育所の新設4箇所,増改築等15箇所の整備を行うなどにより,既に869人分の受入れ枠を新たに確保したところであり,引き続き,市民の高い保育ニーズに応えるため保育所の新設や増改築,幼稚園の預かり保育の充実等と併せ,福祉事務所における丁寧な入所相談等を行うことにより,市民の皆様が保育所等に入所しやすいと実感していただけるよう取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(津田大三) 在田教育長。 〔在田教育長登壇〕 ◎教育長(在田正秀) 就学援助制度についてでございます。本市では,認定に必要な所得証明につきまして,サラリーマンの方は源泉徴収票,自営業の方は確定申告書など手数料を必要としない証明書類を幅広く認めております。それ以外の一部の方につきましては,350円の手数料を必要とする課税証明の提出をお願いしておりますが,平成29年度を目途に,マイナンバー制度を活用し個人番号カードを提出していただくことにより,証明書類の提出なしで認定できるよう取り扱う予定でございます。就学援助制度の支給項目及び金額につきましては,これまでから,本市独自に武道必修化に伴う柔道着等の購入費や食物アレルギーに伴う診断書作成費を支給項目に加え,また,校外活動費の支給上限を撤廃するとともに,修学旅行費や給食費の改定に伴い支給金額を増額するなど今年度は14億6,000万円の予算を確保し制度の充実に努めてきております。御指摘のクラブ費等につきましては,支給しているのは政令市では2市だけであり,新たに支給項目とすると約3億6,000万円の市単独予算が必要となり,厳しい財政状況の下では,これ以上の制度の拡充は困難でございます。新入学学用品費の入学前の支給につきましては,多くの他都市がおおむね6月から7月に支給している状況の中で,本市では,今年度から例年よりも1箇月程度支給を早め,中学校は4月中,小学校は5月中に支給するなど可能な限り早期に対応しているところでございます。 次に,京北地域の小中一貫教育校についてでございます。京北地域におきましては,本市との合併以降も,この10年間で児童生徒数が約4割近くも減少するなど極めて深刻な状況であることを踏まえ,子供たちのよりよい教育環境の在り方につきまして,平成26年4月から各校のPTAにおきまして,本部役員会や地区別勉強会,全体学習会など様々な段階におきまして計70回に及ぶ議論が重ねられ,3小学校から京北自治振興会に対して地元協議を要請されました。これを受けまして京北自治振興会では,6地域の各自治会長へ協議を依頼され,各地域での住民説明会などを経て,京北第一小学校,京北第二小学校,京北第三小学校の三つの小学校を統合し周山中学校と合わせた小中一貫教育校の創設を求める要望書が,本年7月に教育委員会へ提出されたものでございます。教育委員会といたしましては,この要望書を真摯に受け止め,その実現に向けて検討を進めるとともに,現在,要望のありました保育所の保護者対象の説明会を開催しており,また,改めて各小学校単位での説明会を予定するなど,今後ともきめ細やかに小中一貫教育校の意義や教育効果につきましての御理解を一層深めていただく取組を進めてまいります。今後,地元やPTA代表などの方々が参画される協議会を立ち上げていただき,地域や保護者の皆様の御意見を十分お聞きしながら,京北地域の活性化にもつながる小中一貫教育校の創設に向けて取組を進めてまいります。 次に,神川中学校の分離新設についてでございます。神川中学校の生徒数は近年増加傾向にあり,平成15年度には校舎,プール一体型施設の整備を行い,平成20年度には運動場を約2倍に拡張するとともに,平成24年度には普通教室,多目的室等16教室分を有する新校舎を建設するなど生徒数の増加に応じて順次教育環境の整備,充実に努めてきております。また,教頭をはじめ必要な教員を大幅に加配するなど,より円滑な学校運営の体制づくりを図り,地域やPTAの御協力と学校へお寄せいただく信頼の下に,熱意ある教職員の尽力により,学校におきましては落ち着いた環境で教育活動が進められております。通学路の安全確保につきましては,これまでから生徒に対する交通安全教育や登下校時の教職員による指導の徹底に取り組んでいるところでございます。今後の生徒数につきましては,徐々に減少する見込みであり,校舎の増築や分離新設等は必要ないと考えておりますが,今後とも生徒数の推移を注視しつつ,必要な教育環境の整備に努めてまいります。 次に,教職員の時間外勤務についてでございます。御提案のカードリーダー方式では,単に時間数のみの把握にとどまるため,業務内容の実態把握も同時に可能な方式を本市独自に開発し,平成23年12月から全校で実施しております。この方式は,全ての教職員から校長に報告を求め,時間外勤務の実態を共通認識し,体調管理の徹底や業務の見直しを図るものでございます。また,労働安全衛生法が医師による面接指導を努力義務と定める1箇月80時間を超えた者に対しましては,教育委員会への報告を求め,各校の健康管理医との面談を強く働き掛けて,また学校におきましても,面談を受けやすいよう配慮に努めているところでございます。更に,小学校2年生の35人学級と中学校3年生の30人学級の本市独自予算による実施に加え,通知表や指導要録等を効率的に作成できる校務支援システムの導入等の取組を進める中で,時間外勤務が月80時間を超える者は半減し,月平均で対象教職員数の1パーセント,約60人となっており,今後とも,子供たちと向き合う時間の確保と,更なる時間外勤務の縮減につきまして,校長会,学校現場と共に取り組んでまいります。なお,小学校の部活動につきましては,原則として平日の勤務時間中とすることを部活動運営の手引で定めており,更なる徹底を図るため,現在,部活動ガイドラインの策定を進めているところでございます。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(津田大三) 本日は,これをもって散会いたします。 〔午後4時42分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    津田大三          署名議員  山集麻衣子          同     こうち大輔 △(イメージ)陳情文書表「受理番号13」「元離宮二条城東側空間整備基本計画における第2駐車場整備の白紙撤回」...